コンパクトカーの購入を検討しており、近頃は週末には各ディーラーに足を運んでいるが、今回特別に外車に乗ってみた。フォルクスワーゲンの新作のup!である。
up!の排気量は1000CC。フォルクスワーゲンのエントリーモデルである。どうして試乗する気になったのかというと、車両価格が低く抑えられているからだ。一番下のモデルは150万円程度。もちろんオプション等を加えれば実売価格は200万円に達するが、同社の製品にしては安価であることには間違いない。
ただし、それでも国産車に比べれば値が張ることは事実。実際に乗ってみて、もしもその価格差を跳ね返すほどの魅力をこの車に見出せないのならば、早々にディーラーを後にするつもりだった。ところが、up!のドアを開けてエンジンを掛けた瞬間、そんな及び腰の姿勢は吹っ飛んでしまった(試乗したのはラインナップ上位のHigh up!である)。
これは同排気量のミラージュはもちろん、デミオやフィット等とは別の次元に属する車だ。まずボティの剛性感が強く印象づけられる。ドア周りはもちろん、全体に渡ってガッシリと作られている。筐体が頑丈ならば安定した走りも期待出来るが、事実、走行時には微塵の乱れも見せずにスクエアに路面をキャッチする。特にステアリングの直進走行感の良さには舌を巻いた。
もっとも、舗装状態の良くない道では弾みが目立つが、これはこのクラスの車で言えばup!に限った話ではない。それどころか、国産コンパクトカーよりも道路からの突き上げは上手く処理されていると思う。
ハンドリングはスムーズそのもので、最小回転半径もミラージュほどではないにしろ、十分に小回りの利く車である。狭い道での対向車とのすれ違いも怖くない。3気筒エンジンとしてはそれほどチープなサウンドも出さず、ドライブフィールは上質感がある。
さらに感心したのが内装だ。ダッシュボード周りはプラスティック主体でそんなに金は掛かっていないはずだが、実にセンスが良い。シートのホールド感は上々で、特に座面の全長が大きいのはポイントが高い。これからば長時間のドライブも疲労度が低いだろう。
内寸はフィット等よりも確実に小さいはずなのに、あまり圧迫感を覚えることはない。大げさに表現すれば、中型セダンに乗っているような感覚さえある(笑)。パッケージングの巧みさは国産コンパクトカーの追随を許さないレベルにあると言えよう。小さい車なので収納は期待出来ないが、それでもトランクのアレンジは気が利いている。
このようにクォリティの高い車ではあるが、まったく評価しないユーザーも少なからずいることは想像できる。まず、この自動車にはCVTのようなポピュラーなトランスミッションは採用されていない。代わりにASGと呼ばれるセミATが付けられていて、これを扱うにはアクセル操作にコツが要る。しかも、クリープ機能は無い。
正直、乗る前は私もそのあたりが気になっていて、扱い辛いシステムならば即刻に購入対象候補から外そうかと思っていた。ところが、実際試乗してみるとそれほど気難しいシロモノではない。マニュアルのトランスミッションの応用形だと思えば、それほど違和感は無く走れる。ただし、オートマ限定で免許を取った者にとっては実に使いにくいだろう。
そして、この車のリアウインドウは開かない。ヒンジ形式で隙間は空けられるが、はめ殺しに近いと言える。運転席から助手席のパワーウインドウは操作できない。スマートキーは設定されておらず、オートエアコンもない。オプションのカーナビはショボく、しかも装着すると空調の吹き出しを妨害する形になる。さらには方向指示器のスイッチの位置が、国産車とは反対の左側にある。
ガソリンはハイオク限定。後部座席は2人のみで、3人乗せることは考慮されていない。屋根のアンテナは不必要に長く、ショートアンテナは別売りになる。ミラー自動格納機能やオートライトも付いていない。これらの装備が“欠陥”だと感じるドライバーは頭からこの車を否定するだろう。しかし、国産コンパクトカーとは一線を画する堅牢感とフットワークの軽さは、それらの“欠陥”を補って余りある・・・・と思う消費者もいるはずだ。
国産コンパクトカーや、売値が200万円にも届くような軽自動車の上級機種の購入を検討していて、なおかつ今まであまり輸入車に接したことの無いユーザーには、是非とも試乗してみることを強くお奨めしたい。たとえ乗ってみた結果が“ダメだった”ということになっても、国産車とは異なるコンセプトの商品を知ることは、決して無駄な経験にはならないはずだ。
かく言う私も、現時点ではこの車の導入を決定したわけではない。今後財布の中身と相談しつつ、買うのを断念することもあり得る。しかしハッキリと言えることは、今まで車の運転にあまり楽しさを感じたことがない私がもしもup!を入手できれば、生活のパターンがほんの少し変わるかもしれないということだ。“必要なとき以外は車に乗らない”というスタンスが改まり、楽しみのために車を転がすことが多くなるだろう。週末の過ごし方も、映画館に足を運ぶよりもドライブに繰り出すことが増えるのかもしれない(笑)。
up!の排気量は1000CC。フォルクスワーゲンのエントリーモデルである。どうして試乗する気になったのかというと、車両価格が低く抑えられているからだ。一番下のモデルは150万円程度。もちろんオプション等を加えれば実売価格は200万円に達するが、同社の製品にしては安価であることには間違いない。
ただし、それでも国産車に比べれば値が張ることは事実。実際に乗ってみて、もしもその価格差を跳ね返すほどの魅力をこの車に見出せないのならば、早々にディーラーを後にするつもりだった。ところが、up!のドアを開けてエンジンを掛けた瞬間、そんな及び腰の姿勢は吹っ飛んでしまった(試乗したのはラインナップ上位のHigh up!である)。
これは同排気量のミラージュはもちろん、デミオやフィット等とは別の次元に属する車だ。まずボティの剛性感が強く印象づけられる。ドア周りはもちろん、全体に渡ってガッシリと作られている。筐体が頑丈ならば安定した走りも期待出来るが、事実、走行時には微塵の乱れも見せずにスクエアに路面をキャッチする。特にステアリングの直進走行感の良さには舌を巻いた。
もっとも、舗装状態の良くない道では弾みが目立つが、これはこのクラスの車で言えばup!に限った話ではない。それどころか、国産コンパクトカーよりも道路からの突き上げは上手く処理されていると思う。
ハンドリングはスムーズそのもので、最小回転半径もミラージュほどではないにしろ、十分に小回りの利く車である。狭い道での対向車とのすれ違いも怖くない。3気筒エンジンとしてはそれほどチープなサウンドも出さず、ドライブフィールは上質感がある。
さらに感心したのが内装だ。ダッシュボード周りはプラスティック主体でそんなに金は掛かっていないはずだが、実にセンスが良い。シートのホールド感は上々で、特に座面の全長が大きいのはポイントが高い。これからば長時間のドライブも疲労度が低いだろう。
内寸はフィット等よりも確実に小さいはずなのに、あまり圧迫感を覚えることはない。大げさに表現すれば、中型セダンに乗っているような感覚さえある(笑)。パッケージングの巧みさは国産コンパクトカーの追随を許さないレベルにあると言えよう。小さい車なので収納は期待出来ないが、それでもトランクのアレンジは気が利いている。
このようにクォリティの高い車ではあるが、まったく評価しないユーザーも少なからずいることは想像できる。まず、この自動車にはCVTのようなポピュラーなトランスミッションは採用されていない。代わりにASGと呼ばれるセミATが付けられていて、これを扱うにはアクセル操作にコツが要る。しかも、クリープ機能は無い。
正直、乗る前は私もそのあたりが気になっていて、扱い辛いシステムならば即刻に購入対象候補から外そうかと思っていた。ところが、実際試乗してみるとそれほど気難しいシロモノではない。マニュアルのトランスミッションの応用形だと思えば、それほど違和感は無く走れる。ただし、オートマ限定で免許を取った者にとっては実に使いにくいだろう。
そして、この車のリアウインドウは開かない。ヒンジ形式で隙間は空けられるが、はめ殺しに近いと言える。運転席から助手席のパワーウインドウは操作できない。スマートキーは設定されておらず、オートエアコンもない。オプションのカーナビはショボく、しかも装着すると空調の吹き出しを妨害する形になる。さらには方向指示器のスイッチの位置が、国産車とは反対の左側にある。
ガソリンはハイオク限定。後部座席は2人のみで、3人乗せることは考慮されていない。屋根のアンテナは不必要に長く、ショートアンテナは別売りになる。ミラー自動格納機能やオートライトも付いていない。これらの装備が“欠陥”だと感じるドライバーは頭からこの車を否定するだろう。しかし、国産コンパクトカーとは一線を画する堅牢感とフットワークの軽さは、それらの“欠陥”を補って余りある・・・・と思う消費者もいるはずだ。
国産コンパクトカーや、売値が200万円にも届くような軽自動車の上級機種の購入を検討していて、なおかつ今まであまり輸入車に接したことの無いユーザーには、是非とも試乗してみることを強くお奨めしたい。たとえ乗ってみた結果が“ダメだった”ということになっても、国産車とは異なるコンセプトの商品を知ることは、決して無駄な経験にはならないはずだ。
かく言う私も、現時点ではこの車の導入を決定したわけではない。今後財布の中身と相談しつつ、買うのを断念することもあり得る。しかしハッキリと言えることは、今まで車の運転にあまり楽しさを感じたことがない私がもしもup!を入手できれば、生活のパターンがほんの少し変わるかもしれないということだ。“必要なとき以外は車に乗らない”というスタンスが改まり、楽しみのために車を転がすことが多くなるだろう。週末の過ごし方も、映画館に足を運ぶよりもドライブに繰り出すことが増えるのかもしれない(笑)。