「終わらない週末」
(原題:LEAVE THE WORLD BEHIND)2023年12月からNetflixより配信。メッセージ性の強い映画であることは分かる。先の読めない作劇で退屈させないのも評価できよう。しかし、終わってみれば図式的な建て付けが目立ち、あまり愉快になれない。特に、平易なカタルシスを求める多くの鑑賞者にとっては不満の残る内容ではないだろうか。かくいう私も印象は芳しくない。...
View Article「枯れ葉」
(原題:KUOLLEET LEHDET )フィンランドの名匠アキ・カウリスマキ監督の5年ぶりの“復帰作”ということで、斯様に長いインターバルを経て大丈夫なのかと観る前は少し心配だったが、実際に接してみるとそれは杞憂だった。それどころか、彼のフィルモグラフィの中では上位にランキングされるほどの質の高さだ。2023年の第76回カンヌ国際映画祭で審査員賞を獲得したのも納得出来る。...
View Article「宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました」
(原題:6/45)これはダメだ。全然面白くない。ただし本国の韓国およびベトナムでスマッシュヒットを記録し、日本でも評判が良いようだ。今のところ、ハッキリとした否定的評価は見当たらない。これは、このコメディ映画のノリが肌に合わなかったのは私ぐらいだという証左だろうか(苦笑)。いずれにしろ、ここでは個人的なネガティブな見解を書き綴るしかない。...
View Article「ほかげ」
これは2023年に観た山崎貴監督の「ゴジラ-1.0」と裏表になるような作品であり、現時点で放映中のNHKの朝ドラ「ブギウギ」の“ダークな別エピソード”とも言える内容だ。そして、世界のあちこちで燃え上がっている戦火に脚本も担当した塚本晋也が触発されてメガホンを取ったことは想像に難くない。暗い映画だが、観た後はコメントせずにはいられないほどの求心力を獲得している。...
View Article「テイクオーバー」
(原題:THE TAKEOVER)2022年11月よりNetflixから配信されたオランダ製のハイテク・スリラー。取り立てて持ち上げるようなシャシンではないが、退屈せずにラストまで付き合える。上映時間も88分とコンパクトで丁度良い。そして注目すべきは劇中で展開される悪事の“黒幕”の設定だ。ここまで露骨に言い切れるのは、おそらくハリウッド映画などでは無理だろう。その点も興味深い。...
View Articleアラスター・グレイ「哀れなるものたち」
ヨルゴス・ランティモス監督による映画化作品が公開されているが、劇場に足を運ぶ前に、原作小説に目を通してみた。一読して、これはなかなかの曲者だと感じる。内容もさることながら、よくこの小説を上手い具合に翻訳して日本で出版できたものだと感心するしかない。読む者によっては変化球が効き過ぎて受け付けないのかもしれないが、屹立した個性を獲得していることは誰しも認めるところだろう。...
View Article「カラオケ行こ!」
これは面白いな。人気漫画の映画化ということで、いかにもライトな建て付けのシャシンのようだが、実際観てみると良く出来たヒューマンコメディであることが分かる。各キャラクターは“立って”いるし、舞台設定も非凡。やっぱり山下敦弘監督は、軽佻浮薄なだけの仕事は引き受けないようだ。また、日本映画としては珍しく音楽の使い方が巧みである。...
View Article「サン・セバスチャンへ、ようこそ」
(原題:RIFKIN'S FESTIVAL )ウディ・アレン監督作としては、特段目新しいことをやっているわけではない。いつも通りの展開だ。そもそも、高齢の彼に新たな路線を打ち出す余力は(まことに失礼ながら)無いと思う。ならば本作は評価に値しないのかというと、そうでもない。長年映画界で仕事をしてきただけに、往年の名画に対する思い入れは人一倍だ。そのあたりが窺えるだけでけっこう楽しめる。...
View Article「違う惑星の変な恋人」
この映画の評判がけっこう良いことに、正直驚いている。個人的には、本作の中身に面白い箇所を何一つ見出せない。それ以前に、どうしようもなく作りが古いのだ。こんなタッチのシャシンは80年代から90年代前半にかけていくつも目にしたように思うし、変化球を狙って悦に入っているような送り手のスタンスも、ひょっとして共通しているのかもしれない。とにかく、評価する気には全くなれない映画だ。...
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