Quantcast
Channel: 元・副会長のCinema Days
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2422

「第14回九州ハイエンドオーディオフェア」リポート(その2)

$
0
0
 国産高級アンプのメーカーとして有名な、ACCUPHASEのブースにも行ってみた。音に関しては言うことなしで、このブランドらしい堅実な展開だ。ここで興味を惹かれたのが“AAVA方式”と名付けられたボリューム・コントロールである。

 この方式は16種類の変換アンプを電流スイッチで切り替えて音量を調節するというもので、利点としては左右の連動誤差やクロストークから解放されるという。要するに微小レベルでも左右の音量差がほとんど無く、いわゆるギャングエラーをキャンセル出来るらしい。さらに従来のボリュームとは違い、経年劣化による雑音の発生、つまりは“ガリ”の発生を抑え込むことに成功したとのことだ。



 私も同社の昔の製品を保有しているが、一度“ガリ”が出て修理に出したことがある。また、今まで使ってきたアンプでも“ガリ”に悩まされたことは一度や二度ではない。まあ、デジタル型のボリュームでは“ガリ”が発生しないという話も聞いたことがあるが、個人的な好みによりボリューム・コントロールはアナログ方式に限ると思っている(笑)。ともあれ、こういう使い勝手の向上に繋がるような仕様の採用は、どんどんやってほしい。

 さて、福岡国際会議場の別のフロアでは別のイベントが開かれていた。それは主にDAPやパソコン等に繋ぐ小型の音響デバイスを展示する「ポータブル・オーディオ・フェスティバル」(通称:ポタフェス)だ。そういう催し物があるとは当日になるまで私は知らなかったのだが、ついでなので少し覗いてみることにした。



 予想はしていたが、会場内は圧倒的に若者が多い。だから活気がある。デモされていた製品群も面白そうなものばかりで、特に音源からドライバーまでフル・デジタルで信号を伝送して振動板を鳴らすというヘッドホン・システムは実に興味深かった。DAC(デジタル・アナログ・コンバーター)も介さず、鮮度の高いサウンド再生が可能だという。ヘッドホンの世界ではすでにお馴染みのテクノロジーなのかもしれないが、初めて知った身としては驚くしかない。

 昔から高級ヘッドフォンの代名詞と呼ばれていたSTAXの製品も、初めて聴くことができた。刺激的な音を一切出さない流麗な展開で、これさえあればスピーカーはいらないという評価があることも納得できる。

 場内を見渡すと、若者たちに交じってオーディオフェアから流れてきたと思われる高年齢層の姿もチラホラ見かける。そして一様に珍しそうに展示物を眺めたり手に取っていたりしていた。ところが反対にこのフロアからオーディオフェアまで足を延ばしている若い衆は(私が見る限り)ほとんどいない。高年齢層が好奇心旺盛で若者はそうではないとも言えるが、オーディオフェア側に若者を引っ張ってくるような施策が無かったというのが実情ではないだろうか。

 まあ、若者たちにとっては、こんなに小型で性能の良い製品が出回っているのに、あえて大時代な重厚長大なオーディオシステムを選ぶ余地は無いというのが実情かもしれない。当地でまた「ポタフェス」が開催されるのならば、また足を運んでみたい。

(この項おわり)

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2422

Trending Articles