(原題:Avengers Age of Ultron)前作に比べると大幅に落ちる内容。とにかく脚本がヒドい。あまりのいい加減さに途中退場したくなる。特殊効果やキャストのギャラにカネを注ぎ込むよりも、マトモなシナリオライターにそれなりの報酬を与えてちゃんとした筋書きを用意させるべきであった。
ファシスト集団ヒドラの残党が“ロキの杖”を使い人体実験をしていることを掴んだアベンジャーズの面々は、東欧ソコヴィアの研究施設を急襲。人体実験で特殊能力を得た姉弟に苦戦しながらも、杖を奪還する。アイアンマンことトニー・スタークとハルクことブルース・バナーは、杖の先に付いている石に人工知能らしきものが存在することを発見。スタークはこれを使い世界的な平和維持システムであるウルトロン計画を押し進めようとする。
ある夜、アベンジャーズのメンバー全員が留守の間に、石の中の人工知能が突然ウルトロンとして覚醒する。ウルトロンは地球を救うためには人類を絶滅させなければならないと勝手に合点し、研究所にあった部材で自らの身体と手下のロボット軍団を建造。アベンジャーズと敵対する。
先走った科学者が良かれと思って作ったロボットや人工知能や新種のウイルスなどが人類に対して牙を剥くというハナシは、さんざん使い古されたネタであり新味の欠片もない。アメコミの映画化作品に限っても、ついこの間「アイアンマン3」と「X-MEN フューチャー&パスト」で扱ったばかりであり、いったい何を考えてこの企画を通したのか理解に苦しむ。
この陳腐な題材を糊塗するかのごとく、各メンバーの過去に関する(元ネタを知らない者には意味不明の)モチーフや、要領を得ないアベンジャーズ同士の反目の蒸し返しなどが挿入され、そして後半にジャーヴィスとかいうワケの分からないキャラクターが“参戦”してくるに及び、ドラマは混迷の度を増してくる。異次元世界からの侵略に一致団結して立ち向かうという、前作のシンプルな構造とは大違いの散漫な筋書きだ。
大金を掛けただけあって活劇シーンは派手だが、撮り方が一本調子なのですぐに飽きる。いかにも“全部CGで処理しました”と言わんばかりのチャラチャラした動きの連続は、目が疲れるだけでカタルシスも希薄。監督はジョス・ウェドンが連続登板しているが今回は不調のようで、メリハリの無い展開に終始している。
ロバート・ダウニー Jr.をはじめクリス・ヘムズワース、マーク・ラファロ、クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・レナーといったお馴染みの面々も“低調な顔見世興行”の域を出ず、新加入のエリザベス・オルセンの不細工ぶりも盛り下がるばかり。次作があるのかどうかは不明だが、もし出来るとしたらもっとシッカリと作ってもらいたい。