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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「ランナウェイ・シーフ」

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 (原題:CHOR NIKAL KE BHAGA )2023年3月よりNetflixより配信。歌も踊りも出てこない(笑)インド製のサスペンス・アクション編で、上映時間も1時間40分とコンパクト。開巻からしばらくは安手のテレビドラマ並の上等ではない建て付けで、正直言って鑑賞意欲は減退気味。しかし、中盤を過ぎると観る者の予想を裏切るアクロバティックな展開が続き、結局は最後まで見入ってしまった。

 大手航空会社にCAとして勤務するネハ・グローヴァーは、乗客の一人であったアンキットと親しくなり、やがて婚約する。しかし、一見カタギのビジネスマンのアンキットは、事業がうまくいかずヤバい筋から多額の借金をしていた。キツい取り立てにより瀬戸際に追い込まれた彼は、中東から空路で密輸されるダイヤを強奪しようと画策。乗務員のネハに無理矢理に協力させ、旅客機に搭乗するブローカーを出し抜こうとする。ところが、飛行中にまさかのハイジャック犯のグループが機内を制圧。乗客を人質に取ってテロリストの親玉の釈放を政府に要求する。

 主人公2人の馴れ初めからアバンチュールまでは、どこぞのライトノベルみたいな雰囲気で盛り下がり、アンキットのヤクザな交友関係の紹介を経てダイヤ泥棒計画に至る顛末も凡庸。突然のハイジャックも、緊張感を欠く。しかし、本編のハイライトはハイジャック事件の終結後だというのが目新しい。

 後半は当事者同士の腹の探り合いや、主要登場人物が意外な本性を次々とあらわすといった(半ばヤケクソ気味の)ドンデン返しが続き、終盤には真の悪役が明示されるといった案配だ。もちろん、欧米製の本格的コン・ゲーム作品と比べれば洗練はされていないが、何とか観る者を楽しませようとする意図は感じ取れる。アジャイ・シンの演出には特筆されるようなものは無いが、何とかラストまで破綻なくドラマを引っ張っているように感じられた。

 ネハに扮するヤミー・ガウタムはインド女優らしいゴージャスな美人。対して男優陣は、アンキットを演じるサニー・コウシャルをはじめ、どいつもこいつも濃くてむさ苦しい(苦笑)。最近はインド映画界にも垢抜けた二枚目男優も目立つとは聞くが、まだトレンドを形成するには至っていないようだ。

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