(原題:FALCON LAKE )設定自体はよくある思春期の少年少女のラブストーリーだが、かなり変化球を効かせていて印象は強い。あえて16ミリフィルムを使用した映像や、全体に漂う不吉なムードの創出は評価出来る。筋書きに少し冗長な面があることは認めつつも、観る価値はある意欲作だと思う。第75回カンヌ国際映画祭の監督週間に正式出品されている。
パリに住んでいる14歳のバスティアンは母の親友ルイーズのもとで夏を過ごすため、両親と弟と共にカナダのケベック州にある湖畔のコテージへやって来る。ルイーズの娘である16歳のクロエと久々に会ったバスティアンは、大人びた彼女に惹かれる。このファルコン湖には幽霊が出るという噂があるが、バスティアンはクロエの気を引くために自分から湖で泳ごうとする。フランスの漫画家バスティアン・ビベスの「年上のひと」の映画化だ。
とにかく、このファルコン湖の佇まいが心象的だ。夏のバカンスを過ごすにはとても相応しくない、暗鬱な風景が広がる。バスティアンたちが滞在するコテージも、少しも小洒落たところが無い。端的に言えば、お化け屋敷みたいな造型だ。この映画は斯様にダークな空気を纏っている関係上、ストーリーも全然明るくない。画面のあちこちに見受けられる不吉なイメージが、暗転するラストを予想させる。
だが、決して不快な感じはしない。それは主人公たちの、この年代特有の屈託に満ちた日々を反映しているからだ。楽しく十代を送った者など、実はそんなに多くはないと思う。身の回りのちょっとしたことに一喜一憂し、時には自暴自棄に走る。本作はそれを幽霊の存在に投影しているが、その手法がラストに近付くにつれ強調されていくのも納得出来る。監督のシャルロット・ルボンは元々はカナダで活動する俳優であり、この映画で長編初メガホンを取ることになった。そのためか、後半の展開にはまだるっこしい部分があるものの、まあ許せるレベルかと思う。
主演のジョゼフ・アンジェルとサラ・モンプチのパフォーマンスは申し分なく、ティーンエージャーの揺れ動く内面を上手く表現していた。特にモンプチの存在感は大したもので、他の映画でも彼女の演技を見てみたい。モニア・ショクリにアルトゥール・イグアル、カリン・ゴンティエ=ヒンドマン、トマ・ラペリエールといった脇の面子の仕事ぶりも万全だ。
パリに住んでいる14歳のバスティアンは母の親友ルイーズのもとで夏を過ごすため、両親と弟と共にカナダのケベック州にある湖畔のコテージへやって来る。ルイーズの娘である16歳のクロエと久々に会ったバスティアンは、大人びた彼女に惹かれる。このファルコン湖には幽霊が出るという噂があるが、バスティアンはクロエの気を引くために自分から湖で泳ごうとする。フランスの漫画家バスティアン・ビベスの「年上のひと」の映画化だ。
とにかく、このファルコン湖の佇まいが心象的だ。夏のバカンスを過ごすにはとても相応しくない、暗鬱な風景が広がる。バスティアンたちが滞在するコテージも、少しも小洒落たところが無い。端的に言えば、お化け屋敷みたいな造型だ。この映画は斯様にダークな空気を纏っている関係上、ストーリーも全然明るくない。画面のあちこちに見受けられる不吉なイメージが、暗転するラストを予想させる。
だが、決して不快な感じはしない。それは主人公たちの、この年代特有の屈託に満ちた日々を反映しているからだ。楽しく十代を送った者など、実はそんなに多くはないと思う。身の回りのちょっとしたことに一喜一憂し、時には自暴自棄に走る。本作はそれを幽霊の存在に投影しているが、その手法がラストに近付くにつれ強調されていくのも納得出来る。監督のシャルロット・ルボンは元々はカナダで活動する俳優であり、この映画で長編初メガホンを取ることになった。そのためか、後半の展開にはまだるっこしい部分があるものの、まあ許せるレベルかと思う。
主演のジョゼフ・アンジェルとサラ・モンプチのパフォーマンスは申し分なく、ティーンエージャーの揺れ動く内面を上手く表現していた。特にモンプチの存在感は大したもので、他の映画でも彼女の演技を見てみたい。モニア・ショクリにアルトゥール・イグアル、カリン・ゴンティエ=ヒンドマン、トマ・ラペリエールといった脇の面子の仕事ぶりも万全だ。