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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「ドラグネット 正義一直線」

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 (原題:Dragnet )87年作品。同じ頃に製作された「サボテン・ブラザース」(86年)と似たような案配のシャシンだ。つまりは、(少なくとも日本の観客にとっては)あまり笑えない脱力系コメディである。しかしながら、当時人気があったTV番組“サタデー・ナイト・ライブ”界隈による作品ということで、妙な勢いは感じられる。主要キャストもこの頃は若い。

 ロス市警の捜査官ジョー・フライデーは、堅物でマジメ一筋の敏腕刑事だ。そんな彼の新たな相棒として着任したのは、若くてチャラいペップ・ストリーベックだった。対照的な2人は早速反目し合うが、昨今街中を騒がせている連続盗難事件の解決を命じられ、渋々捜査を開始する。盗まれたのは大量のポルノ雑誌と、有毒物質を積んだ貨物車、そして動物園の大蛇とコウモリとライオンのたてがみという、脈絡のないものばかり。だが、背後にはペガン教団と名乗る謎のカルト集団が暗躍していることは確かのようで、その企みの真相を暴くべく刑事コンビは奔走する。

 ジョーに扮するのはダン・エイクロイドで、ペップ役はトム・ハンクスだ。特にハンクスは新進気鋭の喜劇役者と目されていたらしく、当時すでに有名だったエイクロイドに対して得意の口八丁手八丁で挑発。エイクロイドも受け流すところは巧みにスルーして時おりギャグをやり返す。しかし、字幕スーパーの限られた範囲では面白さは十分伝わっていないせいか、傍目にはウケの悪いしゃべくり漫才に付き合わされているようで居心地は良くない。

 監督のトム・マンキーウィッツはアクション映画の脚本家としては実績があるが、どうも演出も担当すると段取りが分からないらしく、面白そうなシチュエーションを次々と繰り出してはいるものの、テンポが悪くて盛り上がらない。クライマックス(?)のチェイス場面も今一つだ。とはいえ、悪役が新興宗教というのは今風だし、その親玉も意外な人物だったりする。

 また、本作の元ネタは1950年代から70年代にかけて放送されたラジオ・テレビドラマで、お馴染みのテーマ音楽が流れると何となく気分が高揚する。クリストファー・プラマーにハリー・モーガン、アレクサンドラ・ポール、ダブニー・コールマン、エリザベス・アシュレーといった脇のキャストも悪くない。

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