去る3月31日から4月2日にかけて、福岡市博多区石城にある福岡国際会議場で開催された「九州ハイエンドオーディオフェア」に行ってきた。とはいっても年度末のこの時期は忙しく、何とか時間を見つけて足を運べたのは1日だけだ。だから大したことが書けるわけではないが、取り敢えず印象に残ったことをいくつかリポートしたい。
まず興味を惹かれたのが、HDR対応のプロジェクターだ。いつもならオーディオ機器のネタを中心に書き連ねるところだが、この映像機器の印象があまりに強かったので、最初に言及したい。
HDRとは“ハイダイナミックレンジ”の略で、画面の明るさのレンジを拡大する技術のことだ。最近は4Kテレビも市民権を得たようだが、あくまで4Kは画素数を増やして画面解像度を高める方向性であるのに対し、HDRは明るさの情報(輝度)に着目して、より自然な映像再現を可能にするためのテクノロジーだという。実際のデモ映像を見ると、これはなかなかのものだと感じる。スタッフの話によると、ソフトによっては映画館のスクリーンよりも高精細で再生出来るとのことだ。
デモで使われたのはSONYの製品だったが、まだ高価だ。しかし今後は手頃な価格に落ち着いてくるだろう。もちろん大きなプロジェクタースクリーンを用意できる層は限られるだろうが、まさに時代はここまで進んだのかと驚くばかりだ。
会場には相変わらず一般ピープルには縁の無い高価格帯のシステムが多数並んでいたが、今回はあまり聴けなかったこともあり、あえてリポートする必要性は感じない。その中でぜひ試聴したいと思っていたのが、Panasonicが展開するオーディオブランドであるTechnicsの製品群だ。
このブランドが“復活”したのは数年前で、当ブログでは2015年にその第一弾のモデルに対するレビューを載せたが、今回はレコードプレーヤーをラインナップに加えたのが注目される。言うまでもなくTechnicsはダイレクトドライブ方式のターンテーブルを世界で初めて開発しており、“復活”後の製品展開が期待されていたものだ。
展示されていたのはSL-1200GR(定価14万8千円)とSL-1200G(定価33万円)である。オリジナルのSL-1200が発売されたのが72年で、それからシリーズを重ねていったが、デザインは踏襲されていた。今回の2機種も同様で、昔ながらの佇まいに嬉しくなってくる。ただし、2機種とも見た目はほとんど変わらない。果たして値段の差は音に反映するのかというのが、今回の試聴会の狙いだ。
同じアンプとスピーカー、同じカートリッジで聴き比べてみると、明らかに違う。もちろんSL-1200Gの圧勝だ。情報量や音像の捉え方、音場の広さなど、SL-1200GはSL-1200GRに大きく差を付ける。この2機種はルックスは似ているが、実際に触ってみると剛性感・質感は値段なりの違いがある。
そういえば、私が実家で使っているプレーヤーはYAMAHAのGT-2000だが、それまでは8万円ほどの他社製品を使っていた。それまでアナログプレーヤーによる音の違いはあまり無いと思っていたのだが、いざ更改してみたら様相がまるで異なり、びっくりしたことを思い出す。必ずしも“音質と値段は比例する”とは言えないが、価格が高くなると音質向上の方法の多様性が得られるのは確かなのだろう。
とはいえSL-1200GRも悪い製品ではないと思う。現時点でこの価格でこのクォリティならば、文句は無いだろう。なお、同社の新作スピーカーのSB-G90も展示されていたが、こちらはエージング(鳴らし込み)がほとんど成されていないとのことで、かなり音が硬い。店頭である程度鳴らされた状態で、改めて接したいと思った。
(この項つづく)
まず興味を惹かれたのが、HDR対応のプロジェクターだ。いつもならオーディオ機器のネタを中心に書き連ねるところだが、この映像機器の印象があまりに強かったので、最初に言及したい。
HDRとは“ハイダイナミックレンジ”の略で、画面の明るさのレンジを拡大する技術のことだ。最近は4Kテレビも市民権を得たようだが、あくまで4Kは画素数を増やして画面解像度を高める方向性であるのに対し、HDRは明るさの情報(輝度)に着目して、より自然な映像再現を可能にするためのテクノロジーだという。実際のデモ映像を見ると、これはなかなかのものだと感じる。スタッフの話によると、ソフトによっては映画館のスクリーンよりも高精細で再生出来るとのことだ。
デモで使われたのはSONYの製品だったが、まだ高価だ。しかし今後は手頃な価格に落ち着いてくるだろう。もちろん大きなプロジェクタースクリーンを用意できる層は限られるだろうが、まさに時代はここまで進んだのかと驚くばかりだ。
会場には相変わらず一般ピープルには縁の無い高価格帯のシステムが多数並んでいたが、今回はあまり聴けなかったこともあり、あえてリポートする必要性は感じない。その中でぜひ試聴したいと思っていたのが、Panasonicが展開するオーディオブランドであるTechnicsの製品群だ。
このブランドが“復活”したのは数年前で、当ブログでは2015年にその第一弾のモデルに対するレビューを載せたが、今回はレコードプレーヤーをラインナップに加えたのが注目される。言うまでもなくTechnicsはダイレクトドライブ方式のターンテーブルを世界で初めて開発しており、“復活”後の製品展開が期待されていたものだ。
展示されていたのはSL-1200GR(定価14万8千円)とSL-1200G(定価33万円)である。オリジナルのSL-1200が発売されたのが72年で、それからシリーズを重ねていったが、デザインは踏襲されていた。今回の2機種も同様で、昔ながらの佇まいに嬉しくなってくる。ただし、2機種とも見た目はほとんど変わらない。果たして値段の差は音に反映するのかというのが、今回の試聴会の狙いだ。
同じアンプとスピーカー、同じカートリッジで聴き比べてみると、明らかに違う。もちろんSL-1200Gの圧勝だ。情報量や音像の捉え方、音場の広さなど、SL-1200GはSL-1200GRに大きく差を付ける。この2機種はルックスは似ているが、実際に触ってみると剛性感・質感は値段なりの違いがある。
そういえば、私が実家で使っているプレーヤーはYAMAHAのGT-2000だが、それまでは8万円ほどの他社製品を使っていた。それまでアナログプレーヤーによる音の違いはあまり無いと思っていたのだが、いざ更改してみたら様相がまるで異なり、びっくりしたことを思い出す。必ずしも“音質と値段は比例する”とは言えないが、価格が高くなると音質向上の方法の多様性が得られるのは確かなのだろう。
とはいえSL-1200GRも悪い製品ではないと思う。現時点でこの価格でこのクォリティならば、文句は無いだろう。なお、同社の新作スピーカーのSB-G90も展示されていたが、こちらはエージング(鳴らし込み)がほとんど成されていないとのことで、かなり音が硬い。店頭である程度鳴らされた状態で、改めて接したいと思った。
(この項つづく)