「カレとカノジョの確率」
(原題:LOVE AT FIRST SIGHT )2023年9月よりNetflixから配信されているラブストーリー。そんなに褒めあげるような出来ではないのだが、なかなかチャーミングな作品で観て損はしないと思った。語り口のユニークさはもとより、キャラクター設定がよく考えられているのは評価したい。上映時間も91分とコンパクトで、物足りないと感じる前にエンドマークを迎えるのは有難い(笑)。...
View Article「国葬の日」
ドキュメンタリー映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」(2020年)と「香川1区」(2021年)で斬新な視点とキレの良い語り口を見せた大島新監督作にしては、いささか薄味な内容だ。もちろん本作は過去の2本とは異なり、明確な題材と切り口を提示しているわけではない。だから印象が散漫になるのも無理はないのだが、そもそも散漫になるようなネタとアプローチを採用したこと自体が不適当だと言える。...
View Article「ペイン・ハスラーズ」
(原題:PAIN HUSTLERS )2023年10月よりNetflixから配信された社会派実録ドラマ。けっこう見応えのあるシャシンで、出来れば映画館で観たかった。ネタ自体に新味は無いのかもしれないが深刻な問題であることは確かで、何度でも取り上げる価値はある。さらに、語り口は軽妙で各キャラクターは十分に“立って”おり、鑑賞後の印象は良好だ。...
View Article「アンダーカレント」
主演が真木よう子ということで、鑑賞前は身構えてしまった(笑)。何しろ、彼女は脇役で良い味を出すことはあっても、スクリーンの真ん中では満足出来るパフォーマンスを見せることはほぼ無かったからだ。だが、そこは場数を踏んで映画作りのツボを押さえた今泉力哉監督、キャストの良さを引き出して手堅くまとめている。内容も深みがあり、観て良かったと思える佳編だ。...
View Article「月」
観る前は“これは石井裕也監督の持ち味に合っていない題材ではないだろうか”と思っていたら、実際作品に接してみるとその通りだったので脱力した。辺見庸による原作は読んでいないが、実際に起こった凶悪事件を扱っていることは確かで、映画化に際しては真正面から描くことは必須である。ところが、このネタを変化球主体の石井監督に任せてしまうとは、まったくもって製作側の意図が掴めない。...
View Article「大河への道」
2022年作品。一つ間違えばキワ物として片付けられそうな題材だが、不必要なケレンや内輪ネタに走ることなく正攻法で作られているのは好ましい。タイトルにある通り、物語の発端こそ大河ドラマがモチーフになっているものの、中身は時代劇と現代劇が上手いバランスで振り分けられており、それぞれが手堅く仕上がっていることに感心した。地味ながら、存在感のある映画だ。...
View Article「ドミノ」
(原題:HYPNOTIC)まず、この邦題はいただけない。確かに劇中でドミノ倒しのショットが一部入るのだが、原題とは懸け離れているし映画の中身とも大してリンクしていない。だいたい、トニー・スコット監督が2005年に手掛けた作品(あっちは原題通り)と被ってしまうではないか。こういう安易な提供の仕方が、映画の出来自体をも暗示しているようで釈然としない気分になる。...
View Article「クレイジークルーズ」
2023年11月よりNetflixより配信されたミステリー編。いかにもお手軽な雰囲気の外観だが、中身も限りなくライト級だ。正直言って、決して安くはない入場料を払って映画館で鑑賞したならば大いに不満が出てくると思う。だが、テレビの(ちょっと金の掛かった)2時間ドラマだと思って接すれば、あまり腹も立たない。少なくともヒマ潰しぐらいにはなるだろう。...
View Article「シェアの法則」
実質的には東京都豊島区の“ご当地映画”であろう。だから話が紋切り型の教条的な流れになるのも仕方が無いと思われたが、これが一筋縄ではいかない構造を提示しており、感心するようなレベルに仕上がっている。体裁がどうあれ、練られた脚本と堅実な演出、そして達者な演技陣さえ揃っていれば見応えのあるシャシンに仕上がるのだ。...
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