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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「ファイト・クラブ」

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 (原題:Fight Club)99年作品。公開当時は一部で大絶賛されたらしいが、さほど面白いとは思わない。とにかく“外観だけ”の映画で、しかもその奇態な“外観”はストーリーテリングの拙さをカバーするに至っていないという、何とも冴えない結果に終わっている。

 保険会社に勤めるヤング・エグゼクティヴのジャックは、ここ数カ月間不眠症に悩まされていた。そこで、さまざまな病気を抱える人々が集まる“支援の会”なるものに通い始め、そこで人前で泣くことに快感を覚えるようになる。この会に通うこと自体が目的になってしまった女、マーラと仲良くなったジャックは一時の平穏を得るが、出張先でタイラーという男と出会ってから、おかしなことばかりに遭遇する。



 住んでいたアパートは何者かによって爆破されており、仕方なくタイラーの家に厄介になるが、彼は自分を力いっぱい殴れと言う。果ては2人は酒場でも殴り合うようになるが、それが評判になって“ファイト・クラブ”というケンカ同好会を結成。会員数は増えるが、いつの間にかテロ集団へと移行してしまう。

 クサいケレン味たっぷりの画面は10分もすれば飽きる。だいたい“ファイト・クラブ”がテロ集団になっていく過程に、観客を納得させる工夫も力技もなくって漫然と“こうなりました”という感じで展開するのには呆れた。ラストのオチも読める。そして何より、このネタで2時間半は長すぎる。1時間は削れると思う。まあ、この監督(デイヴィッド・フィンチャー)にそんな深さを期待する方が間違っているんだけどね。それでも、当時としてはフィンチャー作品としてはマシな方だったのだ。

 ジャックに扮したエドワード・ノートンは熱演だけど、少々ウザい。テイラー役のブラッド・ピットは論外。別に彼でなくてもできる。唯一印象に残ったのは、マーラを演じたヘレナ・ボナム・カーターのキレたパフォーマンスぐらいだ(彼女にしてみれば、軽くこなした程度だろうけど)。なお、ザ・ダスト・ブラザーズによる音楽とピクシーズの主題歌は良かった。

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