「真夜中の虹」
(原題:ARIEL )88年フィンランド作品。アキ・カウリスマキ監督のストイックな作風が如実に出た映画だ。もっとも近年は少しはテイストを変えてきている同監督だが、その原点を確認する上で要チェックの映画だし、何より観ていて面白い。...
View Article「おとうと」
昭和35年大映作品。好き嫌いは別にして、この時代に撮られた映画としてはストイックな美意識が横溢していると思った。決して万全ではない家族の有り様を取り上げ、終わり近くには愁嘆場もあり、いくらでもメロドラマ方向に振ることが出来る題材ながら、作者の強靱な意志がそれを許さない。確かに見応えはある。...
View Article「第2章」
(原題:Chapter Two )79年作品。ブロードウェイを代表する喜劇作家であるニール・サイモンの脚本の映画化作品では、やっぱり「グッバイガール」(77年)が一番出来が良いと思う。本作はそれから2年後に作られたが、クォリティは「グッバイガール」より少し落ちる。しかしながら、これはこれで悪くない仕上がりだし、サイモンの自伝的要素も興味深い。観て損は無いシャシンである。...
View Article「マネー・ショート 華麗なる大逆転」
(原題:The Big Short )こいつは面白い。かなり硬派な題材を扱っているにも関わらず、観ていてワクワクするようなエンタテインメント性を横溢させ、長めの上映時間も全く苦にならず、最後までスクリーンに対峙できる。今年度アメリカ映画を代表する快作だと思う。...
View Article「森の中の淑女たち」
(原題:THE COMPANY OF STRANGERS )90年カナダ作品。監督のシンシア・スコットはこれがデビュー作だったという話だが、これ以降劇場用映画を撮ったという話は聞かない。元々ドキュメンタリーの作家であるから、たぶんその方面の仕事はやっているのだと思う。この映画はキャストも同様に馴染みのない名前ばかりが並ぶ。しかし、作品自体はかなりのハイレベルで、これは思いがけない才能だと感じた。...
View Article「家族はつらいよ」
面白い。山田洋次監督が「男はつらいよ」シリーズ以来久々に手がける喜劇だが、乗りまくる演出で劇場内は何度も哄笑に包まれた。もちろん笑いだけではなくペーソスも適度に織り込まれており、鑑賞後の満足感は大きい。こういう幅広い層に受け入れられそうなコメディは昨今の日本映画でも珍しく、その意味でも存在感は屹立している。...
View Article「リリーのすべて」
(原題:THE DANISH GIRL )感銘を受けた。同じく性的マイノリティを扱った「キャロル」(2015年)と比べても、志の高さや描写の的確さ等で大きく差を付ける。たとえ題材が特異でも、作品の求心力は確固としたドラマツルギーと巧みなキャラクター設定で決まることを再認識できた。...
View Article「父と息子の名において」
(原題:AU NOM DU PERE ET DU FILS )91年フランス作品。おそらくは日本未公開。私は92年の東京国際映画祭で観ている。監督のパトリス・ノワイア(1953年生まれ)はTV畑の出身。短編や産業映画をいくつか作っていたが、1990年、自身の映画会社を設立。長編は本作が初めての作品となる。...
View Article「マジカル・ガール」
(原題:MAGICAL GIRL)退屈きわまりない映画だ。ホメている評論家は多いが、まったくもってどこが良いのか分からない。とにかく、これだけ面白いと思える要素が全然見つからないシャシンも珍しいだろう。世界各地の映画祭で賞は取っているようだが、いずれもマイナーな映画祭であるというのも脱力する。...
View Article「僕だけがいない街」
脚本が壊滅的だが、一部に見応えのある場面があり、単純に駄作として切って捨てるのは忍びない。どんなに優れていると思われる作品でも少しの瑕疵で許せなくなることもあれば、つまらない映画でもわずかに光る部分があれば印象深くなることもある。これだから映画鑑賞は面白い。...
View Articleユナイテッド・シネマ福岡が閉館。
今年(2016年)の3月31日をもって、福岡市中央区地行浜にある福岡ドームに併設されていたショッピングモール“ホークスタウン”の中にあったユナイテッド・シネマ福岡が閉館した。映画館だけではなく、モールそのものも閉鎖。同地区にあったライヴ会場のZepp Fukuoka(閉館は5月)やHKT48劇場も同様である。...
View Article「蜜のあわれ」
作品世界を容認すればこの上なく興趣が尽きない映画だが、そうではない観客にとっては退屈に思えるだろう。幸いにして(?)私は本作の雰囲気を大いに堪能できた。個人的には今年度の日本映画の収穫だと思っている。...
View Articleサッカーの試合を見に行った。
去る4月2日(土)に、福岡市博多区の東平尾公園内にある博多の森球技場(レベルファイブスタジアム)にて、サッカーの試合を観戦した。対戦カードはホームのアビスパ福岡とアルビレックス新潟である。...
View Article「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱」
(原題:黄飛鴻 II 男児当自強)92年香港作品。正式には6本作られたこのシリーズだが、私が観たのはこの2作目のみである。シリーズ中で一番出来が良いと言われているらしいが、なるほど確かに面白い。全盛期のツイ・ハーク監督とキャスト陣が、しっかりと仕事の歯車を噛み合わせている感じだ。...
View Article雑誌「暮しの手帖」について。
今年(2016年)4月に始まったNHKの朝の連続ドラマ「とと姉ちゃん」は、雑誌「暮しの手帖」の創刊者の一人である大橋鎭子の生涯を題材にしている。「暮しの手帖」は昭和23年に創刊。それから出版元の経営が危うくなる等の紆余曲折があったが、現在でも刊行されている。一応婦人向けの雑誌なのだが、実を言うと私が十代の頃、この雑誌の密かなファンだった(笑)。...
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