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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「ゴーン・ガール」

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 (原題:Gone Girl )キャストの力演で何とか最後まで見ていられるが、ミステリー映画としては上等ではない。プロットの練り上げが完全に不足している。オスカー候補という声もあるらしいが、この程度ではまず期待出来ないだろう。

 ミズーリ州の片田舎に暮らすニックとエイミーの若夫婦。以前二人は売れっ子作家であるエイミーの仕事の拠点であるニューヨークで暮らしていたが、都合によりニックの実家のある当地に越してきたのだ。結婚5周年の記念日に、エイミーは突然失踪する。状況から事件性が強いと判断した警察はすぐに動き出すが、エイミーが有名人であるため、ダンは周囲からすすめられるがままに記者会見を開き、情報提供を呼びかける。ところが捜査が進むにつれ、なぜか彼に不利な証拠ばかりが見つかり、マスコミからは容疑者扱いされてしまう。

 早い話が、失踪事件はエイミー自身の狂言であり(注:これは中盤で早々に明かされるため、ネタばれではない)、映画の焦点は彼女が如何にセッティングをしたか、そしてダンがどういうリアクションを示すのか、そういったことに移っていく。しかしながら、これがヘタクソでどうにもならない。

 エイミーの逃避行は、プロットとして穴だらけである。ちょっと髪型と服装を変えたぐらいで騙し通せるはずもないと思うのだが、なぜか堂々と人の多いバーへ行ったりする。案の定途中で致命的な失態を演じてしまうのだが、そのことに以後まったく言及されていないのは噴飯ものだ。さらには切羽詰まって“昔の知り合い”に泣きついたりもするのだが、そのあたりも御都合主義の極みでシラけてしまう。

 ダンの方も嫁さんに寄り切られてばかりで、主体性の無さを露呈(そもそも、甲斐性も無いのに世間に名の知られたカミさんと結婚してしまう軽率さからして、まったく感情移入出来ない)。さらには警察も弁護士も、勿体振っているわりにはドラマに大きく絡んでこない。作者が問題提起したかったであろうマスコミのあり方云々についても、何を今さらという感じだ。こういう調子で終盤に近付くほど話がグダグダになり、気勢の上がらない幕切れを迎える。

 この夫婦に扮するベン・アフレックとロザムンド・パイクはかなりの熱演で、観客を退屈させないようにエネルギッシュに動き回るが、ストーリー自体が斯様な状態なので、ただ“ご苦労さん”としか言いようがない。

 デイヴッド・フィンチャーの演出は「ゲーム」や「パニック・ルーム」などの凡作連発の頃に戻ったみたいな生彩の無さで、観ていて盛り下がるばかり。トレント・レズナーの音楽および使われていた既成曲は印象に残らず。別に観なくても良い映画だ。

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