(原題:2 HEARTS)2020年10月よりNetflixより配信。スチール写真やトレイラー映像から受ける“典型的なラブコメ”といった印象とは、実際観てみると大きく違う。これは真摯に作られたヒューマンドラマだ。しかも構成や画像処理は手が込んでおり、平板な出来にはなっていない。終盤の展開は感動的でもあり、鑑賞後の満足度は決して低くはない。
70年代、中米の大手ラム酒業者社長の御曹司ホルヘは、生まれつき肺に疾患があり大人になるまで生きられないと言われていた。しかし手術が成功し30歳代になっても元気に稼業に勤しんでいた。そんな彼は乗り合わせた旅客機のCAレスリーに一目惚れ。猛アタックの結果、結婚までこぎ着ける。
2000年代、イリノイ州に住む大学生クリスは学業があまり得意ではなく、親や兄からは小言を貰いつつも本人はあまり気にしていない。そんな彼が同じ大学の上級生サマンサと知り合い、恋仲になる。一方、時が経ち中年になったホルヘは肺の具合が悪化。移植手術以外では助からないと宣告される。同じ頃、クリスは友人の家にいる間に突然倒れる。緊急治療室に担ぎ込まれるが、そこで彼が脳動脈瘤を患っていることが明らかになる。実話を元にした筋書きだ。
冒頭、ハワイの海岸に佇むクリスのモノローグが挿入されるが、これがラストの伏線になる。映画はホルヘとクリス、一見何の関係も無いストーリーを平行して描く。観る側はこの2つが終盤で融合し、そしてそこに繋がるモチーフが臓器移植であることを予想出来るのだが、扱い方は変化球を駆使している。
具体的には、スムーズに進んだと思われるシークエンスが、実は登場人物の想像や願望だったりするのだ。しかも、その繰り出し方は緩急が付けられていて、どこで幻想と現実が反転するのか予測出来ない。観る者によっては反則かと思われる手法だが、本作の場合正面切ってリアリズムでやられるよりも、こっちの方が訴求力が高い。その代わり、クリスと家族との確執や、キューバから亡命してきたホルヘの親世代の苦労など、周辺のネタは丁寧に掬い上げられている。
最後は予想通りかもしれないが、やはり当事者たちのきめ細かい心情が描かれて感慨深い。ランス・フールの演出はイレギュラーな手法に足を引っ張られず堅実なタッチに終始している。ジェイコブ・エロルディにエイダン・カント、ラダ・ミッチェル、ティエラ・スコビーらキャストは正直知らない名前ばかりだが、皆好演だ。ヴィンセント・デ・ポーラのカメラによる明るく美しい映像も要チェックである。
70年代、中米の大手ラム酒業者社長の御曹司ホルヘは、生まれつき肺に疾患があり大人になるまで生きられないと言われていた。しかし手術が成功し30歳代になっても元気に稼業に勤しんでいた。そんな彼は乗り合わせた旅客機のCAレスリーに一目惚れ。猛アタックの結果、結婚までこぎ着ける。
2000年代、イリノイ州に住む大学生クリスは学業があまり得意ではなく、親や兄からは小言を貰いつつも本人はあまり気にしていない。そんな彼が同じ大学の上級生サマンサと知り合い、恋仲になる。一方、時が経ち中年になったホルヘは肺の具合が悪化。移植手術以外では助からないと宣告される。同じ頃、クリスは友人の家にいる間に突然倒れる。緊急治療室に担ぎ込まれるが、そこで彼が脳動脈瘤を患っていることが明らかになる。実話を元にした筋書きだ。
冒頭、ハワイの海岸に佇むクリスのモノローグが挿入されるが、これがラストの伏線になる。映画はホルヘとクリス、一見何の関係も無いストーリーを平行して描く。観る側はこの2つが終盤で融合し、そしてそこに繋がるモチーフが臓器移植であることを予想出来るのだが、扱い方は変化球を駆使している。
具体的には、スムーズに進んだと思われるシークエンスが、実は登場人物の想像や願望だったりするのだ。しかも、その繰り出し方は緩急が付けられていて、どこで幻想と現実が反転するのか予測出来ない。観る者によっては反則かと思われる手法だが、本作の場合正面切ってリアリズムでやられるよりも、こっちの方が訴求力が高い。その代わり、クリスと家族との確執や、キューバから亡命してきたホルヘの親世代の苦労など、周辺のネタは丁寧に掬い上げられている。
最後は予想通りかもしれないが、やはり当事者たちのきめ細かい心情が描かれて感慨深い。ランス・フールの演出はイレギュラーな手法に足を引っ張られず堅実なタッチに終始している。ジェイコブ・エロルディにエイダン・カント、ラダ・ミッチェル、ティエラ・スコビーらキャストは正直知らない名前ばかりだが、皆好演だ。ヴィンセント・デ・ポーラのカメラによる明るく美しい映像も要チェックである。