「二十日鼠と人間」
(原題:OF MICE AND MEN )92年作品。実にウェルメイドで、鑑賞後の満足感は高い。有名な原作を前に、作り手たちは少しも動じていない。登場人物の内面は丹念に掬い上げられ、主題も明確に提示される。キャストの仕事ぶりも言うことなしだ。...
View Article「サスペリア」
(原題:SUSPIRIA)結局、良かったのはトム・ヨークによる音楽だけだった。ただし、それはサントラ盤の出来映えに限っての話であり、映画音楽としては機能していない。ならば本作における音楽以外の要素はどうかといえば、すべてが落第点だ。まさに、本年度ワーストワンの有力候補と言えよう。...
View Article「シンプルメン」
(原題:SIMPLE MEN)92年作品。ハル・ハートリーという監督は、ニューヨーク派の新しい旗手といった扱いで、その作品は90年代に“意識高め”(?)の映画ファンの間で随分と持て囃されたようだ。しかしながら2000年代以降には日本ではあまり名前を聞かなくなった。それで近年は何本か単発的に作品は公開されているが、それほど大きな話題になっていないように思う(実際、私も観ていない)。...
View Article気鋭のピアニストの演奏を聴いてみた。
今月(2月)に福岡市中央区天神にある福岡シンフォニーホールで開催された、藤岡幸夫指揮の日本フィルハーモニー交響楽団の公演に行ってみた。曲目はドヴォルザークのスラブ舞曲第1番および交響曲第9番「新世界より」、そしてチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番である。なお、私がこのオーケストラを生で聴くのは5年ぶりだ。...
View Article「バーニング 劇場版」
(英題:BURNING )簡潔に描けば短時間で済むようなネタを、勿体ぶった語り口でダラダラと引き延ばし、挙げ句の果てに“生煮え”で終わるという、私の最も嫌うタイプの映画だ。とにかく上映中は睡魔との戦いに明け暮れ、実に不本意な時間の使い方をしてしまった。...
View Article「ドミノ・ターゲット」
(原題:The Domino Principle)77年作品。数々の秀作をモノにしたスタンリー・クレイマー監督も、最後の映画になった本作では往年の才気は影を潜めてしまった。ただし、製作当時の先の見えない国際情勢を反映しているであろう点には、多少の興味は覚える。...
View Article「迫り来る嵐」
(原題:暴雪将至 THE LOOMING STORM)物語の設定や画面造型は、ディアオ・イーナン監督の「薄氷の殺人」(2014年)と良く似ている。出来の方は「薄氷の殺人」よりはいくらかマシだ。しかし、殊更持ち上げるほど良くはない。聞けば第30回東京国際映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞しているらしいが、それほどのシャシンとは思えない。...
View Article「ガントレット」
(原題:THE GAUNTLET)77年作品。クリント・イーストウッドの監督作は個人的に概ね好みではないが、気に入った映画もわずかにあり、本作はその中の一本だ。もっとも脚本はイーストウッドではないので(担当したのはマイケル・バトラーとデニス・シュラック)、そのせいかもしれない。...
View Article「女王陛下のお気に入り」
(原題:THE FAVOURITE )世評は高く、米アカデミー賞でも最多10ノミネートを獲得したようだが、個人的には全然楽しめなかった。理由は明らかで、各キャラクターおよび時代・舞台背景の掘り下げが浅いからだ。とにかくすべてが表面的で、結果として極めて退屈な2時間を過ごすことになった。...
View Article「アクアマン」
(原題:AQUAMAN )楽しめた。聞けば(現時点で)DC映画史上ナンバーワンの興行成績を記録したらしいが、それも頷けるほどの快作だ。上映時間は長めだが、見せ場を矢継ぎ早に繰り出し、一時たりとも退屈することがない。鑑賞後の満腹感は格別である。...
View Articleしばらく休みます。
近々引っ越すことになり(同一県内ですが ^^;)、その準備作業および転居後の荷物整理にしばらく追われるため、ゆっくりと映画を観に行く時間が取れなくなります。 したがって、ブログの更新を当面休みます。再開はおよそ一ヶ月後になると思います。 では、よろしくお願いします -> ALL。
View Article「第16回九州ハイエンドオーディオフェア」リポート(その1)
去る3月29日から31日にかけて、福岡市博多区石城にある福岡国際会議場で開催された「九州ハイエンドオーディオフェア」に行ってきた。まず目を引いたのは、YAMAHAの新しいアナログプレーヤーGT-5000である。...
View Article「第16回九州ハイエンドオーディオフェア」リポート(その2)
SPEC社の新型メインアンプRPA-MG1は、左右別々のモノラル形式でありながら、それぞれ電源部が別れており、一揃いで4台の筐体が並ぶことになる。さらに、実は片チャンネルに2系統のパワー部分が存在し、スピーカーとバイアンプで接続する場合のみ2つのパワーユニットが作動するという、何ともユニークな作りで驚かされた。...
View Article「翔んで埼玉」
ほとんど笑えず、全体的には“お手軽映画”の域を出ない。早い話が首都圏在住(あるいは出身)の観客以外にはアピール度が低いということなのだろう。もちろん、そういう“地域ネタ”が幅広く支持を集めるほどに映画自体が練り上げられていれば文句は無いが、斯様な方法論は元々ハードルが高いし、この映画の作り手にそれだけの力量があるとは思えない。...
View Article「半世界」
タイトル通りの、独自の切り口が面白く、最後までしっかりとスクリーンに対峙出来た。前にも書いたが、阪本順治監督は作品の質の幅が大きい作家だ。その中でも、本作は出来が良い部類だろう。原作の無いオリジナルストーリーだというのも好印象である。...
View Article「シャンドライの恋」
(原題:L'assedio )98年作品。昨年(2018年)に世を去ったベルナルド・ベルトルッチ監督は“巨匠”という評価が確定しているようだが、個人的には「1900年」(76年)あたりがキャリアのピークだと思っている。それ以降の作品はどうにもパッとせず、大ヒットした「ラストエンペラー」(87年)も私はあまり評価していない。本作も例外ではなく、上映時間は短いが観ている間はとても長く感じられる。...
View Article「ビール・ストリートの恋人たち」
(原題:IF BEALE STREET COULD TALK)作品の外観の雰囲気は良いのだが、中身は薄い。監督のバリー・ジェンキンスとしても、高く評価された前作「ムーンライト」(2016年)にはとても及ばない仕事ぶりで、早くも方向性に迷いが出ている印象を受けた。...
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