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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「私をくいとめて」

 明らかな失敗作だ。何より、このネタで上映時間が2時間13分もあるというのは、絶対に無理筋である。余計なシーンが山ほどあり、素人目で見ても30分は削れる。さらにメインプロットは陳腐だし、演出テンポは悪いし、キャスティングに至っては呆れるしかない。プロデューサーはいったい何をやっていたのかと、文句の一つも言いたくなる。...

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「十階のモスキート」

 83年作品。日本映画監督協会理事長をつとめる崔洋一の劇場用長編デビュー作で、ヴェネツィア国際映画祭に出品されると共に、毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞などを受賞。当時は高く評価されたが、実際に本作の質は高い。ちょうどこの頃に邦画界には有望な若手監督が次々と現れて活況を呈し、崔監督もそのムーブメントの一翼を担うと認識されていた。...

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「ワンダーウーマン 1984」

 (原題:WW84)コロナ禍でハリウッド製の大作が軒並み公開延期(あるいは公開見送り)になっている昨今、久々に劇場で上映してくれたこと自体は嬉しかったが、いかんせん本作は出来が悪すぎる。快作だった前回(2017年)と比べても、大幅に落ちる。製作陣はどうしてこの企画(脚本や予算計画)にゴーサインを出したのか、まるで分からない。...

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「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」

 (英題:Bad Genius)2017年タイ作品。とても面白い。ユニークなドラマ設定から絶妙のキャラクター配置、巧みな筋書きと気持ちの良い結末と、娯楽映画に必要な要素はすべて揃っている。加えて、畳み掛けるような展開とキャストの熱演もある。本国で大ヒットを記録したのも当然だろう。...

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「AWAKE」

 各キャストは良くやっており、ストーリーもソツなくまとまっているが、今一つ突き抜けたものが無い。また、舞台背景に関してちゃんとリサーチしたのだろうかと疑われるような箇所があり、諸手を挙げての評価はできない。ただし、こういうネタを採用したこと自体は先見の明がある。今後はこういった題材が、メインテーマはもちろんサブプロットでも数多く取り上げられるようになるのだろう。...

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「神田川淫乱戦争」

 83年作品。「スパイの妻」(2020年)でのヴェネツィア国際映画祭における監督賞受賞で、日本を代表する映像作家であることが一般世間的にも認知された黒沢清のデビュー作だ。全編これオフビートなおふざけの連続で、観る者を戸惑わせる怪作だが、後年の終末感を漂わせたような作風とは一線を画すこの監督の違う面が垣間見えるようで、とても興味深い。...

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「ダーティ・ダンシング」

 (原題:Dirty Dancing )87年作品。日本では封切り時にはほとんど話題にならず、短期間でほぼ忘れ去られた映画だが、アメリカでは大ヒットして、その時代を代表する青春映画の快作という評価が確定している。まあ、そんなタイプのシャシンもあることは認識してはいるが、本作ほど(少なくとも公開時において)本国と他国との受け取られ方の差が大きかった映画はないのではと思う。...

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「この世界に残されて」

 (原題:AKIK MARADTAK )第二次大戦中のナチスドイツによるユダヤ人迫害を描く映画は数え切れないほどあるが、この作品は新たな視点のアプローチが印象的だ。戦争の悲劇を取り上げる際に、声高にシビアな歴史の事実を糾弾することだけが方法論ではない。こうした静かなタッチが、より主題を引き立たせることがあるのだ。...

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「チャンシルさんには福が多いね」

 (英題:LUCKY CHAN-SIL)淡々とした展開だが、楽しめる映画だ。特に、タイトルの“福が多い”というフレーズの根源的意味を追求しているあたりが実に玄妙である。少しでも生き辛さを感じている層(おそらくは、かなり多くの観客)にとっては、文字通り“福音”になりそうな映画だろう。...

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“経済を回す”というスローガンの誤解。

 昨今のコロナ禍においてよく議論されるのが“経済活動と感染防止、どちらを優先すべきか”ということだ。しかし、この二者択一はナンセンスである。経済活動も感染防止も重要なことで、どちらも推進しなければならない。一方を優先するために、もう一方を軽視するようなことは、断じてあってはならないのだ。...

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「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち」

 (原題:STUNTWOMEN THE UNTOLD HOLLYWOOD STORY...

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「夜叉」

 85年東宝作品。製作当初は“高倉健の俳優生活の集大成”というキャッチフレーズが付いていたらしいが、なるほど映画の佇まいには惹かれるものがある。しかし、内実は全然大したことが無い。何が良くないかというと、まず脚本だ。そして次に非力な演出。キャストはけっこう豪華で、皆頑張っているのに惜しい話である。...

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「ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画」

 (原題:MISSION MANGAL)国威発揚映画だという指摘も一応うなずけるが、それでも鑑賞後の満足度はとても高い。インド製娯楽映画らしいポップでカラフルなエクステリアと、テンポの良い演出。加えてキャストはスクリーン映えする者ばかり。実録ものなので、結末は分かっている。しかしこれだけ力一杯作ってもらえれば、評価しないわけにはいかない。...

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「聖なる犯罪者」

 (原題:BOZE CIALO)示唆に富んだ内容で、キャストの力演も光る。生きる上で“真実”とされるものは何か。それは絶対に揺るがない存在価値を持ち合わせているのか。多様性が介入する余地は無いのか。さらに本作では宗教がモチーフとして採用されることにより、神と人間との関係性にも言及する。第92回米アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされたポーランド映画だ。...

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「俗物図鑑」

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「AGAIN アゲイン」

 84年作品。前々年の82年は日活の創立70周年であり、それを記念して作った名場面集映画だ。なお、当時の同社の名称は平仮名の“にっかつ”であり、ロマンポルノを主に手掛けていたのだが、本作で取り上げられているのは60年代までのいわゆる“日活アクション映画”の数々である。本作の構成は、年老いた殺し屋がかつて共演したライバルを捜し求めて彷徨するというスタイルを取っている。...

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「ミセス・ノイズィ」

 幾分食い足りない部分もあるのだが、最後まで楽しんで観ることが出来た。また、オリジナル脚本というのがポイントが高い。最近は名の知れた漫画や小説の映画化ではない場合は企画が通りにくい傾向があるというが、よく練られたシナリオであるならば作品として結実するという好例になると思われる。キャストの頑張りも印象的だ。...

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「シー・ユー・イエスタデイ」

 (原題:SEE YOU YESTERDAY )2019年5月よりNetflixにて配信。巷では“タイムトラベルを題材にした若者向けSF映画に、無理矢理に時事ネタを詰め込んだ、居心地の悪いシャシン”とかいう評価が多いらしいが、個人的には決して悪くない内容だと思う。すこぶる現代的なモチーフを取り上げたという意味で、その存在感は捨てがたい。...

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「どん底作家の人生に幸あれ!」

 (原題:THE PERSONAL HISTORY OF DAVID COPPERFIELD )こういう映画は嫌いだ。向こう受けを狙いすぎたケレン味たっぷりの展開と、小手先の映像ギミックの洪水。いかにも“(文芸作品を下敷きにして)オフビートなタッチを披露してみました”と言わんばかりのモチーフの連続に作り手の鼻持ちならない態度が透けて見え、観ている間は何度も中途退場しようと思ったほどだ。...

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「KCIA 南山の部長たち」

 (英題:THE MAN STANDING NEXT )韓国の現代史に疎い観客にとっては分かり辛い箇所が多いと思われるが、映画で描かれた時代と“登場人物”たちに関する知識が少しでもあれば、興味の尽きない作品になるだろう。また、こういう硬派な題材が取り上げられ、それがまたヒットしているという彼の国の映画界に比べれば、残念ながら邦画界は後れを取っていると思わざるを得ない。...

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