Quantcast
Channel: 元・副会長のCinema Days
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2430

「タイムトラベラー きのうから来た恋人」

$
0
0
 (原題:Blast from the Past )99年作品。期待しないで観たが、けっこう楽しめた。フレドリック・ブラウンの短編小説「ドーム」と似た設定ながら、本作はああいう暗くてシニカルな話ではない。また、これも共通する部分が多いと思われるジム・キャリー主演の「トゥルーマン・ショー」(98年)よりもはるかに良い出来だ。

 1962年10月。キューバにて米ソ間の冷戦の緊張が高まり、あわや核戦争という段階にまで達した頃、ロスアンジェルスに住む天才発明家のカルヴィンは、臨月を迎えたの妻ヘレンと共に、地下に作りあげた核シェルターに閉じこもって暮らすことになる。やがてシェルターで生まれたアダムは昔ながらの紳士のような男に成長。



 1997年、シェルターの自動ロックが解除され、カルヴィンはようやく地上に出ることが出来た。ところがチンピラだのドラッグ・クイーンだのに絡まれてショックを受けた彼は、あえなく寝込んでしまう。代わりにシェルターから出たアダムは、初めて見る外界に感激。あちこち歩き回った挙句に道に迷ってしまう。手持ちの野球カードを現金に替えようとディーラーに足を運ぶが、悪い業者にだまされそうになる。そんな彼を救ったのが店員のイヴ。それがきっかけで2人(アダム&イヴ)は付き合うようになるが、育ちが違い過ぎる2人にとって意思疎通は至難の業だった。

 SF風の御膳立てながら、内容は見事にラブコメだ(爆)。だが、当初から大風呂敷を広げているため、多少のくすぐったい描写も笑って済まされる。アダムは食前のお祈りは欠かさず、イヴのことを“お嬢さん”としか呼ばず、雨が降っただけで大騒ぎし、海を初めて見て大感激する。

 今時の女の子であるイヴは、そんなアダムに困惑するばかり。だが、真っ直ぐで邪気のない彼に惹かれるようになるのはお約束通りだ。さらに、イヴに助言するルームメイトのトロイ(デイヴ・フォーリー)がゲイである点も面白く、ドラマにメリハリを付けている。

 主演のブレンダン・フレイザーの絵に描いたような好青年ぶりは「ハムナプトラ」とは大きな隔たりがあってそれだけでも笑えるし、発明家夫婦に扮するクリストファー・ウォーケン&シシー・スペーセクのクセ者ぶりには大いに楽しませてもらった。ヒュー・ウィルソンの演出は快調で、ペドロ・アルモドヴァル作品の常連のカメラマンであるホセ・ルイス・アルカイネによる明るい画作りも要チェックだ。なお、イヴを演じるアリシア・シルヴァーストーンを初めて好ましいと思った(役柄のせいもあるが ^^;)。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2430

Trending Articles