「グレースと公爵」
(原題:L'anglaise & Le duc)2001年作品。フランス革命期における混乱をオルレアン公爵の元愛人であった英国人女性グレース・エリオットの目を通して描く。監督はエリック・ロメール。当初、若い女性の“惚れたの別れたのという話”が得意なロメールにこういう歴史ドラマが描けるのかと思っていたが、映画を観て大いに納得した。これは良い映画だ。...
View Article「沈黙 サイレンス」
(原題:SILENCE )かなりの力作で、長い上映時間も気にならない。劇中で提示されているモチーフはもちろん、時代背景など多岐に渡って知識を深めたくなるような訴求力も兼ね備えている。本当に観て良かったと思わせる映画だ。...
View Article「嵐の中で輝いて」
(原題:SHINING THROUGH )91年作品。復古調のエクステリアでゴージャスな雰囲気を出そうとしたサスペンス編だが、演出と脚本が手緩いので盛り上がらない。大時代な雰囲気だけで作品を成立させようという方法論は、製作された時点においても通用しなかった。...
View Article「ドクター・ストレンジ」
(原題:DOCTOR STRANGE)豪華なキャスティングがまるで機能していない。大味な凡作だ。マーベル・コミック系列の映画は出来不出来が激しいが(というより、どちらかというと不出来の方が多い ^^;)、本作は俳優陣のクォリティの高さゆえ、内容のお粗末さが余計に強調されるという展開になっている。...
View Article「フリージャック」
(原題:FREE JACK )91年作品。封切時には配給元の東宝東和が「ターミネーター2」に続くSF大作として売ろうとしたが、あまりにも小粒だったのでさほど話題にならなかった映画だ(製作プロダクションもそれほど大手ではない)。しかしながら無視できない程度の存在感はあり、作品規模にふさわしい公開形態であったならば、そこそこウケたかもしれない。...
View Article「マグニフィセント・セブン」
(原題:THE MAGNIFICENT SEVEN )楽しんで最後まで観ることができた。黒澤明監督の「七人の侍」(1954年)と、同作をハリウッドがリメイクした「荒野の七人」(60年)を原案に作られた西部劇。筋書きは事前にだいたい分かっているので、映画の出来は語り口と仕掛けによるところが大きいのだが、及第点に達している。...
View Article「ユニバーサル・ソルジャー」
(原題:UNIVERSAL SOLDIER )92年作品。ローランド・エメリッヒ監督の初期の映画だが、後年の大味ディザスター・ムービーとは違って予算があまり掛かっていない分、何とそれなりにまとまった出来にはなっている。・・・・というか、本来彼はこの程度の規模の作品を任せられるのが丁度良いと思うのだ。分不相応なスペクタクル巨編なんかを手掛けるから、ボロが出てくる。...
View Article最近購入したCD(その34)。
最近よく聴いているのが、2005年にロンドンで結成されたポスト・ポップバンド、ザ・エックス・エックスのサード・アルバム「アイ・シー・ユー」である。前の2作も試聴したことがあるのだが、質の高さは認めるものの過度にメランコリックで高踏的な雰囲気で、ちょっと腰が引けたものだ。しかし本作は実にポップで聴きやすい。...
View Article「ANTIPORNO」
確実に観る者を選ぶ映画ではあるが、個人的には楽しめた。現役の監督たちが新作ロマンポルノを手掛ける“日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト”の第四弾。監督は園子温で、まさに彼の変態ぶり(笑)が全面展開している怪作だ。...
View Article「アメリカン・ハート」
(原題:AMERICAN HEART)92年作品。派手さは無く、淡々とした筆致ながら、観る者に切ない感慨をもたらす佳作だと思う。父と子の情愛を濃密かつ的確にとらえている作者のスタンスが印象的で、シンプルな筋立てをそれなりに引き立てている。...
View Article「サバイバルファミリー」
いつもは素材に対する綿密な下準備をもって臨む矢口史靖監督らしくない、何とも乱雑な映画だ。製作にはフジテレビジョンが関与しているが、昨今のこのテレビ局の不調ぶりが影響しているようにも思えてしまう。とにかく、最初から最後まで違和感が横溢しているような映画で、あまり奨められないシャシンである。...
View Article「英国式庭園殺人事件」
(原題:THE DRAUGHTSMAN'S CONTRACT)82年イギリス作品。ピーター・グリーナウェイ監督らしい、よく分からない内容の映画である。原題を直訳すると“デッサン画家の契約”となり、これまた意味不明だ。ただし、無理矢理に英国製ミステリーのような邦題を付けて、何とか特定のジャンルに押し込めて体裁を整えようという興行側の苦心の跡は窺える。...
View Article「ホワイトリリー」
上映時間は80分だが、かなり長く感じられる。現役の監督たちが新作ロマンポルノを手掛ける“日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト”の第五弾。監督は中田秀夫で、すでに“終わった”感のある彼の仕事ぶりに期待できるはずもなく、予想通り全編これ低調に推移する(だったら観なければ良かったのだけど ^^;)。...
View Article「KAFKA 迷宮の悪夢」
(原題:KAFKA )91年作品。デビュー作「セックスと嘘とビデオテープ」(89年)でカンヌ国際映画祭を制し、当時は新時代の旗手と持てはやされたスティーヴン・ソダーバーグ監督が満を持して撮った第二作。ところが思いがけず彼の“素性”が(悪い意味で)表面化する結果になり、歯切れの悪い作品に終わってしまったのは何とも皮肉である。...
View Article「幸せなひとりぼっち」
(原題:En man som heter Ove)話はやや出来すぎの感があるが、丁寧に作られたスウェーデン映画の佳編だと思う。各エピソードは良く練られており、訴求力は高い。とにかく“偏屈な老人が他者と触れ合うことによって心を開く”というありがちの話を、ここまで幅広い共感を獲得するように仕上げた作者の頑張りは評価したい。...
View Article「スカーフェイス」
(原題:Scarface)83年作品。公開当時はあまり良い印象は受けなかったが、今から考えると独特のニューロティックな存在感と迫真性があって、それなりの価値はあったのだと思い当たる。監督ブライアン・デ・パルマのフィルモグラフィの中でも、まあマシな部類に属するだろう。...
View Article「海は燃えている イタリア最南端の小さな島」
(原題:FUOCOAMMARE )おそろしく重い題材を扱っており、それ自体のインパクトはあるのだが、映画としては面白くない。いくらドキュメンタリー作品とはいえ、観る側に何らかのエンタテインメント性を提示しなければ公開する意味は無いだろう。とにかく、鑑賞中は眠気を抑えるのに苦労した。...
View Article「いつかギラギラする日」
92年作品。当時は(邦画では珍しく)アクション大作として賑々しく封切られたが、内容も興行収入もパッとせず、盛り下がってしまったシャシンだ。確かに欠点が多すぎて個人的には評価は出来ないが、何やら捨てがたいものはあると思う。ともあれ、深作欣二御大の“貫禄”だけは感じられるので“観て損する映画”と片付けるには忍びないだろう。...
View Article「ラ・ラ・ランド」
(原題:LA LA LAND)明らかに、作者の興味の対象外である題材を無理矢理に採用したという印象だ。ひょっとしたら本人にはその自覚は無かったのかもしれないが、観る側からすればそれは一目瞭然。別のスタッフと別のキャストで製作した方が、はるかにマシな出来になったと思われる。...
View Article「ディス・イズ・マイ・ライフ」
(原題:THIS IS MY LIFE )92年作品。いろんなトラブルはあったけど信じ会える家族こそ何よりも掛け替えのないものだ・・・・というこの映画の主題に文句はなく、ハートウォーミングな良心作という評価もあるだろう。しかし、冷血漢(苦笑 ^^;)の私にとっては物足りない。この程度では“笑って楽しむ”ことはできても、観たあとすぐに忘れてしまうだろう。...
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