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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「シャザム! 神々の怒り」

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 (原題:SHAZAM! FURY OF THE GODS)退屈せずに観てはいられるが、前作(2019年)よりも面白さは低下している。早い話が、このキャラクターの売り物である“見た目は大人、中身は子供”という特徴が、キャストの成長によりあまり活かされなくなったのだ。かといって、出演者を総入れ替えするとシリーズとしての一貫性が損なわれる。難しいところだ。

 アテネにある博物館に突如として2人の女神が乱入し、狼藉の末に展示してあった真っ二つに折れた魔法の杖を強奪。彼女たちは神話のアトラスの娘で、古代の魔術師より6人の神の力を授けられたシャザムことビリー・バットソンとその仲間たちからパワーを取り戻すべく、彼らが住むフィラデルフィアに向かう。一方、ビリーたちは相変わらずお気楽なヒーロー稼業を続けていたが、女神たちがペットのドラゴンを引き連れて襲来し街を破壊するに及び、この脅威に敢然と立ち向かうことになる。



 前回中学生だったビリーは高校生になっており、変身後の姿のようなマッチョではないものの、体格は大人と変わらなくなっている。これではシャザムとの見た目のギャップが小さくなり、そのあたりで笑いを取ることは難しい。他のメンバーも程度の差こそあれ似たようなもので、これはマズいと思ったのか、今回クローズアップされるのは普段は足が悪くて学校では辛い目に遭っている(変身時との格差が大きい)フレディである。

 フレディは転校してきた女生徒のアンと仲良くなるが、実は彼女は件の女神の一人だった。この学園ラブコメ風なパートがけっこう尺を取っているため、主人公であるはずのビリーの影が薄くなる。そんな釈然としない展開が続いた後に大々的なバトルシーンに突入するが、最近のアメコミ物の御多分に漏れず、派手な割には大味であまりワクワクしない。前回のように舞台を遊園地に限定したり、思わぬ“友情パワー”が炸裂したりといった工夫が見られないのは辛いところだ。

 デイヴィッド・F・サンドバーグの演出は賑々しいが、緻密さでは前作の方が上だ。終盤に“あの人”が登場するのも、あまり効果的とは思えない。ザカリー・リーバイにアッシャー・エンジェル、ジャック・ディラン・グレイザー、ジャイモン・フンスーといったレギュラーメンバーは可もなく不可もなし。

 ただ、敵役のヘレン・ミレンとルーシー・リューは楽しそうに演じていたし、アンに扮したレイチェル・ゼグラーは「ウエスト・サイド・ストーリー」に出演した時よりも好感度が高い。なお、エンドクレジット前後には思わせぷりなエピローグが挿入されるものの、このシリーズ自体の先行きが不透明なため、気勢の上がらない幕切れになったのは仕方がない。

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