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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「タイムカット」

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 (原題:TIME CUT)2024年10月よりNetflixから配信されたSF編。タイムリープをネタにしているが、プロットには随分と穴がある。そもそも、設定からして納得出来ない点が散見される。ならば面白くないのかというと、そうでもないのだ。展開はテンポが良くて退屈しないし、キャストも十分機能している。カネ払って映画館で観たら腹も立つだろうが(笑)、テレビ画面だと気軽に付き合える。

 主人公の女子高生ルーシーが住む田舎町(ロケ地はカナダのマニトバ州のウィニペグ市郊外)では、2003年に未解決の連続殺人事件が起こっている。彼女の姉サマーも犠牲者の一人だった。ある日、納屋に設置された怪しげな機械に接触したルーシーは、2003年にタイムスリップしてしまう。そこは件の惨劇が起きる数日前で、サマーも健在だ。何とかして姉の命を救うべく、ルーシーは奮闘する。

 そもそも、簡単にタイムトラベルが出来てしまうメカが無造作にあんな場所に置かれていること自体が噴飯ものだ。両親の外観や振る舞いには、2つの時間軸で大して時の流れを感じさせないのもおかしい。父親は核エネルギーを扱っているらしい怪しげな大手企業に勤めているのだが、そんなアブナい会社のプラントが住宅地のすぐ近くにあるというのは失当だろう。

 肝心のタイムパラドックスの処理にしても、かなりいい加減で御都合主義に近い。それでも、シリアルキラーに主人公たちが追いまくられる段になると、けっこう盛り上がる。事件が発生する日時は分かっているのだが、何とかしようとするたびに障害が立ちはだかるという段取りは型通りだが悪くない。そして犯人は意外な人物で、その動機も強引ながら納得出来るものになっている。

 脚本にも参加しているハンナ・マクファーソンの演出は手堅く、91分という短い尺も相まって冗長な面を見せない。ルーシーに扮するマディソン・ベイリーをはじめ、アントニア・ジェントリーにグリフィン・グラック、マイケル・シャンクス、レイチェル・クロフォード、ミーガン・ベストといった顔ぶれは馴染みは無いが、皆良くやっていたと思う。それにしても、こんなシチュエーションの映画に接するたびに、あの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズは実に良く出来ていたものだと改めて思う。

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