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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「マネーモンスター」

 (原題:Money Monster )かなり楽しめた。硬派なネタを扱いながらも、中身はしっかりとエンタテインメントの方向に振られている。言い換えれば、奇態な意匠もシリアスな題材によって巧みに“中和”されているということで、このあたりの作者のバランス感覚は大したものだと思った。...

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「刑務所の中」

 2002年製作の崔洋一監督作。花輪和一のコミックの映画化だが、まさに“観ると刑務所に入りたくなるヤバい映画”という評価がピッタリの快作だ。同監督は演出本数のわりには良い映画は少ないが、“完全なバカ”である井筒和幸監督とは違って、題材によってはたまにクリーンヒットを飛ばせる実力はあるのだと思う。この作品はその好例。...

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「葛城事件」

 時によって家族というのは“死に至る病”になり得ることを鮮明に描き出し、観る者を慄然とさせる問題作である。もちろんここで言う“死に至る病”とは絶望のことだ。家族の構成員がそれぞれ絶望を抱えたままである限り、いくら肩寄せ合って生きようとも、それが軽減されることはない。それどころか絶望は増幅され、取り返しのつかない事態に陥ってしまうのだ。...

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パソコンに縁遠い若年層

 5年あまり使っていたノート型パソコンが故障し、なおかつ修理に多額の費用が必要であることが判明したため、先日思い切って買い換えた。新しいパソコンはSSD(ソリッドステートドライヴ)を搭載しているためか、起動時間が感動的なほど短い(笑)。これならば急を要する処理も何とかなりそうだ。...

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「教授のおかしな妄想殺人」

 (原題:IRRATIONAL MAN)ウディ・アレン作品には珍しいサイコ・サスペンス(と言って良いだろう)。いつもの軽妙な笑劇を期待すると裏切られる。これはひとえに、主演俳優のアクの強さが映画全体を覆い尽くしていて、それが作劇の方向性を決定付けているためだと思う。キャスティングが映画を“型に嵌めて”しまうこともあるのだ。...

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「薄れゆく記憶のなかで」

 91年作品。大した才能も無いのになぜか仕事が次々と舞い込んでくる演出家もいれば、本作で監督を勤める篠田和幸のように、見所はあるのに一作だけで現場から退いてしまう人材もいる。世の中、理不尽なことが多いものだ。...

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「セトウツミ」

 アイデアの勝利とも言える快作。原作(此元和津也によるコミック)は存在するのだが、この脱力系のネタをあえて映画化しようとする心意気は評価したい。刺激的な画面を挿入すればそれでヨシとするような昨今のトレンドに、真っ向から対抗するような姿勢は頼もしい限りだ。...

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横山秀夫「64(ロクヨン)」

 瀬々敬久監督による映画化作品は観ていないし、観る予定も無い。何しろ、あの絶叫演技のオンパレードみたいな予告編は、鑑賞意欲を削ぐには十分である(笑)。だが、この原作は2012年の「週刊文春ミステリーベスト10」で第一位に輝くなど、多くのアワードを獲得しているベストセラーでもあり、一応チェックした次第だ。しかしながら、世評とは裏腹に楽しめない結果に終わってしまった。...

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「ハリーとトント」

 (原題:Harry & Tonto)74年作品。当時のアメリカ映画を代表する秀作だと言われているが、私は“午前十時の映画祭”で初めてスクリーン上で接することが出来た。なるほど、味わい深い内容で感銘度も高い。改めて老境を迎えての人生のあり方について考えさせられた。...

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「愛に翼を」

 (原題:PARADISE)91年製作。ジャン・ルー・ユベール監督の仏作品「フランスの思い出」(87年)の再映画化だと聞いて、さしたる期待もしないで観た。何しろ、ハリウッドが他国のネタをリメイクして上手くいったケースは(私の知る限り)無いのだ。...

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「ふきげんな過去」

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「大阪物語」

 99年作品。当時十代だった池脇千鶴のデビュー作だが、彼女のプロモーション・フィルムに徹しているところがいい。監督の市川準はデビュー作の「BU・SU」(87年)においても、同じくその頃新人だった富田靖子のイメージビデオ的な体裁を取っていたが、この映画は内容の深さを兼ね備えていたあの作品ほど上質ではない。しかしながら、割り切って観る分には申し分ない出来だと思う。...

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「日本で一番悪い奴ら」

 万全の出来ではないが、十分楽しめる快作であることは確かだ。少なくとも、やたら深刻ぶっている割には警察内のチマチマしたもめごとに終始している「64(ロクヨン)」の原作よりも、数段面白い。さらに本作は実話を下敷きにしており、まさに“事実は小説よりも奇なり”を地で行くインパクトの大きさが光る。...

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「ブロークダウン・パレス」

 (原題:Brokedown Palace)99年作品。シビアな題材を扱っているにもかかわらず、描き方に気合が入っていない。あらゆる面で突っ込み不足で、安手のTVドラマみたいな弛緩した時間が流れるだけだ。...

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「ブルックリン」

 (原題:BROOKLYN)つまらない。映画として描くべきパートを完全無視して、あえて面白くない個所ばかり延々と垂れ流しているだけだ。脚本担当のニック・ホーンビィは、過去に「17歳の肖像」(2009年)とかいうピント外れで毒にも薬にもならない作品を手掛けたが、今回もその轍を踏んでいると言っていいだろう。...

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「13デイズ」

 (原題:Thirteen Days )2000年作品。楽しめる映画だ。公開当時は“出来事が乱発的に発生し、ドラマの核心が見えない。もっと脚本を絞るべきだ”という評も散見されたようだが、歴史的事実を実録的に描くためにはヘタにエピソードを一点に収束させると全体像が見えなくなる。そもそも歴史とは重層的・多面的なものであり、その多面性をそのままリアルな形で押し出したこの映画の方法は正解である。...

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「シング・ストリート 未来へのうた」

 (原題:SING STREET )ストーリーは平板だが、こういう題材はある程度の質が保証されていれば、存分に楽しめるものなのだ。特に時代設定の80年代に若い日々を送った者からすれば、甘酸っぱい気分に浸れること請け合いである。...

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「サウス・キャロライナ 愛と追憶の彼方」

 (原題:THE PRINCE OF TIDES )91年作品。監督業に進出する俳優はハリウッドでも珍しくはないが、バーブラ・ストライサンドは演技者であると同時に、高名な歌手であり作曲家でもある。本作は「愛のイエントル」(83年)に続く演出第二弾で、兼業監督とは思えないこの実に堂々とした仕事ぶりは、他者とは一線を画するマルチな才能を発揮していると言えよう。...

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「10 クローバーフィールド・レーン」

 (原題:10 CLOVERFIELD LANE )基本的にワン・アイデアの映画なのだが、まさに“身の程をわきまえた”範囲内で全力投球して作られており、楽しめる佳作に仕上がっている。100分程度に上映時間を抑えているところも良い。どんな素材でも、その性質を見極めた上で手を抜くことなく取り組めば、かなりの成果を得られるものなのだ。...

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「あいつ」

 91年、キティ・フィルム=サントリー=NHKエンタープライズ提携作品。この頃はまだバブルの余韻が残り、観念的な作風の映画(有り体に言えば、独りよがりのシャシン)にカネを出す余裕が産業界にはあったのだろう。とはいえ、いくら製作に漕ぎ着けようがスノビズムはスノビズムでしかなく、観客無視の珍作の域を出ない。現在では、企画段階で早々に潰されてしまうようなネタである。...

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