上映時間は80分だが、かなり長く感じられる。現役の監督たちが新作ロマンポルノを手掛ける“日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト”の第五弾。監督は中田秀夫で、すでに“終わった”感のある彼の仕事ぶりに期待できるはずもなく、予想通り全編これ低調に推移する(だったら観なければ良かったのだけど ^^;)。
女流陶芸家としての名声を得ている登紀子は、弟子のはるかと共同生活をしている。実は2人は同性愛関係にあるが、はるかにとって最近の登紀子の接し方は素っ気なく思われ、不満を募らせる日々だ。そんな中、登紀子は悟という若い男を舎弟として家に住まわせる。悟には恋人がいるが、そんなことはお構いなしに登紀子は彼にモーションを仕掛け、はるかのストレスは増すばかりだ。ある日、とうとう破局に到るような出来事が発生する。
そもそも、どうして登紀子とはるかが深い仲になったのか、そのプロセスが全然描かれていない。登紀子はかつて婚約者が急逝するという不幸に見舞われたが、それがはるかとの関係に直接リンクしているわけでもない。悟だけではなく、登紀子は日頃から行きずりの男とも関係しており、その無軌道さははるかも承知済のはず。彼女が殊更に悟を意識する理由も見当たらない。とにかく本作の登場人物には全然血が通っていないのだ。
題名通りに女同士の絡みの場面には白い百合が画面一杯に散りばめられるが、その見せ方は観ているこちらが赤面してしまうほど古臭く安っぽい。また、陶芸というモチーフを採用していながら、それをエロティシズムに昇華させるような仕掛けも皆無である。
登紀子役の山口香緖里、はるかに扮する飛鳥凛、共に演技が硬くてぎこちない。もっともこれは、監督の演技指導の拙さが関係していると思われる。平板な展開に終始したあげく、気勢の上がらないラストを見せつけられるに及び、いったいこの映画は何だったのだろうかと、頭を抱えるばかりである。
これで“日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト”の5作品はすべて観たことになるが、サマになっていたのは無手勝流で挑んだ園子温作品ぐらいで、あとはとても及第点には達していない。ベテランではなく若手に撮らせた方が面白かったのではないだろうか。あるいは企画側があらかじめジャンルを提示して、それに準拠した映画作りをさせた方が、よっぽど興味深いものが出来上がりそうだ。次回があるのかどうかは分からないが、もしも実施されるならばもっと工夫を凝らして欲しい。