(原題:Lost in Translation )2003年作品。CM撮影のために東京にやってきたハリウッド俳優のボブ・ハリス(ビル・マーレイ)と、偶然出会った若い人妻との、共に孤独を抱え込んだ同士の付き合いを描く。2004年の米アカデミー賞で脚本賞を獲得。
異邦人から見た“不思議の国のニッポン”を心地良い清澄な映像で表面的に綴った映画で、それ以上でも以下でもない。ビル・マーレイは得意の個人芸で笑わせてくれるが、内面に抱えているらしい“中年男の屈託”とやらは全く描かれない。もっとも、監督自身が若いねーちゃん(ソフィア・コッポラ)であるから、それは無理な注文なのかもしれない。
仲良くなった女の子(スカーレット・ヨハンソン)に、いくら相手が人妻といっても全く手を出さないのはウソ臭いし、電話でつまらないことをまくし立てるカミさんや、人のダンナにちょっかいを出す若手女優なども扱いが図式的。海外滞在経験の多い観客なら共感する部分もあるのかもしれないが、そうでない私にはピンと来ない。
それにしても、京都の場面は自治体が作る“対外用観光フィルム”みたいで苦笑してしまった。なお、70・80年代のナンバー中心の使用楽曲はセンスが良い。「ヴァージン・スーサイズ」(99年)もそうだったが、これは監督の“趣味”なのだろう。サントラ盤だけはオススメだ。
異邦人から見た“不思議の国のニッポン”を心地良い清澄な映像で表面的に綴った映画で、それ以上でも以下でもない。ビル・マーレイは得意の個人芸で笑わせてくれるが、内面に抱えているらしい“中年男の屈託”とやらは全く描かれない。もっとも、監督自身が若いねーちゃん(ソフィア・コッポラ)であるから、それは無理な注文なのかもしれない。
仲良くなった女の子(スカーレット・ヨハンソン)に、いくら相手が人妻といっても全く手を出さないのはウソ臭いし、電話でつまらないことをまくし立てるカミさんや、人のダンナにちょっかいを出す若手女優なども扱いが図式的。海外滞在経験の多い観客なら共感する部分もあるのかもしれないが、そうでない私にはピンと来ない。
それにしても、京都の場面は自治体が作る“対外用観光フィルム”みたいで苦笑してしまった。なお、70・80年代のナンバー中心の使用楽曲はセンスが良い。「ヴァージン・スーサイズ」(99年)もそうだったが、これは監督の“趣味”なのだろう。サントラ盤だけはオススメだ。