(原題:THREE MEN AND A LITTLE LADY )90年作品。赤ん坊を育てるハメになった三人の男共が巻き起こす騒動を描いたフランス映画「赤ちゃんに乾杯!」をハリウッドでリメイクした「スリーメン&ベビー」の続編である。
前作で三人の“父親”と共同生活を始めたメアリーの母親シルビアが、イギリス人の演出家と結婚することになり、当然娘のメアリーもイギリスに渡ってしまう。三人は潔く諦めようとしたものの、やっぱり未練があり、思い切ってイギリスへ行くことになる。映画はその珍道中をコメディ・タッチで描く。
まあ、お手軽な映画なのだが、アメリカとイギリスとのカルチャー・ギャップ(もちろん、アメリカ人の視点による)を取り上げているあたりが面白かった。大柄なアメリカ野郎どもが小さなオースチン・ミニに押し込められて“これは、電気自動車かっ!”と文句を言うシーンをはじめ、その車が羊の群れに囲まれて立ち往生し、通りすがりのオッサンに道を聞けば、その言い回しの何と長くて要領を得ないことか。英国では“急いで行く”というのは“途中でお茶の時間を設けないこと”であるらしい(爆)。
シルビアと結婚する予定のディレクターの家は古色蒼然とした屋敷で、周りの女性陣も色気の無いパサパサした感じの面子ばかり。さらに子供の教育に関しては、アメリカ人からすれば断じて許せないほどのドライなものだ。つまりは、子供を人間扱いしていない。そして中流以上の子が入れられる寄宿舎というのが、まるで捕虜収容所みたいなヒドいところである。三人はこの事実に憤慨するのだが、自分たちは子供には極端に甘く、決してホメられたものではないのが笑える。
エミール・アドリーノの演出は取り立てて器用ではないが、まあ破綻無くドラマを進めている。トム・セレック、スティーヴ・グッテンバーグ、テッド・ダンソンの“父親”たちも、そつなく仕事をこなした程度。音楽はジェームズ・ニュートン・ハワードで、堅実なスコアを披露している。