「ウェディング・バンケット」
(英題:The Wedding Banquet )93年台湾作品。この頃のアン・リー監督の才気が存分に発揮された一本。第43回ベルリン国際映画祭での大賞受賞をはじめ、数々のアワードを獲得している注目作だ。...
View Article「勝手にふるえてろ」
通常、ある程度映画を見慣れている観客ならば、開巻約10分間で映画の出来不出来は分かるだろう。もちろん、序盤は良いが途中で息切れする作品もけっこうあるが、その逆の“最初は話にならないが、中盤以降で盛り返す映画”なんてのはめったにない。ところが、本作はその“めったにない”パターンが現出しており、とても興味を覚えた。...
View Article「猫の恩返し」
2002年製作のアニメーション作品。他愛のない話なのだが、単純明快な分、同じスタジオジブリ作品としては前年の「千と千尋の神隠し」よりは好きだ。上映時間が1時間15分と短いのも良い。...
View Article「ペーパー・ムーン」
(原題:PAPER MOON)73年作品。私は“午前十時の映画祭”にて今回初めてスクリーン上で接することが出来た。巷では名作との誉れ高い映画ながら、正直なところ、見終わって“おいおい、これでいいのか?”という疑問符が頭の中に多数浮かんでしまった。何とも困ったシャシンである。...
View Article「パリところどころ」
(原題:PARIS VU PAR)65年フランス作品。同年のカンヌ国際映画祭で上映されたオムニバス映画。パリを舞台に、ヌーヴェル・ヴァーグの気鋭の監督6人が当時のパリ市民の哀歓をスケッチ風に描く。製作は当時24才だったバルベ・シュレデール。タイトルにはすべてパリの地名が付けられている。...
View Article「希望のかなた」
(原題:TOIVON TUOLLA PUOLEN)アキ・カウリスマキ監督の持ち味が今回も全面展開しているが、そこにグローバル社会がもたらす問題点も巧みに挿入され、重層的で見応えのある作品に仕上がっている。2017年ベルリン国際映画祭の銀熊賞の受賞作だ。...
View Article「キングスマン:ゴールデン・サークル」
(原題:KINGSMAN:THE GOLDEN CIRCLE)前作(2014年)に比べると大幅に落ちる出来映え。設定や脚本を練り上げないまま、見切り発車的に製作された感が強い。やはりヒット映画の続編の作り方は難しいのだろう。...
View Article「さらば青春の光」
(原題:Quadrophenia)79年イギリス作品。若造だった頃にリアルタイムで観ているが、大した出来ではないと思った。たぶん、今見直しても評価は変わらないだろう。ただ、思慮の足りない若者がいかにも陥りそうなディレンマと破局の一典型として“資料的な”意義はあり、何より時代背景の60年代の風俗の再現は、この映画の存在価値を確実なものにしている。...
View Article「否定と肯定」
(原題:DENIAL)映画の出来そのものよりも、題材と提示される事実にとても興味を覚えた。当然ながら映画は素材よりも中身で評価されるべきものだが、時として“例外”もあり得るのだろう。...
View Article「IP5 愛を探す旅人たち」
(原題:IP5 )92年フランス作品。主人公の若者トニー(オリヴィエ・マルティネス)は、街中の壁にスプレーによる見事な作品を無断で残していく“アーティスト”だが、それが仲間の怒りを買い、グルノーブルへ(おそらく麻薬入りの)人形をトラック輸送する仕事をやらされるハメになる。相棒は同じアパートに住む黒人少年ジョッキー(セクー・サル)。...
View Article「ルージュの手紙」
(原題:SAGE FEMME)脚本があまり上等ではなく、筋書きの不備が散見される。ただ、キャストの演技と存在感でさほど退屈せずスクリーンに対峙できた。やはり映画において“スター”の占める割合は大きいのだろう。...
View Article「Mr.Long ミスター・ロン」
随分と乱暴な筋書きである。展開は行き当たりばったりで、まさに御都合主義が横溢している。ならば面白くないのかというと、そうでもないのだ。それはキャラクター設定の妙に尽きる。強烈な印象を受ける人物を画面の真ん中に据えれば、映画はサマになってしまう。SABU監督としても「ポストマン・ブルース」(97年)以来の快作と言えるのではないか。...
View Article「サンフランシスコ物語」
(原題:Inside Moves)80年作品。大作ばかり手掛けていた感のあるリチャード・ドナー監督だが、こういうヒューマン・ドラマも撮っている。しかも、出来が良い。彼がこの路線を続けていたら、スペクタクル映画の仕事よりは“実入り”は少ないかもしれないが(笑)、各映画賞を賑わせるような“名声”は得ていたのではないだろうか。...
View Article「ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!」
(原題:RENEGADES )いやはや、現時点でこのような脳天気すぎる戦争物に遭遇するとは思わなかった。冷戦構造が続いていた80年代までならば、本作みたいなシャシンも居場所があったのだろうが、今提示されるとタメ息しか出ない。それでも内容が良ければ評価も出来るのだが、見事に中身はスッカラカンだ。まあ、時間潰しのために何も考えないまま観てしまった私も、相当迂闊だったのだが(苦笑)。...
View Article「巫女っちゃけん。」
題材は面白そうなのだが、演出と脚本がイマイチなので凡作に終わっている。ストーリーを練り直した上で、別の監督に担当させた方が良い結果が得られたように思う。...
View Article「クライング・ゲーム」
(原題:THE CRYING GAME )92年作品。元IRAの構成員(スティーヴン・レイ)と、彼と親しい関係にあったイギリス当局のスタッフの“恋人”との、危険で甘美な恋を描いたサスペンスタッチのラヴストーリーで、封切り当時はアカデミー賞の候補になるなど、かなり評価は高かった。しかし、実際観てみると期待はずれもいいところだ。...
View Article「デトロイト」
(原題:DETROIT )とても迫力のある映画だとは思うが、釈然としない点が散見され、諸手の挙げての評価は差し控えたい。実話をベースにしているものの、実態が掴めていないためか強引な展開が見られ、そのあたりがアカデミー賞をはじめ主要アワードの候補から外れた原因かと思ってしまった。...
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