「To Leslie トゥ・レスリー」
(原題:TO LESLIE )多分に“甘い”ところもある筋立てながら、最後まで惹き付けられたのは主人公の突出した造型と、絶妙な周囲のキャラクター配置、そして名人芸的な演出ゆえである。本国では単館上映から始まり、興行成績も大したことがなかった作品だが、この映画を“発掘゜して賞レースを賑わせるまでに押し上げた演技派俳優たちの慧眼を大いに認めたい。...
View Article「ぼくたちの哲学教室」
(原題:YOUNG PLATO )作者が主張したかったテーマとは、おそらくは全く違う事柄に感心してしまった。鑑賞者の置かれた環境によっては、作品の狙いとは異なるモチーフが強い印象を与えることもあるのだ。ましてやこの映画はドキュメンタリーであり、観客による受け取り方の幅は通常の劇映画よりも広いと思う。...
View Article「ちひろさん」
2023年2月よりNetflixより配信。この主人公像にはまったく共感できないし、そもそも現実感が無い。しかしながら、最後まで退屈させずに見せきったのは、主演女優をはじめとしする各キャストの頑張りと、丁寧な演出の賜物である。積極的に支持できるシャシンではないものの、観て損はさせないだけの中身はある。...
View Article「ザ・フラッシュ」
(原題:THE FLASH )八方破れの建て付けであり、映画の質としてはあまり上等とは言えない。しかし、随所に堪えられないチャームポイントが散りばめられており、決して嫌いにはなれないシャシンだ。特に、無駄に映画ファン歴が長い私のようなオッサンにとっては、観て得をしたような気にもなる。長すぎると思われる2時間を超える尺も、大した欠点ではないと思う。...
View Article世界水泳を観戦した。
7月14日から福岡市博多区沖浜町にあるコンサートホール・コンベンションセンター、マリンメッセ福岡で開催された第20回世界水泳選手権大会に足を運んでみた。ただし、正直言って個人的にはこの競技にはあまり興味は無い。しかし、スポーツ好きの嫁御が先行してチケットをゲットしたので、付き合った次第だ(苦笑)。...
View Article「オレンジ・ランプ」
多分に啓蒙的な内容であり、劇場で公開するよりも職場の人権研修などで流す方が相応しいと思った。しかしながら、紹介されている事実の数々はとても興味深くて参考になるものばかり。その意味では決して観て損はしない。また、語り口は丁寧で不快になるような部分は無く、各キャストは十分仕事をしている。安心して対峙できる映画である。...
View Article「告白、あるいは完璧な弁護」
(英題:CONFESSION)なかなか良くできた韓国製サスペンス劇だ。もっとも、本作は2016年製作のオリオル・パウロ監督によるスペイン映画「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」(私は未見)のリメイクなのだが、それでも最後まで飽きずに見せ切るだけのクォリティは確保されている。登場人物を少数に絞り込んで、それぞれ達者な演技者を振り当てていることもポイントが高い。...
View Article「見えない目撃者」
2019年作品。キャストは頑張っている。ドラマ運びもスピーディーだ。しかし脚本があまりにも不出来である。2011年公開の韓国製サスペンス映画「ブラインド」(私は未見)のリメイクということだが、この企画が持ち上がる際にプロデューサーはシナリオをチェックしなかったのだろうか。それとも、作劇に勢いさえあれば筋書きの欠点など余裕でカバーできると踏んだのか。いずれにしろ、評価しがたい内容だ。...
View Article「山女」
題材と作品の雰囲気は悪くないが、釈然としない部分目立ち、個人的には評価しがたい。柳田國男の「遠野物語」に着想を得た作品としては、82年に公開された村野鐵太郎監督の「遠野物語」よりはマシだとは思う。しかしながら、元ネタが逸話や伝承に基づいた一種のファンタジーであっても、ドラマ化する場合はストーリーの整合性は保たれるべきだ。本作はその点が食い足りない。...
View Article「ミックスド・バイ・エリー 俺たちの音楽帝国」
(原題:MIXED BY ERRY )2023年5月よりNetflixより配信。取り上げられた題材は興味深く、各キャラクターは十分“立って”いる。正直、ストーリー自体はそれほどでもないのだが、作品のカラーは捨てがたく、観て損しないレベルに仕上げられていると思う。特に音楽好きにはアピールするところが大きいだろう。...
View Article「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」
(原題:INDIANA JONES AND THE DIAL OF DESTINY )前作「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」の公開から15年も経っているのに、引き続きハリソン・フォードが主人公を演じているという事前情報だけで、期待するのは禁物だなと身構えた。そして実際に作品に接し、その予想は的中した。...
View Article「仁義なき戦い 頂上作戦」
74年東映作品。シリーズ第四作目だが、第一作(73年)にいくらかは感じられた主要登場人物たちのヒロイックな造形は完全に無くなっており、全編これ欲得尽くに振る舞うヤクザどもの無軌道な行状がこれでもかと展開する。まさしく“仁義なき戦い”そのもので、現実を正しく照射しているという意味では大いに存在感のあるシャシンだ。...
View Article「アイスクリームフィーバー」
これは参った。今どき“こういう映像”や“こういう作劇”をオシャレだと思っている作家がいて、そんなスタンスを“そのまま”映画にしてしまったプロデューサー陣も存在しているという事実に接すると、まさにアイスクリームを急に食べた際の頭と奥歯がキーンと痛む現象と似た、愉快ならざる症状を覚える(意味不明 ^^;)。とにかく、評価のしようがない作品だ。...
View Article「CLOSE/クロース」
(原題:CLOSE )まるでピンと来ない映画である。少なくとも個人的には共感する部分がまったく無かった。かなり世評は高いようだが、それらは作品の中身ではなく“別の要素”に対する興味によると思われる。何度も言うようで恐縮だが、最近の映画界は“内容よりも取り上げられた題材が重要視される”という傾向があるが、この作品もその流れにある一本だ。...
View Article「ゼイ・クローン・タイローン 俺たちクローン?」
(原題:THEY CLONED TYRONE)2023年7月よりNetflixより配信。奇妙なテイストが味わえるシャシンだ。とびきり面白いわけではないが、独特の世界観と気の利いた御膳立てにより最後まで楽しませてくれる。また表面的にはふざけているようでいて、けっこう硬派の社会派ネタも挿入されており、鑑賞後の印象は強い。...
View Article「リバー、流れないでよ」
巷では絶賛されているらしく、実際観ても最後まで飽きずに接することは出来たが、諸手を挙げて評価するほどではない。少なくとも、同じく劇団“ヨーロッパ企画”が提供したシャシンでは「サマータイムマシン・ブルース」(2005年)の方が数段楽しめる。さらには、似たような体裁の「MONDAYS...
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