2020年8月よりNetflixから配信。典型的な青春スポ根ダンス映画で、こういうネタにおいては、よほど作りがヘタでない限り観ていてある程度の満足感は得られるものだ。本作もまさにそうで、不満を覚えることなく接することが出来る。加えて、今売り出し中の若手女優サブリナ・カーペンターが主人公に扮していることもポイントが高い。
ノースカロライナ州在住の女子高生クイン・アッカーマンは、亡き父の母校である南部の名門デューク大への進学を目指し、勉学やボランティア活動に打ち込んでいた。しかし、一次面接試験でアピールポイントが不足していることを指摘されると、思わず同じ高校の強豪ダンスチームのメンバーであるとウソをついてしまう。
確かに彼女はそのクラブに関与はしていたのだが、実は単なる照明係だ。窮地に追い込まれたクインは、チームで活躍する親友のジャスミンを引き抜き、経験豊富とは言えないメンバーをかき集めて新たなチームを結成する。だがクインは運動神経が鈍く、指導力も無い。そこで彼女は、かつてのダンス巧者で現在は足の故障で引退しているジェイク・テイラーを口説き落として、チーム顧問に据えることに成功する。
ストーリーはこの手の映画の常道をキープする。つまりは“落ちこぼれたちが集まって、努力を重ねて大舞台で活躍する”というハナシだ。変わり映えは無いが、それだけに安心して観ていられている。ダンスの場面は万全で、腕に覚えのある者たちばかりが出ており、その妙技に目を奪われる。
ヒロインの造型も、最初は素人臭さ全開ながら徐々に力を付けていくという定番の位置付けだが、とにかく明朗で前向きなのは好ましい。まあ、途中で挫折しそうになったり、勉学との両立に悩んだり、母親と進路に関してケンカもするのだが、上手い具合に解決する。ジャスミンとの友情やジェイクとの色恋沙汰も、スパイス的に挿入される。
また、クインが社会奉仕活動のため通う老人ホームでの心にしみるシークエンスや、肉体的ハンディがある者ばかりで構成されたダンスチームの神業的パフォーマンスなど、興味深いモチーフも用意されている。ローラ・テルーゾの演出は堅実で、テンポが悪くなることも無い。
主演のカーペンターは元気で好ましいキャラクターの持ち主で、演技も問題なくこなす。また、アメリカの女優としてはとても小柄で、なおかつ太すぎる眉毛がかなりのインパクト(笑)。これならばすぐに顔を覚えてもらえる。ライザ・コーシーにキーナン・ロンズデール、ミシェル・ブトー、ジョーダン・フィッシャー、ナオミ・スニッカスら脇のキャストも悪くない。