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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「マイ・ライフ」

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 (原題:SEE HOW SHE RUNS)78年作品。同じ邦題のアメリカ映画(93年)があるが、あれとは別物だ。マサチューセッツ州で離婚して娘2人と暮らしていた中年女性ベティ・クインが、何かのきっかけでマラソンを始め、やがてボストンマラソン大会に参加する。そして、こじれていた周りとの人間関係も、彼女のこの素晴らしいマラソン大会での走りっぷりをもってすべて丸く収まるという話。

 この時期のアメリカ映画は、落ちこぼれとか反体制に対するシンパ的な態度からスタンスを変え始め、日々努力する者こそ救われるというヒューマニズム映画が主流になっていたようだ(「ロッキー」あたりがその嚆矢だろうか)。本作もそのカテゴリーに入る映画で、ここでは離婚して苦労している女性でも、何か努力する目標さえあれば必ず良いことがある、必ず救われるのだというヒューマンな思想に貫かれている。やはりこの手のシャシンは多少のウソがあっても心地よく観られる。



 主人公が当初ダイエット目的でジョギングを始めたのは分かるが、それがどうしてフルマラソンにまで挑戦したくなったのか、そのへんの理由がハッキリ描かれていない不満もあるが、そこは“雰囲気”あるいは“その場のノリ”で見せきっている。主演はジョアン・ウッドワードで、当時すでに40歳を超えていたのだが容姿は若々しくて美しい。ポール・ニューマンが惚れたのも無理はないだろう(笑)。彼女の頑張りは相当のもので、クライマックスのマラソン大会の場面も十分感動的だ。

 しかし、私は主人公よりも、ヒロインの年老いた父の方にとても興味を持った。もうトシを取って歩けないので、車椅子に乗って絵ばかりを描いている。ところがこれが何とただの趣味ではなく、彼の描く絵は“テレビの絵”なのだ。毎日テレビを見るしかやることが無く、過去も現在もテレビしかない。老いの残酷さがダイレクトに伝わってきて慄然とする思いである。

 リチャード・T・ヘフロンの演出は達者で、最後までドラマを弛緩させずに進めている。リシー・ニューマンにメアリー・ベス・マニング、ジョン・コンシダイン、バーナード・ヒューズといった共演者も申し分なく、ロン・ロートアのカメラによる明るい映像も印象的だ。

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