「ソウルの春」
(英題:12.12:THE DAY )韓国映画の好調ぶりを改めて確認できる一本だ。特に本作のような、近現代史にスポットを当てた大掛かりなシャシンでは、まさに正攻法のアプローチに徹して弛緩する箇所は見当たらない。これがもしも現時点で日本映画が似たようなネタを取り上げたならば、演技面で難のある“若手タレント”が少なからずキャスティングされて感心しない出来になったことだろう。...
View Article「集団左遷」
94年製作の、東映による社会派映画。こういう題材がそれまでなかったのが不思議で、遅まきながら作られたことは評価しよう。何より感心したのは、ドラマが浪花節的なお涙頂戴劇に走るのを必死になって阻止しようという、スタッフの努力が伝わってくることだ。...
View Article「モンキーマン」
(原題:MONKEY MAN)大いに楽しめる熱血活劇編だ。もっとも、観る者を選ぶ。小綺麗でスマートな出で立ちのシャシンが好きな多くの“カタギの皆さん(謎 ^^;)”はまず受け付けないだろう。だが、私をはじめとするヒネた映画好きには、過去の有名作からの引用も含めた力任せの建て付けに、共感してしまう向きも少なくないと想像する。...
View Article「全部ゲームのせい」
(原題:SPIELEABEND )2024年7月よりNetflixから配信されたドイツ作品。冒頭の明るいラブコメ的展開は、とてもドイツ映画とは思えない雰囲気なのだが(笑)、途中から筋書きが怪しくヒネたものになるに及び、やっぱりドイツらしさ(?)は確保されていると納得してしまった。とはいえダークな方向には行かずにコメディの体裁は整えられているので、観て損のないシャシンではある。...
View Article「アグリーズ」
(原題:UGLIES)2024年9月よりNetflixから配信されたディストピアSF作品。ラストが尻切れトンボであり、これは明らかに続編の製作を前提に撮られたものだろう(もしもパート2以降の予定が無く、これで終わりならばシャレにならない)。とはいえカネは掛けられていて映像の喚起力はかなりあるので、観て損は無いとも言える。...
View Article「愛に乱暴」
実に胸糞が悪くなる映画だ。断っておくけど、この“胸糞”という言い方は最近は時に褒め言葉として使われるようなので、ここではそう表現させてもらった。とにかくインモラルなモチーフが釣瓶打ちで、ここまで追い込むかと半ば感心しながら鑑賞を終えた次第。広く奨められるシャシンでは決してないが、求心力の高さは認めざるを得ない。...
View Article超絶リアリズム絵画展に行ってきた。
先日、福岡市博多区下川端町にある福岡市アジア美術館で開催されていた「ホキ美術館所蔵名品展 超絶リアリズム絵画」に行ってきた。ホキ美術館は千葉市にあり、写実絵画を専門とするミュージアムだ。その所有作品はすべて日本人の現代作家たちによるもので、約500点を保有しているという。今回の展覧会は、そのコレクションの中から64点が選抜されている。...
View Article「ラストマイル」
取り敢えず最後まで退屈せずにスクリーンに向き合えたが、正直“こういう映画の作り方ってアリなのか?”という違和感を拭いきれない。確かにカネは掛かっているものの、これは地上波か配信でテレビ画面で鑑賞すべきシャシンではないかと思う。しかも、これが最近の(実写の)邦画では珍しくヒットを飛ばしているという事実を見るに及び、日本映画を取り巻く環境について改めて考え込んでしまった。...
View Article「きみの色」
これは面白くない。とにかくシナリオの出来が悪すぎる。そしてアニメーション技術も及第点には達していない。監督の山田尚子が2016年に手掛けた「映画 聲の形」は、食い足りない部分は多々あるものの、主人公の造型と卓越したアイデアが満載の映像処理により見応えのある作品に仕上がっていた。だからこの新作も期待したのだが、完全にハズレだったようだ。...
View Article「恋は光」
2022年作品。体裁は(普段は私はノーマークの)若年層向けのラブコメなのだが、快作「彼女が好きなものは」(2021年)での好演が印象的だった神尾楓珠が主役ということでチェックしてみた。結果、けっこう楽しんで観ることが出来た。何より、この手のシャシンにありがちな浮ついたタッチが控え目で、さらにテーマとしては浅からぬ素材を扱っているあたりがポイントが高い。...
View Article「ランサム 非公式作戦」
(英題:RANSOMED)先日観た「ソウルの春」では韓国映画のパワーを実感したが、本作のヴォルテージはそれを上回る。少なくとも、娯楽映画としては「ソウルの春」よりも優れていると言えよう。こういうシャシンは今の日本ではまず作れないし、ひょっとしたらハリウッドでも難しいかもしれない。とにかく、130分あまりの尺を一時もダレることなく楽しませてくれる。...
View Article「Work It 輝けわたし!」
2020年8月よりNetflixから配信。典型的な青春スポ根ダンス映画で、こういうネタにおいては、よほど作りがヘタでない限り観ていてある程度の満足感は得られるものだ。本作もまさにそうで、不満を覚えることなく接することが出来る。加えて、今売り出し中の若手女優サブリナ・カーペンターが主人公に扮していることもポイントが高い。...
View Article「侍タイムスリッパー」
楽しめた。早くも“第二の「カメラを止めるな!」”という声もあるようだが、確かに卓越した着想と映画のバックステージものを絡めた建て付けは「カメラを止めるな!」(2017年)と共通している。また、当初は小規模での封切りが口コミによって拡大公開になったプロセスも似たようなものだ。そして何より、作者の映画に対する愛情が存分に感じられる点は同じであり、こういうシャシンが広範囲な支持を集めるのだろう。...
View Article「マイ・ライフ」
(原題:SEE HOW SHE RUNS)78年作品。同じ邦題のアメリカ映画(93年)があるが、あれとは別物だ。マサチューセッツ州で離婚して娘2人と暮らしていた中年女性ベティ・クインが、何かのきっかけでマラソンを始め、やがてボストンマラソン大会に参加する。そして、こじれていた周りとの人間関係も、彼女のこの素晴らしいマラソン大会での走りっぷりをもってすべて丸く収まるという話。...
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