「ダンディー少佐」
(原題:MAJOR DUNDEE)1965年作品。過激なバイオレンス描写で有名なサム・ペキンパー監督の手によるシャシンながら、ここではエゲツない暴力場面は出てこない。この監督の“真価”が発揮され始めるのは「ワイルドバンチ」(1969年)あたりからだろう。とはいえ、元々彼はテレビの西部劇のディレクターとして実績を積んでいたこともあり、本作も手堅い出来と言える。...
View Article「戦雲(いくさふむ)」
題材だけで判断すると、これは左傾イデオロギーが横溢したプロパガンダ映画なのかという印象を受けるかもしれない。しかし、実際に接してみると右だの左だのという小賢しい“神学論争”とは一線を画した、真に地に足が付いたドキュメンタリー映画の力作であることが分かる。その意味では観る価値は大いにある。...
View Article「コーラス」
(原題:LES CHORISTES )2004年フランス=スイス合作。今では世界的な名声を得た人物が自分自身の少年時代を回想するという導入部は、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の「ニュー・シネマ・パラダイス」(88年)と似ているが、あれと比べればクサい部分は少なく、随分と平易な作劇である。第77回米アカデミー賞の外国語映画賞と主題歌賞にノミネートもされており、たぶん誰が観ても良さが分かる佳作だ。...
View Article「夕陽のガンマン」
(英題:FOR A FEW DOLLARS MORE)1965年作品。日本とアメリカでは1967年に公開された、言わずと知れたマカロニ・ウエスタンの代表作とされているものだ。今回4Kデジタルリマスター版が公開されたので鑑賞してみた。なお、私は有名なテーマ曲こそ知ってはいたが、本編をスクリーン上で観るのは初めてである。...
View Article「オッペンハイマー」
(原題:OPPENHEIMER )第96回米アカデミー賞では作品賞をはじめ7部門を獲得した注目作ながら、私はまったく期待していなかった。実際に観ても、やはり大したシャシンではないとの思いを強くする。ではなぜ劇場鑑賞する気になったのかというと、話題作であるのはもちろん、この映画がどうして本国で高く評価されているのか、それを確かめたかったからだ。...
View Article「稲妻」
1952年大映作品。往年の名監督、成瀬巳喜男の代表作と呼ばれている映画だが、今回私は福岡市総合図書館にある映像ホール“シネラ”での特集上映にて、初めてスクリーンで観ることが出来た。登場人物たちの設定は随分と無理筋だとは思うものの、この時代ならあり得そうだし、タイトルの“稲妻”が鳴り響くタイミングも秀逸。異色のホームドラマとして記憶に残る作品だ。...
View Article「アイアンクロー」
(原題:THE IRON CLAW )本作を観て、評論家の下重暁子による著書「家族という病」を思い出した。断っておくが、私はこの本を読んでいない。どういう中身であるのか、ネット上に紹介されているアウトラインしか知らない。だが、このタイトルが妙に“刺さる”鑑賞後の感触ではある。ともあれスポーツを題材とした映画としては、かなりの異色作として記憶に残る内容だ。...
View ArticleJリーグの試合に足を運んでみた。
去る5月6日(月)に、福岡市博多区の東平尾公園内にある博多の森球技場(ベスト電器スタジアム)にて、ほぼ一年ぶりにサッカーの試合を観戦した。対戦カードはホームのアビスパ福岡と川崎フロンターレである。...
View Article「プリシラ」
(原題:PRISCILLA )これは酷い。まったく、何も描けていないのだ。脚本も担当した監督のソフィア・コッポラには元々才能に乏しいと私は思っており、映画を撮り続けていられるのは親の七光り以外の何物でもないと踏んでいたが、今回はいつにも増してその素地の無さを見せつける結果になった。一部では賞賛する声はあるものの、少なくとも個人的には存在価値を微塵も見出せない映画だ。...
View Article「地獄門」
1953年作品。大映の第一回カラー映画で、第7回カンヌ国際映画祭では大賞を獲得している。今回私は福岡市総合図書館にある映像ホール“シネラ”での特集上映にて、初めてスクリーンで観ることが出来た。映像の喚起力はかなりのもので、この時代にこれだけのものを撮り上げたスタッフの力量には感嘆するしかない。ただし、内容は現時点で接してもアピールできるかどうかは意見の分かれるところだろう。...
View Article「CODE8 コード・エイト」
(原題:CODE 8)2019年カナダ作品。日本では劇場公開されておらず、私はネット配信にて鑑賞した。取り立てて出来の良い映画では無いが、硬派なテイストが適宜挿入されていることもあり、あまり退屈せずに最後まで付き合えるSFスリラーだ。もちろん、映画館でカネ払って観たら不満が残ると思うが、テレビ画面では丁度良い。...
View Article「ゴッドランド GODLAND」
(原題:VANSKABTE LAND)映像の喚起力は素晴らしいものがあるが、肝心の映画の中身は密度が低い。物語の設定自体に無理があるし、加えて主人公の造型が説得力を欠く。撮影には2年が費やされ、たぶんそのプロセスも困難を極めたと思われるが、製作時の苦労の度合いは作品の出来に直接影響しないという定説を再確認することになった。...
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