山下達郎が自身が所属するプロダクションを契約解除になった音楽プロデューサーの一件について、2030年7月9日オンエアのラジオ番組において、事の発端になったらしいジャニーズ事務所をめぐるスキャンダルを絡めてコメントしたところ“大炎上”の様相を呈したことは記憶に新しいところだ。ただし、山下の“(くだんのプロデューサーの発言は)憶測に基づく一方的な批判だ”とか“そういう方々には私の音楽は不要”とかいった物言いに対しては、すでに各方面から数多くのコメントが発せられているので、ここで私があれこれ言うのは差し控える。
それよりも私が気になったのは、山下の“数々の才能あるタレントさんを輩出したジャニーさんの功績(中略)ジャニーさんの育てた数多くのタレントさんたちが、戦後の日本で、どれだけの人の心を温め、幸せにし、夢を与えてきたか”という発言だ。ジャニー喜多川にまつわる醜聞は別にしても、果たしてジャニーおよび彼が創設したプロダクションが、そんなに持ち上げられるほどの“功績”を残したのか、大いに疑問だ。
確かに、ジャニーが手掛けたタレントはシングル1位獲得が47組、ヒットチャートのトップに上り詰めたナンバーは439作品という、ギネス世界記録になるほどの実績をあげている。しかし、あくまでそれはビジネス的な成功であり、日本のポップス界全体のレベルを押し上げたわけではない。ジャニーズ事務所は、既存の作曲家などの“現場担当者”たちを、自分たちが売り出したい歌手のスタイルに合わせて起用しただけだ。決して事務所側から何か新しい音楽のスタイルを提案したわけではない。
加えて、ジャニーズのタレントで人様に聴かせられるような歌唱力を持った者は、どの程度いたのだろうか。中には歌が下手なことをネタにされていた者もいたようだが(笑)、男性アイドルに歌のうまさを期待する方が間違っているというような風潮を作り出したのは、この事務所の姿勢にも原因があったと思わざるを得ない。もちろん、世界進出なんてもってのほか。国内市場でペイできるような体制に甘んじていた間に、KーPOP勢に先を越されてしまった。
また、山下の“ジャニーズのタレントたちが、戦後の日本で人の心を温め、幸せにしてきた”というセリフに至っては呆れるしかない。まるで戦後の芸能界でジャニーズの一派だけがアイドル的人気を誇ってきたかのような物言いだ。ジャニーズ以前にも、そしてジャニーズ以外にも男性アイドルは存在している。それにジャニーズ事務所は“数々の才能あるタレントさんを輩出した”どころか、不要な忖度や圧力じみたものを振り撒いて他の勢力を駆逐したという見方もあり、だからこそ公正取引委員会から注意勧告を受けている。
いろいろ書いたが、ジャニーズ事務所およびその“商法”が持て囃されるという構図が、我が国の歌謡界の水準を如実にあらわしていると思う。話は歌謡界に限らず、毒にも薬にもならないシャシンが客を集めている映画界も含め、この“ジャニーズ事務所的なるもの”が罷り通る状況がすなわち日本のエンタテインメントの平均的レベルだということだろう。
なお、山下は“オレの意見に賛同しない者はオレの音楽は聴かなくていい”というスタンスらしいが、あいにく私は山下の音楽はここ30年ばかり積極的に聴いていないし今さら聴く気も無い。まあ、ベスト盤だけは所有しているのだが(苦笑)、長らくCD棚の奥に放置されたままだ。
それよりも私が気になったのは、山下の“数々の才能あるタレントさんを輩出したジャニーさんの功績(中略)ジャニーさんの育てた数多くのタレントさんたちが、戦後の日本で、どれだけの人の心を温め、幸せにし、夢を与えてきたか”という発言だ。ジャニー喜多川にまつわる醜聞は別にしても、果たしてジャニーおよび彼が創設したプロダクションが、そんなに持ち上げられるほどの“功績”を残したのか、大いに疑問だ。
確かに、ジャニーが手掛けたタレントはシングル1位獲得が47組、ヒットチャートのトップに上り詰めたナンバーは439作品という、ギネス世界記録になるほどの実績をあげている。しかし、あくまでそれはビジネス的な成功であり、日本のポップス界全体のレベルを押し上げたわけではない。ジャニーズ事務所は、既存の作曲家などの“現場担当者”たちを、自分たちが売り出したい歌手のスタイルに合わせて起用しただけだ。決して事務所側から何か新しい音楽のスタイルを提案したわけではない。
加えて、ジャニーズのタレントで人様に聴かせられるような歌唱力を持った者は、どの程度いたのだろうか。中には歌が下手なことをネタにされていた者もいたようだが(笑)、男性アイドルに歌のうまさを期待する方が間違っているというような風潮を作り出したのは、この事務所の姿勢にも原因があったと思わざるを得ない。もちろん、世界進出なんてもってのほか。国内市場でペイできるような体制に甘んじていた間に、KーPOP勢に先を越されてしまった。
また、山下の“ジャニーズのタレントたちが、戦後の日本で人の心を温め、幸せにしてきた”というセリフに至っては呆れるしかない。まるで戦後の芸能界でジャニーズの一派だけがアイドル的人気を誇ってきたかのような物言いだ。ジャニーズ以前にも、そしてジャニーズ以外にも男性アイドルは存在している。それにジャニーズ事務所は“数々の才能あるタレントさんを輩出した”どころか、不要な忖度や圧力じみたものを振り撒いて他の勢力を駆逐したという見方もあり、だからこそ公正取引委員会から注意勧告を受けている。
いろいろ書いたが、ジャニーズ事務所およびその“商法”が持て囃されるという構図が、我が国の歌謡界の水準を如実にあらわしていると思う。話は歌謡界に限らず、毒にも薬にもならないシャシンが客を集めている映画界も含め、この“ジャニーズ事務所的なるもの”が罷り通る状況がすなわち日本のエンタテインメントの平均的レベルだということだろう。
なお、山下は“オレの意見に賛同しない者はオレの音楽は聴かなくていい”というスタンスらしいが、あいにく私は山下の音楽はここ30年ばかり積極的に聴いていないし今さら聴く気も無い。まあ、ベスト盤だけは所有しているのだが(苦笑)、長らくCD棚の奥に放置されたままだ。