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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「モンキーマン」

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 (原題:MONKEY MAN)大いに楽しめる熱血活劇編だ。もっとも、観る者を選ぶ。小綺麗でスマートな出で立ちのシャシンが好きな多くの“カタギの皆さん(謎 ^^;)”はまず受け付けないだろう。だが、私をはじめとするヒネた映画好きには、過去の有名作からの引用も含めた力任せの建て付けに、共感してしまう向きも少なくないと想像する。

 インドの某都市で密かに開かれている闇のファイトクラブで、猿のマスクを被って“モンキーマン”と名乗り、殴られ屋として生計を立てているキッドは、この町にいるはずの母の敵を探していた。彼は幼い頃に故郷の村を焼かれて孤児となり、それ依頼どん底の人生を歩んでいたのだ。そんな時、彼はかつて自分から全てを奪った者たちのアジトに使用人として潜入することに成功する。悪者どもの首魁は昔彼の住む村で狼藉をはたらいた警察幹部だけではなく、その上に君臨する怪しげな教祖であることを知ったキッドは、周到に復讐の手はずを整えていく。



 とにかく、主演と監督を務め脚本にも参画したデヴ・パテルの才覚に感心する。明言はされていないが、たぶんブルース・リーの影響が大きいだろう。ブルース・リーも、何本か主演と共に演出やシナリオ作成も手掛けていた。肉体アクション主体であることはもちろん、終盤での格闘シーンにおける鏡の使い方などを目撃するに及び“おお、やっとるわい!”と心の中で快哉を叫んでしまった。

 基本が復讐譚なので明るい話になるはずはなく、陰惨で残虐なシーンはあるし展開は力任せで泥臭い。だが、何とかして自身の熱いパッションをスクリーンに叩き付けたいという映画作家デヴ・パテルの切実な思いが横溢して、全編瞠目させられっぱなしだ。パテルは「スラムドッグ$ミリオネア」(2008年)で主人公の少年を演じて強い印象を残したが、ここまでの遣り手に成長したのかと、驚くしかない。

 地下格闘場での酩酊するような高揚感から、敵の本拠地に紛れ込んで人脈を作る等のパートの“緩徐楽章”を経て、あの「死亡遊戯」(78年)ばりの各階に配されたバトルに達するまで、まさに筋書きはジェットコースターだ。シャロン・メールのカメラが捉えた架空のインドの町の情景は、猥雑で剣呑で実に求心力が高い(ロケ地はインドネシアらしいが)。エスニック色を前面に出したジェド・カーゼルの音楽も効果的だ。

 格闘相手をに扮するシャルト・コプリーをはじめ、ピトバッシュにビピン・シャルマ、シカンダル・ケール、アディティ・カルクンテ、ソビタ・ドゥリパラなど、キャストは馴染みは無いが皆良い面構えをしている。

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