「ソウルメイト」
(英題:SOULMATE)映画向きのネタではないと思った。これはテレビの連続ドラマに仕立てた方が良い。特に後半のアクロバティックな展開は、テレビ画面で眺めていれば“やっぱり韓流ドラマだからなァ”と納得出来る余地がある。だが、一本の映画の中に収めてしまうと違和感ばかりが先行してしまう。序盤が悪くないだけに残念だ。...
View Article「マダム・ウェブ」
(原題:MADAME WEB)興行的には本国で大コケで、評判も芳しくないので覚悟してスクリーンに向き合ったのだが、それほどイヤな気分にはならず最後まで退屈せずに楽しく付き合えた。製作現場ではいろいろと不手際があったようにも聞くが、出来上がった作品がこのレベルを維持しているのならば文句を言う気にはならない。少なくとも、同じマーベル関係のシャシンの中では「マーベルズ」(2023年)よりはずっとマシ。...
View Article「コットンテール」
(原題:COTTONTAIL)イギリス人の監督および脚本による日英合作だが、いわゆる“えせ日本”はハリウッド映画なんかに比べれば希薄ではあるものの、随分と不自然な描写が目立つ。特に主人公の言動には整合性が無く、観る側が感情移入出来る余地が見出せない。もっとシナリオを、日本のスタッフやキャストと相談しながら詰める必要があった。映像には見るべきものがあるだけに、もったいない話である。...
View Article「ARGYLLE アーガイル」
(原題:ARGYLLE )これは面白くない。快作「キック・アス」(2010年)や「キングスマン」(2015年)を手掛けたマシュー・ヴォーン監督の手によるシャシンなので一応は期待したのだが、悪ふざけが過ぎてシラけてしまった。何よりキャラクター設定が低調で、感情移入がまったく出来ないのは痛い。しかも尺は無駄に長く、愉快ならざる気分で映画館を後にした。...
View Article「ゴールド・ボーイ」
金子修介監督の資質を承知の上で接すれば、かなり楽しめるシャシンかと思う。反対に彼の持ち味に馴染まない観客ならば、珍妙なクライム・サスペンスとしか思えずに敬遠してしまうかもしれない。私はといえば金子作品との付き合いは長いので、十分に良さは分かった。聞けば中国製のサスペンス・ドラマ「バッド・キッズ...
View Article「PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて」
作品の題材と出演者たちの面構えから、よくあるライトでウケ狙いの内容空疎な青春ものという印象を受けるかもしれないが、そこは若者像の描出には定評のある古厩智之監督、見応えのある仕上がりだ。特に各キャラクターを取り巻くリアルな状況の扱いには、感心するしかない。もちろん日本の実写版の劇映画で初めてeスポーツを本格的に取り上げたという意味でも、存在価値はある。...
View Article中洲大洋映画劇場が閉館。
去る2024年3月31日をもって、福岡市博多区中洲にある映画館、大洋映画劇場が閉館した。当劇場は1946年4月にオープン。300人以上のキャパを持つ規模の劇場として長らく営業を続けていたが、建物の老朽化のため取り壊しが決まったものだ。...
View Article「もっと超越した所へ。」
2022年作品。元々は舞台劇とのことで、なるほど演者とステージに間近で接すると面白く感じるのかもしれない。だが、これを映画にしてしまうと愉快ならざる結果になる。しかも、監督がミュージック・ビデオの仕事が主で映画はキャリアが浅い者だったりする。だから、映画的興趣を導き出すところまでは到達せず、原作の戯曲をなぞるに留まっているようだ。これでは評価出来ない。...
View Article「π(パイ)」
(原題:Π PI )98年作品。鬼才として知られるダーレン・アロノフスキー監督作品はけっこう観ていると思っていたが、長編デビューになる本作は未見だった。今回デジタルリマスター版として再上映されたので、鑑賞してみた。率直な感想だが、外観のエキセントリックさに比べれば中身は意外と薄味である。最初の作品ということで好き勝手やっている先入観があったものの、肩透かしを食らった感じだ。...
View Article「デューン 砂の惑星 PART2」
(原題:DUNE PART TWO )世評は悪くないようだが、個人的にはピンと来ない。前作(2021年)は第94回米アカデミー賞で6部門に輝いたのに対し、本作は無冠であったのもそれを象徴しているのかもしれない。まあ、この映画は純然たる“続編”であるのでアワード側の評価はPART1で完了したとの見方も出来るが、気勢が上がらないのは確かだ。...
View Article「海潮音」
80年作品。60年代から80年代にかけて活躍した先鋭的な映画会社、ATG(日本アート・シアター・ギルド)の製作による。この会社の全盛期は70年代とも言われているが、私は年齢的にリアルタイムでは知らない。若手監督を積極的に採用するようになった80年代の映画から何とか個人的に鑑賞の対象になったという感じだが、その中でも強烈な印象を受けた一本だ。...
View Article「ビューティフル・ゲーム」
(原題:THE BEAUTIFUL GAME)2024年3月よりNetflixより配信された英国製のスポーツもの。題材の面白さとキャラクターの濃さ、そして無理のないストーリー展開により、かなり楽しめた。イギリス映画にしては捻った部分が目立たず、しかもハリウッドで同様のネタを扱う場合のようなライト方面に寄りすぎることもなく、丁度良い案配に仕上げられているのも好印象だ。...
View Article「カルテット」
(原題:QUARTET )81年イギリス=フランス合作。ジェイムズ・アイヴォリィ監督特有の屈折したデカダンスが、洗練されたタッチで綴られた快作だ。磨き抜かれたエクステリアはもとより、当時の英仏の手練れを集めたキャストの充実ぶりには感服するしかない。なお、どういうわけか日本公開は88年にズレ込んだのだが、その裏事情は不明である。...
View Article「12日の殺人」
(原題:LA NUIT DU 12 )似たようなテイストを持つジュスティーヌ・トリエ監督「落下の解剖学」よりも、こっちの方が面白い。同じフランス映画であるだけでなく、物語の舞台も共通しているのだが、題材の料理の仕方によってこうも出来映えが違ってくるのだ。諸般の事情で米アカデミー賞には絡んではいないが、2023年の第48回セザール賞で作品賞をはじめ6部門で受賞しているので、世評も決して悪くはない。...
View Article「ゴーストバスターズ フローズン・サマー」
(原題:GHOSTBUSTERS:FROZEN EMPIRE)前作「ゴーストバスターズ アフターライフ」(2021年)よりも、出来はかなり落ちる。監督が交代したことが影響していると思われるが、この程度の筋書きで製作のゴーサインを出したプロデューサー側の責任が大きいだろう。とにかく、けっこう期待していただけに残念だ。...
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