(原題:MAGICAL GIRL)退屈きわまりない映画だ。ホメている評論家は多いが、まったくもってどこが良いのか分からない。とにかく、これだけ面白いと思える要素が全然見つからないシャシンも珍しいだろう。世界各地の映画祭で賞は取っているようだが、いずれもマイナーな映画祭であるというのも脱力する。
マドリードの下町に住む失業中の中年男ルイスは、白血病で余命幾ばくも無い12歳の娘アリシアの願いを叶えてやりたいと思っていた。彼女は日本のアニメ“魔法少女ユキコ”の大ファンで、ルイスは娘がそのコスプレ衣装を欲しがっていることを知る。ところがその衣装はあまりにも高額で手が出ない。そんな中、彼は心に闇を抱える女性バルバラと知り合い、懇ろな関係になる。ルイスはこれをネタに彼女を強請ろうとするが、かつてバルバラと“不適切な関係”にあった元教師ダミアンがこの一件に関与してくるに及び、思わぬ事件が発生する。
主人公の娘は日本のアニメにハマっているという設定だが、端から見ると全然そう思えない。テーマ曲に合わせてそれらしい振りを披露するものの、漫然とした空気が流れるばかりで、オタクらしいマニアックな雰囲気は皆無。単に“何となくモチーフとして採用してみた”というレベルなのだ。
実を言えば、日本のアニメが題材として取り上げられるのだから、映画自体もそれに合わせてポップでリズミカルなタッチで展開するのだろうと鑑賞前は思っていた。しかしながら、本作にはそういうテイストは存在しない。登場人物の内面をじっくり描こうとして、結果的に何も結果が残せていないような冗長な画面が、しんねりむっつりした調子で延々と続くのみである。開巻10分ほどで眠気を催し、あとはひたすら睡魔との戦いだ。
また、感情移入できるキャラクターが誰ひとり出てこないのにも閉口する。どいつもこいつも変に屈折していて、気色が悪い。かといって、そのマイナスオーラを映画的興趣に仕立て上げるようなメソッドも無く、平板な画面の中を面白味のない連中がウロウロするだけという、まことにつまらない展開に終始する。
終盤近くになって取って付けたように惨劇が起こるが、その頃にはとうに鑑賞意欲を無くしていて、まさにどうでもいい感じだ。そこに至る伏線も十分張られていないのは言うまでもない。
監督はカルロス・ベルムトという新鋭だが、この学生自主映画の失敗作みたいなシロモノを観る限り、才能は全く感じられない。出てくる役者達は、名前も憶えたくないような者ばかり。なお“魔法少女ユキコ”のテーマ曲として長山洋子のデビュー曲「春はSA・RA・SA・RA」(84年リリース)が使われているが、この曲を聴くのも初めてながら、本ナンバーが欧州製ポップスのカバーであるというのも興味深い。あの頃は外国曲の流用に鷹揚だったのだろう。
マドリードの下町に住む失業中の中年男ルイスは、白血病で余命幾ばくも無い12歳の娘アリシアの願いを叶えてやりたいと思っていた。彼女は日本のアニメ“魔法少女ユキコ”の大ファンで、ルイスは娘がそのコスプレ衣装を欲しがっていることを知る。ところがその衣装はあまりにも高額で手が出ない。そんな中、彼は心に闇を抱える女性バルバラと知り合い、懇ろな関係になる。ルイスはこれをネタに彼女を強請ろうとするが、かつてバルバラと“不適切な関係”にあった元教師ダミアンがこの一件に関与してくるに及び、思わぬ事件が発生する。
主人公の娘は日本のアニメにハマっているという設定だが、端から見ると全然そう思えない。テーマ曲に合わせてそれらしい振りを披露するものの、漫然とした空気が流れるばかりで、オタクらしいマニアックな雰囲気は皆無。単に“何となくモチーフとして採用してみた”というレベルなのだ。
実を言えば、日本のアニメが題材として取り上げられるのだから、映画自体もそれに合わせてポップでリズミカルなタッチで展開するのだろうと鑑賞前は思っていた。しかしながら、本作にはそういうテイストは存在しない。登場人物の内面をじっくり描こうとして、結果的に何も結果が残せていないような冗長な画面が、しんねりむっつりした調子で延々と続くのみである。開巻10分ほどで眠気を催し、あとはひたすら睡魔との戦いだ。
また、感情移入できるキャラクターが誰ひとり出てこないのにも閉口する。どいつもこいつも変に屈折していて、気色が悪い。かといって、そのマイナスオーラを映画的興趣に仕立て上げるようなメソッドも無く、平板な画面の中を面白味のない連中がウロウロするだけという、まことにつまらない展開に終始する。
終盤近くになって取って付けたように惨劇が起こるが、その頃にはとうに鑑賞意欲を無くしていて、まさにどうでもいい感じだ。そこに至る伏線も十分張られていないのは言うまでもない。
監督はカルロス・ベルムトという新鋭だが、この学生自主映画の失敗作みたいなシロモノを観る限り、才能は全く感じられない。出てくる役者達は、名前も憶えたくないような者ばかり。なお“魔法少女ユキコ”のテーマ曲として長山洋子のデビュー曲「春はSA・RA・SA・RA」(84年リリース)が使われているが、この曲を聴くのも初めてながら、本ナンバーが欧州製ポップスのカバーであるというのも興味深い。あの頃は外国曲の流用に鷹揚だったのだろう。