(原題:YOUNG EINSTEIN)88年オーストラリア作品。コイツは面白い。観る前は“ガイジンには笑えても、日本人はちっとも笑えないアチラ産の大味コメディじゃないのか?”とも思っていたのだが、実際に接してみたらそんなことは全くなかった。若い頃のアルバート・アインシュタインを描く・・・・という建前で、中身は徹底的にお笑い方面にイジられており、しかも史実をもマジメに見据えた上で玄妙に大幅改変しているという芸の深さ。作った奴はただ者ではない。
タスマニア島でのどかに暮らしていたアインシュタインは、自家製ビールに泡を立てる方法を考えている間に相対性理論の公式を発見。早速彼はその理論を発表するため・・・・ではなくビールの醸造法の特許を得るため大都市シドニーへ向かう。途中、列車の中でマリー・キューリーと出会って一目惚れするが、居合わせたプレストンによって邪魔されてしまう。
残念ながら特許は得られなかったが、シドニーに滞在している間にアインシュタインはサーフィンを発明したりと、マリーの歓心を得ることに成功。嫉妬したプレストンは彼を精神病院に入れ、ビール製法を盗んでノーベル賞をも受賞しようと企んだ。ところがビール製造器は実は原子爆弾であり、爆発に向けてのカウントダウンを開始。アインシュタインは新発明のエレクトリック・ギターでそのエネルギーを放出させようと奮闘する。
アルバート・アインシュタインは南ドイツ出身のはずだが、ここでは勝手に別の場所に変えられている(爆)。そもそも彼がキューリー夫人と知り合ったのは、彼女が結婚した後であり、彼も妻帯者だったのだ。さらにはこの時点で故人だったダーウィンがVIPとして出てきたり、ライト兄弟の一人が黒人だったり、フロイトが母親に連れられていたりと、まさにやりたい放題。
だが、主人公が特許局に勤めることになるくだりは、実際に彼が特許局の技師だった事実にヒントを得たものだ。ついでに言うと、プレストンのモデルはヒットラーであり、彼がバーバリアン兄弟と手を結んでビールを作る展開は、ヒットラーがドイツのババリア地方を支配できれば全ドイツを制圧できると考え、ミュンヘンのビアホールに押し入って新しい独裁政府を宣言したという事実の巧妙なパロディである。このように、作者はただおちゃらけているのではなく、徹底的に素材を研究していると言えよう。
監督および製作・脚本・主演をもこなすのは、オーストラリア出身のヤッホー・シリアスなる人物。このふざけた名前を、アーティストとしての自分の信念で、なんと本名にしているというナイスな野郎である。展開はテンポ良く、カラフルな映像に絶妙のギャグが入り交じり、人を食ったラストまで存分に楽しませてくれる。シリアス監督のその後の消息は知らないが、本作を手掛けたことだけでも記憶に値する人物であると思う。
タスマニア島でのどかに暮らしていたアインシュタインは、自家製ビールに泡を立てる方法を考えている間に相対性理論の公式を発見。早速彼はその理論を発表するため・・・・ではなくビールの醸造法の特許を得るため大都市シドニーへ向かう。途中、列車の中でマリー・キューリーと出会って一目惚れするが、居合わせたプレストンによって邪魔されてしまう。
残念ながら特許は得られなかったが、シドニーに滞在している間にアインシュタインはサーフィンを発明したりと、マリーの歓心を得ることに成功。嫉妬したプレストンは彼を精神病院に入れ、ビール製法を盗んでノーベル賞をも受賞しようと企んだ。ところがビール製造器は実は原子爆弾であり、爆発に向けてのカウントダウンを開始。アインシュタインは新発明のエレクトリック・ギターでそのエネルギーを放出させようと奮闘する。
アルバート・アインシュタインは南ドイツ出身のはずだが、ここでは勝手に別の場所に変えられている(爆)。そもそも彼がキューリー夫人と知り合ったのは、彼女が結婚した後であり、彼も妻帯者だったのだ。さらにはこの時点で故人だったダーウィンがVIPとして出てきたり、ライト兄弟の一人が黒人だったり、フロイトが母親に連れられていたりと、まさにやりたい放題。
だが、主人公が特許局に勤めることになるくだりは、実際に彼が特許局の技師だった事実にヒントを得たものだ。ついでに言うと、プレストンのモデルはヒットラーであり、彼がバーバリアン兄弟と手を結んでビールを作る展開は、ヒットラーがドイツのババリア地方を支配できれば全ドイツを制圧できると考え、ミュンヘンのビアホールに押し入って新しい独裁政府を宣言したという事実の巧妙なパロディである。このように、作者はただおちゃらけているのではなく、徹底的に素材を研究していると言えよう。
監督および製作・脚本・主演をもこなすのは、オーストラリア出身のヤッホー・シリアスなる人物。このふざけた名前を、アーティストとしての自分の信念で、なんと本名にしているというナイスな野郎である。展開はテンポ良く、カラフルな映像に絶妙のギャグが入り交じり、人を食ったラストまで存分に楽しませてくれる。シリアス監督のその後の消息は知らないが、本作を手掛けたことだけでも記憶に値する人物であると思う。