「スリー・キングス」
(原題:Three Kings )99年作品。作者の反戦的なスタンスと、肩の凝らない娯楽作としての要素が上手い具合に融合している佳作。またこの時期のアメリカ社会の“空気”と中東地域の情勢を手際良くまとめて見せた点も評価出来よう。...
View Article「ひそひそ星」
園子温監督の作家性が全面展開していて、観る者を選ぶ映画だ。これを“独りよがりで退屈だ。つまらない”と切って捨てる向きも少なくないとは思うが、私は結構楽しめた。映像の喚起力が目覚ましく、いくぶん図式的なメッセージや秀逸とは言い難い設定を巧みに覆い隠してしまう。こんな映画もあっていいだろう。...
View Article「海よりもまだ深く」
丁寧に撮られた秀作だと思う。少なくとも是枝裕和監督の前作「海街diary」(2015年)より、遙かに良い映画だ。やはり前回のように、よく知られた原作の映画化ではフリーハンドで仕事をすることが難しい面があったのだろう。オリジナル脚本による今回は演出に余裕が出てきて、安心してスクリーンに対峙できる。...
View Article「遠き落日」
92年作品。野口英世の一生を、その母シカとの関係を通し描いた伝記映画。野口英世は、戦前から修身の教科書や絵本に“火傷で変形した左手のハンディキャップを克服して世界の偉人になった”と取り上げられ有名だったが、戦後間もなくは日本人の“尊敬する人”のトップに君臨していた。...
View Article「ヴィクトリア」
(原題:Victoria)アイデア倒れの映画だ。聞けば2015年のベルリン国際映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞し、ドイツ映画祭でも作品賞をはじめ6冠を獲得したらしいが、とてもそれに値するような質の高さを持ち合わせているとは思えない。特定の技巧だけに着目する一部のマニアックな観客を除けば、まるで“お呼びではない”シャシンである。...
View Article「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」
(原題:WHERE TO INVADE NEXT)観ている間は面白い。取り上げられている題材も興味深い。しかし、この作家が物事を表層的にしか捉えていないのは、相変わらずだ。ひょっとしたら、社会的・歴史的な深い考察を試みないのは彼だけではなく、アメリカ人自体の特徴ではないのだろうか。そういうことを考えてしまう一作である。...
View Article「イグジステンズ」
(原題:eXistenZ)99年作品。デイヴィッド・クローネンバーグ監督作としては、ストーリーや映像のキレ具合は「ヴィデオドローム」(83年)や「裸のランチ」(91年)などには及ばない。しかしながら、取り上げられているモチーフには面白いものがあり、観て損は無い映画だと言える。...
View Article「ディストラクション・ベイビーズ」
暴力の持つ禍々しい魅力を活写し、観る者に強い印象を与える問題作だ。言い訳無しで小賢しい考察もスッ飛ばし、現象としての暴力を理不尽なまでに定点観測するだけの映画。それを“表現力の不足だ”と切って捨てる向きもあるかもしれないが、私はこの潔さを大いに楽しんだ。...
View Article音楽に全く関心の無い人々。
日本レコード協会が今年(2016年)3月に発表した“音楽メディアユーザー実態調査”の最新版となる2015年度版において、10代から60代までの約2千人の調査対象の中で、無料でも音楽を聴かない“完全な無関心層”が34.6%を占めたことが明らかになった。つまり、今や我が国ではおよそ3人に1人が“無料でも音楽を聴かない完全な無関心層”であるらしいのだ。...
View Article「ヒメアノ~ル」
ラブコメとサイコホラーの“二本立て”という、その構成が面白い。もっとも、後半のサイコホラーの部分はあまり上等な出来ではないが、ラブコメとの対比の妙によってあまり気にならなくなってくる。こういう作り方はまさにアイデア賞ものだ。...
View Article「チアーズ!」
(原題:Bring It On )2000年作品。チアリーディングを題材にしているが、それまでこのネタを大々的に取り上げた映画はあまり存在しなかった。それだけでも本作では大きなアドバンテージになるが、出来の方もかなり良いので、まさに言うことなしだ。幅広く奨められるシャシンである。...
View Article「団地」
観ている間は退屈しないが、鑑賞後の印象は強いものではなく、それどころかヘンな後味が残る。だいたい、有名な原作を取り上げているわけでもないオリジナル脚本で、この企画が通ったこと自体、とても不思議だ。何か“裏の事情”でもあったのだろうか(笑)。...
View Article「ペイバック」
(原題:Payback )99年作品。展開にかなりご都合主義が入っているが、あまり気にらない。なぜなら、これはキャラクターを見る映画だからだ。主演のメル・ギブソンの傍若無人でサノバビッチな持ち味がよく出ていて笑えるし、脇の面子も申し分ない。快作と言えよう。...
View Articleしばらく休みます。
どうもパソコンの調子が良くないらしく、最近動作が安定しません。 申し訳ないのですが、修理あるいはパソコン買い換えも含めて、見通しが立つまでしばらくブログの更新を休止いたします。 よろしくご了承ください -> ALL。
View Article「デッドプール」
(原題:DEADPOOL)さっぱり面白くない。賑々しい画面とは裏腹に、こちらは眠気を催してきた。アメリカではR指定作品としては興収歴代1位のオープニングを飾ったらしいが、こんなものを観て喜んでいるようでは、彼の国の観客のレベルもそう高くはないようだ(苦笑)。...
View Article楡周平「象の墓場」
とても興味深い内容だ。激変する市場トレンドに対する企業のあり方を、実にヴィヴッドに示している。現時点でも、本書の題材になっている企業と同じような“症状”に見舞われているメガカンパニーが少なくないことを考え合わせると、読む価値は大いにあると言って良い。...
View Article「二重生活」
ストーリーが破綻していて評価は出来ないが、キャストの力演により辛うじて駄作になるのを免れたという感じである。やはり脚本・演出・演技という劇映画の3要素のうち、一つでも優れたところがあれば、何とか観ていられるものだ。...
View Article「ファイト・クラブ」
(原題:Fight Club)99年作品。公開当時は一部で大絶賛されたらしいが、さほど面白いとは思わない。とにかく“外観だけ”の映画で、しかもその奇態な“外観”はストーリーテリングの拙さをカバーするに至っていないという、何とも冴えない結果に終わっている。...
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