去る12月9日から11日に渡って、北九州市のJR小倉駅の近くにあるアジア太平洋インポートマートで開催された、第30回九州オーディオ&ビジュアルフェアに足を運んでみた。・・・・とはいっても当地には別の用事があって行ったのであり、フェア会場には1時間程度しかいなかったので総体的なリポートなど出来るはずもないが、印象に残った点をひとつ挙げてみたい。
ハイエンド指向であるこのイベント。今回も相変わらず会場には総額1千万円どころか4千万円、5千万円もするシステムがゴロゴロ展示してあり、いったい誰が買うのだろうかと困惑するばかり。主催側のディーラーの社長は“これからは若い世代へ交替していくことが課題だ。ぜひ今後に期待して欲しい”と語ったそうだが、現状を見る限りその気配さえ感じられないのには脱力するしかない。
そんな中で興味を惹かれたのは、ONKYOが新たにリリースしたスピーカーであるScepter SC-3だ。価格はペア60万円で、決して安いとは言えない製品なのだが、常軌を逸した高価格品ばかりが幅を利かせている会場内にあってはリーズナブルな値段に思えてくるのだから怖い(爆)。なお、駆動していたアンプ類も同社製品である。
ONKYO製品においてScepterという名称は60年代から使われており、今回は久々の“ブランド復活”とのことでメーカーとしても力の入ったモデルだという。確かに、定格や外観はなかなか“意欲的”だと思った。ウーファーには世界で初めて開発に成功したというセルロースナノファイバーが使われており、ツィーター部は同社がかつて得意としていたホーン型が採用され、新設計の振動板はマグネシウム製である。
エクステリアは何やらPA用スピーカーを思わせるような無骨で素っ気ないものだが、家庭用としてはギリギリ許せるデザインではある。ただし奥行きは大きいので狭い部屋には不向きだと思われる。特筆すべきはペアになるスピーカースタンドのAS-3で、剛性が優先されるであろうケースが多い他の置き台とは異なり、不要な振動を吸収するための弾性を持つ構造になっている。おそらくは、このスタンド込みのサウンド・デザインになっているのだろう。
実際に音を聴いてみると、余計なケレンを廃した実に素直なサウンドが出てくる。レンジは広いが、いたずらにハイファイ度を強調したような部分は無く、決してイヤな音を出さない。少なくとも、同じ国産機としては先日試聴したDIATONEの試作機みたいに耳に突き刺さるような不快な音ではなかったのは有り難い。全体的にバランスが良く、かといって一部のモニター用スピーカーのような神経質さも感じられず、聴きやすい展開だと言える。
音場は若干狭く感じられたが、それはCDプレーヤーに下位モデルを使用していたせいもあったのだろう。また、同社の多くのスピーカーのように繋ぐアンプを選ぶといった傾向も感じられない(まあ、実際に他社のアンプを接続して聴いたわけでは無いので断言は出来ないが ^^;)。
ONKYOが2014年に発売したD-77NEのようなオールドファン目当ての復古調の製品ではなく、明らかに“攻め”の姿勢で開発されたモデルだと言えよう。同価格帯の他社のスピーカー(特に海外製品)に比べてどれほどの競争力があるのかは未知数だが、オーディオ好きとしては聴いて損はしないほどのクォリティを確保している製品であると思う。
ハイエンド指向であるこのイベント。今回も相変わらず会場には総額1千万円どころか4千万円、5千万円もするシステムがゴロゴロ展示してあり、いったい誰が買うのだろうかと困惑するばかり。主催側のディーラーの社長は“これからは若い世代へ交替していくことが課題だ。ぜひ今後に期待して欲しい”と語ったそうだが、現状を見る限りその気配さえ感じられないのには脱力するしかない。
そんな中で興味を惹かれたのは、ONKYOが新たにリリースしたスピーカーであるScepter SC-3だ。価格はペア60万円で、決して安いとは言えない製品なのだが、常軌を逸した高価格品ばかりが幅を利かせている会場内にあってはリーズナブルな値段に思えてくるのだから怖い(爆)。なお、駆動していたアンプ類も同社製品である。
ONKYO製品においてScepterという名称は60年代から使われており、今回は久々の“ブランド復活”とのことでメーカーとしても力の入ったモデルだという。確かに、定格や外観はなかなか“意欲的”だと思った。ウーファーには世界で初めて開発に成功したというセルロースナノファイバーが使われており、ツィーター部は同社がかつて得意としていたホーン型が採用され、新設計の振動板はマグネシウム製である。
エクステリアは何やらPA用スピーカーを思わせるような無骨で素っ気ないものだが、家庭用としてはギリギリ許せるデザインではある。ただし奥行きは大きいので狭い部屋には不向きだと思われる。特筆すべきはペアになるスピーカースタンドのAS-3で、剛性が優先されるであろうケースが多い他の置き台とは異なり、不要な振動を吸収するための弾性を持つ構造になっている。おそらくは、このスタンド込みのサウンド・デザインになっているのだろう。
実際に音を聴いてみると、余計なケレンを廃した実に素直なサウンドが出てくる。レンジは広いが、いたずらにハイファイ度を強調したような部分は無く、決してイヤな音を出さない。少なくとも、同じ国産機としては先日試聴したDIATONEの試作機みたいに耳に突き刺さるような不快な音ではなかったのは有り難い。全体的にバランスが良く、かといって一部のモニター用スピーカーのような神経質さも感じられず、聴きやすい展開だと言える。
音場は若干狭く感じられたが、それはCDプレーヤーに下位モデルを使用していたせいもあったのだろう。また、同社の多くのスピーカーのように繋ぐアンプを選ぶといった傾向も感じられない(まあ、実際に他社のアンプを接続して聴いたわけでは無いので断言は出来ないが ^^;)。
ONKYOが2014年に発売したD-77NEのようなオールドファン目当ての復古調の製品ではなく、明らかに“攻め”の姿勢で開発されたモデルだと言えよう。同価格帯の他社のスピーカー(特に海外製品)に比べてどれほどの競争力があるのかは未知数だが、オーディオ好きとしては聴いて損はしないほどのクォリティを確保している製品であると思う。