「ヴィタール」
2004年作品。塚本晋也監督作品の中では一番面白くない。“事故で記憶をなくした医学生が、解剖実習により記憶の断片がよみがえることを知り、それにのめりこんで行く”といった、この監督らしい異常なネタを扱いながら、やけに印象は淡白だ。...
View Article「ザ・トライブ」
(英題:The Tribe )アイデア倒れの映画であり、観ていて馬鹿らしくなる。褒めている評論家もいるようだが、小手先のギミックに目がくらんで作品自体の論評を放棄したような粗忽者と言うべきだろう。聞けば第67回カンヌ国際映画祭の批評家週間で賞を獲得したらしい。だが、主要アワードの受賞作が良い映画とは限らないことを、今回またしても認識することになった。...
View Article「アリス」
(原題:ALICE )90年作品。ウディ・アレンの第20作目だが、前作「重罪と軽罪」(89年)や前々作「私の中のもうひとりの私」(88年)と比べると、完全に物足りない出来である。まず、一番の敗因は、まさかと思われたオカルトまがいのネタをやってしまったことだ。...
View Article「サンドラの週末」
(原題:DEUX JOURS, UNE NUIT)厳しくも見応えのある映画だ。ヒロインの行動に“まったく問題は無い”とは言えないが、絶望的な状況に追い込まれた者が形振り構わぬ“反撃”に打って出ることにより初めて自分自身と他者に正面から向き合い、新たな関係性を見出していく過程を力強いタッチで描き、全編目が離せない。また現代社会が内包する問題を鋭く指摘しているあたりも見逃せない点だ。...
View Article「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」
(原題:Romancing the Stone )84年作品。実に面白い冒険活劇だ。奇しくもスピルバーグの「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」と同じ年に公開されているが、こちらの方が大人の鑑賞に耐えうる出来であり、観て得した気分になる。ロバート・ゼメキス監督作としても、このあとに撮った「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズの助走になるような勢いのあるシャシンだと言える。...
View Article「グローリー 明日への行進」
(原題:Selma )重い題材を扱っているはずだが、観た印象は薄くて軽い。話のまとめ方やキャラクター設定等が練り上げられておらず、散漫で盛り上がりに欠ける。聞けば初めてマーティン・ルーサー・キングJr.牧師自身を描いた映画とのことだが(今までは遺族の承諾を得られなかったらしい)、アカデミー賞候補になったのはそんな背景があるからであり、作品自体が評価されたからではないのではと思ってしまった。...
View Article2回目の“映画音楽鑑賞会”を催してみた。
昨年(2014年)末に映画好きの仲間を拙宅に何人か呼んで“映画音楽を聴く会”みたいなものをやったが、好評につき今回2度目の開催と相成った。前回よりも参加人数は多く、狭い我が家がますます窮屈になった感があったが(笑)、時間も再生曲数も多めに取ることが出来てけっこう盛り上がった。...
View Article「海街diary」
肌触りは良いが、深みは無い。大事なことが何も描き込まれておらず、ただムード的に全てが過ぎ去っていく。是枝裕和監督は“この程度”のシャシンでカンヌ国際映画祭で賞を取れるとでも思っていたのだろうか。もしもそうだとすれば、随分と見通しが甘かったと言わざるを得ない。...
View Article「EUREKA(ユリイカ)」
2000年作品。第53回カンヌ国際映画祭にて国際批評家連盟賞とエキュメニック賞を受賞し、その長大な上映時間と独特の映像も相まって、封切り当時は話題になった映画だ。個人的には諸手を挙げての賞賛は出来ないが、作品の佇まいには惹かれるものを感じる。...
View Article「侍女の物語」
(原題:THE HANDMAID'S TALE )89年作品。快作「ブリキの太鼓」(79年)で一世を風靡したドイツの鬼才フォルカー・シュレンドルフがアメリカ資本を加えて作成したシャシンだが、どうもパッとしない。イマジネーションの枯渇が甚だしく、同監督は以後長い低迷期に入る。...
View Article「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
(原題:Mad Max Fury Road )どこが面白いのか分からない。脚本ダメ、映像ダメ、キャラクター設定ダメというこのシャシン、どこをどう見ても評価できるポイントは見つからない。褒め上げている評論家連中は、いったい何を考えているのやら。 前作「マッドマックス...
View Article「ラブ&ピース」
園子温監督の奇天烈な作風を承知の上で臨まないと、珍妙な失敗作にしか見えないだろう。愛をテーマに往年の特撮怪獣映画の要素を取り入れつつ、実は「トイ・ストーリー」の日本版であったという、捻りを入れすぎたドラマツルギーを笑って許せるかどうかで、本作の評価は左右される。...
View Article「エイミー」
(原題:Amy )97年オーストラリア映画。全く期待していなかったんでそこそこ観られたけど、特筆するような出来でもないと思う。ただ、昨年(2014年)に観た「メイジーの瞳」と似た設定でありながら、あの映画のようなドラスティックな割り切り方をしていないあたりが一種の救いかもしれない。...
View Article「きみはいい子」
とても良い映画だ。観る者によっては“話の中身が甘い”と感じるのかもしれないが、これは決して事態を悲観していない作者のポジティヴなスタンスが現れていると見るべきだろう。第37回モスクワ国際映画祭で最優秀アジア映画賞を受賞したが、もっと格上の映画祭にも堂々と出品出来るだけのクォリティを保持していると思う。...
View Article「ノー・マンズ・ランド」
(原題:No Man's Land )2001年作品。舞台劇の雰囲気を持つ異色の戦争映画で、その年の米アカデミー賞外国語映画賞を獲得している。だが、3人の兵士が留まる塹壕を中心にしたキャラクター配置に幾分図式的なものを感じ、諸手を挙げては評価できない。...
View Article「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」
(原題:Avengers Age of Ultron)前作に比べると大幅に落ちる内容。とにかく脚本がヒドい。あまりのいい加減さに途中退場したくなる。特殊効果やキャストのギャラにカネを注ぎ込むよりも、マトモなシナリオライターにそれなりの報酬を与えてちゃんとした筋書きを用意させるべきであった。...
View Article「ワンダー・ボーイズ」
(原題:Wonder Boys )99年作品。カーティス・ハンソン監督が本作の前に撮った快作「L.A.コンフィデンシャル」の好調ぶりがここでも持続しているようで、一時たりとも退屈させない上出来のドラマに仕上げられている。...
View Article「アリスのままで」
(原題:Still Alice )凡作だ。突っ込みが浅く、ストーリーはいい加減で、演出は冗長。わざわざ劇場に足を運ぶまでもなく、テレビ画面で(それも、ヒマな時に)接するのが相応しい。...
View Article「レッド・バイオリン」
(原題:The Red Violin)98年カナダ作品。本作で第72回アカデミー賞作曲賞を獲得したジョン・コリリアーノの音楽は素晴らしい。とにかく官能的で目覚ましい美しさに溢れ、聴く者を恍惚とさせる求心力を発揮。それだけで入場料のモトは取った気になる。...
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