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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「ピクセル」

 (原題:Pixels)2015年作品。主演のアダム・サンドラー率いる“お笑い一座”の興行みたいな映画である。作品自体には深みも見応えも無く、真っ当なドラマツルギーとは縁遠い。ただし、お手軽な笑劇として割り切れば、あまり腹も立たずに最後まで付き合える。とにかく、中身の濃さを期待することは場違いなシャシンであることは確かだ。...

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「189」

 惜しい作品だ。かなり重大なテーマを扱っていることは分かるが、如何せん映画の質が追いついていない。お手軽なラブコメやテレビドラマの焼き直しのような安易に企画に走るよりも、今の邦画に必要なのはシビアな題材を良質なエンタテインメントとして昇華できるようなプロデューサーなのだと思うが、残念なことに見当たらない。このままでは韓国映画なんかには永遠に追いつけないだろう。...

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岩波ホールが閉館に。

 東京都千代田区神田神保町にあるミニシアター、岩波ホールが2022年7月に閉館することが発表された。同劇場は1968年に多目的ホールとしてオープンしたが、やがて東宝東和の川喜多かしこと、ホール総支配人の高野悦子が良質な映画を上映する運動“エキプ・ド・シネマ”を発足させた。74年のサタジット・レイ監督のインド映画「大樹のうた」の公開を手始めに、これまで上映された作品は271本にものぼる。...

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「ただ悪より救いたまえ」

 (英題:DELIVER US FROM EVIL)ジャンルとしてはいわゆる極道物なのだが、こういうネタを扱っても韓国映画は邦画の上を行っている。正直言って、本作には欠点はある。だが、勢いの強さは多少の瑕疵を覆い尽くしてしまう。そして舞台設定の巧みさや、キャストの存在感は際立っており、観た後の満足感は決して小さいものではない。...

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オルテガ・イ・ガセット「大衆の反逆」

 1930年に刊行された、スペインの哲学者による啓蒙書だが、驚くべきことに内容は現代でも十分通用する。それどころか、作者が危機感を抱いた社会的状況は、現在の方がより深刻化していると言える。まさに、今読むべき書物である。...

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「ラストナイト・イン・ソーホー」

 (原題:LAST NIGHT IN SOHO)スタイリッシュな怪異譚で、とても楽しめた。終盤の処理などには不満がないでもないが、最後まで観客を惹き付ける演出の力と、魅惑的なエクステリアが大いに場を盛り上げる。さらには、絵になるような面子を集めたキャスティングも効果的だ。...

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「ニンゲン合格」

 99年作品。黒沢清監督作としては、いわゆる“ワケの分からない作風”が横溢していた時期のシャシンだ。当時観たときは面食らったものだが、今から考えると、これはひょっとしたら奥が深い映画ではないかと思ったりする。それは本作が撮られた時期が大いに関係しており、映画は時代を映す鏡だという定説を、改めて認識できる。...

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「薔薇の名前」

 (原題:THE NAME OF THE ROSE)86年作品。公開当時はかなりの評判だったらしく、実際観ても面白い。歴史物としての佇まいと、本格ミステリーのテイストが絶妙にマッチし、独特の魅力をたたえている。また、原作者のウンベルト・エーコは記号論の大家でもあり、そのあたりを考慮して作品に対峙するのも面白いだろう。...

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「明け方の若者たち」

 正直な話、映画としてはあまり上等ではない。筋書きはもちろん、登場人物たちの言動がどこか不自然だ。演出のリズムも万全とは言えない。しかしながら、嫌いにはなれないシャシンである。それは、今からはるか昔(笑)、私が本作の主人公たちと同じ年齢だった頃を思い出して、しみじみとした感慨を覚えたからだ。映画のクォリティは、必ずしも観る者の感銘度に強くリンクしているものではないことを痛感した。...

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「キングスマン:ファースト・エージェント」

 (原題:THE KING'S MAN)前作(2017年)があまりにも低調であったため期待はしていなかったが、実際観てみると意外や意外の面白さだ。少なくとも、作品のアイデンティティを喪失したような最近の007シリーズよりは、スパイ映画としてのレベルはずっと高い。また歴史的事実に準拠したネタをふんだんに取り入れているため、重厚感さえ湛えている。これは必見と言えよう。...

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「GUNDA グンダ」

 (原題:GUNDA )何とも形容しがたい映画だ。巷では絶賛している向きが多いらしい。しかしながら、個人的には何ら感慨を覚えなかった。わずか93分の尺ながら、観ている間はとても長く思える。とはいえ、作者が主張したい(らしい)ことは分かる。だが、それはこちらには伝わってこない。つまりは“立場”の違う人間が作るものは受け付けないという、シンプルな結論があるだけだ。...

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「ハウス・オブ・グッチ」

 (原題:HOUSE OF GUCCI)正直言って、この映画を観るよりも98年に放映されたNHKスペシャル「家族の肖像 激動を生きぬく(第9回)...

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「F エフ」

 98年作品。金子修介監督作品としては珍しいラブコメで、観る前は若干の危惧があったが(笑)、実際に接してみると良く出来たシャシンだと思った。設定は面白く、各キャラクターは適度に“立って”おり、何よりキャスティングが秀逸だ。そこに金子監督らしい超ライトな感覚が散りばめられている。昨今は乱造気味のラブコメものだが、本作ぐらいのレベルは確保してほしいものだ。...

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「ダウン・バイ・ロー」

 (原題:DOWN BY LAW )86年作品。ジム・ジャームッシュ監督の第三作である。同監督は何といっても「ストレンジャー・ザン・パラダイス」(84年)で大ブレイクしたことを思い出す映画ファンも多いと思うが、いつまでもあのストイックなタッチを堅持するわけにはいかず、本作では早くも変化の兆しが見える。その意味では興味深いし、内容も楽しめるものになっている。...

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「光と影のバラード」

 (英題:Friend to Foes,Foe to Friends )74年ソビエト作品(日本公開は82年)。ロシアの代表的監督である、ニキータ・ミハルコフの長編デビュー作だ。ウェルメイドとは言い難いが、独特の雰囲気と劇中で扱われた時代性の描写はよく出来ていると思う。そして何より、ソ連映画でありながら完全にウエスタンのスタイルを取っていることが大いに興味をそそるところである。...

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「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」

 (原題:SPIDER-MAN:NO WAY HOME)面白く観ることは出来たが、これは2002年からのサム・ライミ監督による3作と2012年からのマーク・ウェブ監督版の2本、そして本作の前作と前々作の計7本をチェックしておかないと、絶対に楽しめない。ついでに言えば、2018年からの「ヴェノム」の2本と2016年の「シビル・ウォー...

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「危険な英雄」

 1957年東宝作品。先日逝去した石原慎太郎は作家及び政治家として知られていたが、俳優として何本か映画にも出ている。本作はその中の一本で、出来自体は正直大したものではないが、現代にも通じるテーマ設定と不穏な空気感が印象的なシャシンだ。なお、私はこの作品を某映画祭で観ている。...

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「スティルウォーター」

 (原題:STILLWATER)身内の者が事件に巻き込まれて主人公はそれを助けるべく奮闘するという、設定はよくあるサスペンス物ながら、本作は一筋縄ではいかない構造を持つ。幕切れのカタルシスは希薄ながら、観る者に内容に関してあれこれ考察するモチーフを与えてくれる。実にクレバーな作りで、観た後の満足感は大きい。...

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「ビバリーヒルズ・バム」

 (原題:Down and Out in Beverly Hills )86年作品。ポール・マザースキー監督作としてはあまり知られていないが、間違いなく彼の政治的姿勢を示す映画だ。また、同時に製作時期におけるアメリカの社会情勢、およびそれに対するリベラル系(?)ハリウッド人種のスタンスも垣間見え、その意味では興味深い一本である。...

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「さがす」

 設定やキャスティングは決して悪くない。しかし、映画自体はまるで面白くない。これはひとえに脚本の不備と人物描写の不徹底にある。何をどう表現したいのか、作者はそこをよく吟味しないまま見切り発車的に撮影に入ったように思える。段取りを整えることがプロデューサーの役割だが、その配慮が足りていない。...

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