Quantcast
Channel: 元・副会長のCinema Days
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2422

「ゴジラ×コング 新たなる帝国」

$
0
0
 (原題:GODZILLA x KONG: THE NEW EMPIRE )ワーナー・ブラザース・ピクチャーズによる、ハリウッド版「モンスターバース」シリーズの通算5作目。今回はいつにも増して人間側のドラマは軽量級だが、ひとたび怪獣どもがバトルロワイヤルを始めると、映画のヴォルテージは爆上がりする。もちろん“キャラクターの内面描写が物足りない”という真っ当な観点から作品を批評するカタギの皆さんは不満だろうが(笑)、子供の頃から怪獣映画に馴染んでいた身からすれば、本当に楽しめるシャシンになっている。

 ゴジラとキングコングがメカゴジラの襲来を死闘の末に駆逐してから数年後、未確認生物特務機関“モナーク”は、地下空洞からの謎の波長の電波信号を感知する。“モナーク”の人類言語学者アイリーンは、ポッドキャストのホストであるバーニーと獣医のトラッパー、そして髑髏島の先住民イーウィス族の少女ジアらと共に地下世界へと向かう。コングは地下空洞で同族と巡り合うが、そこで独裁的に権力を振るうスカーキングの攻撃を受ける。一方、ローマのコロッセオをねぐらにしていたゴジラも新たなバトルの勃発を察知して動き出す。



 人間側の面子はキャラが立っていないし、そこにいるだけで存在感を醸し出すようなキャストも見当たらない。一応、アイリーンの養女でもあるジアの出自に関する話が後半展開するものの、大して面白い内容ではない。そもそも“モナーク”にはもっと貫禄のあるメンバーがいるはずだし、たった数人で帰れる公算も少ないミッションに臨む意味も見出せない。

 しかし、画面の真ん中に怪獣たちが陣取るようになると、そんなことはどうでも良くなる。アメリカ映画であるからキングコング中心のエピソードが目立つのはやむを得ず、コングと同族たちとのやり取りを観ていると「猿の惑星」シリーズを思い出してしまうが(笑)、スカーキングが飼っている冷凍怪獣シーモ(アンギラスに似ている ^^;)が暴れ出したり、見事な造型のモスラが登場してくると興趣は増す一方だ。

 地下世界における無重力状態での戦いはまさにアイデア賞もので、スピーディーかつ先の読めない状況には思わず身を乗り出してしまった。舞台を地上に移してからも、ピラミッドやリオデジャネイロのコパカバーナなどの名所旧跡をバックに、怪獣たちの組んずほぐれつの大立ち回りを存分に見せてくれる。前作に続いての登板になるアダム・ウィンガードの演出は、人間ドラマよりもクリーチャーの扱いに興味があるのが丸分かりだ。

 レベッカ・ホールにブライアン・タイリー・ヘンリー、ダン・スティーヴンス、ケイリー・ホトル、アレックス・ファーンズなどの俳優陣には特筆すべきものは無いが、これはこれでOKだろう。なお、私は映画館で平日夕方からの回を鑑賞したのだが、客席を占めていたのは私と同世代ぐらいのオッサンばかり(大笑)。妙に納得してしまった。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2422

Trending Articles