(英題:UNLOCKED)2023年2月よりNetflixより配信。志駕晃による同名小説の映画化作品(2018年)の、韓国版リメイクである。とはいえ、元ネタの中田秀夫監督版は観ていないし観る予定も無い。どうして演出力が欠如したあの監督に次々と仕事が回ってくるのか、邦画界の不思議の一つだ(苦笑)。それはさておき、この韓国製サスペンスはびっくりするようなレベルの高さこそないものの、約2時間退屈させないだけの求心力がある。観て損は無い。
ソウルにある健康食品の販売会社に勤めるOLのイ・ナミは、ある晩帰宅途中にバスの中にスマートフォンを落としてしまう。幸いすぐに拾得者から連絡があり、ディスプレイが割れていたので修理に出してくれたという。ナミは指定されたスマホのメンテナンス店に向かう。彼女の父親はカフェを経営しているが、最近若い男ジュニョンがよく通うようになり、ナミとも顔見知りになる。一方、街では連続殺人事件が発生しており、担当のウ・ジマン刑事は現場で見つかった遺留品から、犯人は数年前に家出した息子ではないかと疑う。
本作の興味深い点は、早い時点で犯人がジュニョンであると明かしていることだ。通常ならば面白さがスポイルされるところだが、その分手口の巧妙さと悪質さの描写がエゲツないので欠点にはならない。ナミが修理済として手渡されたスマホは、実はまったくの別物。知らずに操作しているうちに、彼女のプロフィールから交友関係、職場での立場や個人的な悩みまで、すべてが犯人側に知れてしまう。このくだりはかなり怖い。
さらに犯人はナミのスマホを遠隔からコントロールすることにより、彼女を窮地に追い込んでいく。もちろん、四六時中スマホをいじっている昨今の若い衆を風刺しているのだが、それ以上に、情報化社会に潜む陥穽の不気味さが印象付けられる。クライマックスはナミと犯人との対決になるのだが、段取りがよく練られていて引き込まれる。
キム・テジュンの演出はソツがなく、テンポ良くドラマを進める。主演のチョン・ウヒは表情が豊かで身体のキレも良い。ジュニョンに扮したイム・シワンは、端整な顔立ちの中にヤバさを垣間見せて圧巻だ。ジマン刑事役のキム・ヒウォンも、尋常では無い人相の悪さでアピール度が高い(笑)。パク・ホサンにキム・イェウォン、オ・ヒョンギョンなど脇の面子も悪くない。
なお、ついでに中田監督版のストーリーもチェックしてみたが、筋書きはかなり違う。そして話の面白さとしてはこの韓国版には及ばない。これが両国の映画界のレベルの差だと即断は出来ないが、韓国作品に比べれば最近の邦画には観たい娯楽作があまり無いのは確かだ。
ソウルにある健康食品の販売会社に勤めるOLのイ・ナミは、ある晩帰宅途中にバスの中にスマートフォンを落としてしまう。幸いすぐに拾得者から連絡があり、ディスプレイが割れていたので修理に出してくれたという。ナミは指定されたスマホのメンテナンス店に向かう。彼女の父親はカフェを経営しているが、最近若い男ジュニョンがよく通うようになり、ナミとも顔見知りになる。一方、街では連続殺人事件が発生しており、担当のウ・ジマン刑事は現場で見つかった遺留品から、犯人は数年前に家出した息子ではないかと疑う。
本作の興味深い点は、早い時点で犯人がジュニョンであると明かしていることだ。通常ならば面白さがスポイルされるところだが、その分手口の巧妙さと悪質さの描写がエゲツないので欠点にはならない。ナミが修理済として手渡されたスマホは、実はまったくの別物。知らずに操作しているうちに、彼女のプロフィールから交友関係、職場での立場や個人的な悩みまで、すべてが犯人側に知れてしまう。このくだりはかなり怖い。
さらに犯人はナミのスマホを遠隔からコントロールすることにより、彼女を窮地に追い込んでいく。もちろん、四六時中スマホをいじっている昨今の若い衆を風刺しているのだが、それ以上に、情報化社会に潜む陥穽の不気味さが印象付けられる。クライマックスはナミと犯人との対決になるのだが、段取りがよく練られていて引き込まれる。
キム・テジュンの演出はソツがなく、テンポ良くドラマを進める。主演のチョン・ウヒは表情が豊かで身体のキレも良い。ジュニョンに扮したイム・シワンは、端整な顔立ちの中にヤバさを垣間見せて圧巻だ。ジマン刑事役のキム・ヒウォンも、尋常では無い人相の悪さでアピール度が高い(笑)。パク・ホサンにキム・イェウォン、オ・ヒョンギョンなど脇の面子も悪くない。
なお、ついでに中田監督版のストーリーもチェックしてみたが、筋書きはかなり違う。そして話の面白さとしてはこの韓国版には及ばない。これが両国の映画界のレベルの差だと即断は出来ないが、韓国作品に比べれば最近の邦画には観たい娯楽作があまり無いのは確かだ。