日活ロマンポルノ50周年を記念し、現役の監督3人がそれぞれ作品を手がけた“ROMAN PORNO NOW”の第二弾だが、第一弾の松居大悟監督「手」同様、予想通り気勢の上がらない出来だ。あまり期待できないのならば観るなと言われそうだが、前にも書いたように、そこは若い頃に成人映画にけっこう接した身としては見届けたいというのが本音である。
元プロレスラーで地下アイドルのミサはドキュメンタリーの密着取材を受けているが、ある日SMクラブ“H”のオーナーにスカウトされる。どうやらミサには女王様の素質があるらしい。戸惑うミサだったが、ドキュメンタリーのディレクターの許可もあり、思い切って依頼を受けることにする。クラブでは当初は人気女王様のカノンによる“研修”に付き合う必要があるのだが、ミサはそこで思わず面白さに目覚めてしまう。するとそれに比例するかのように、アイドル業も軌道に乗ってくるのであった。
はっきり言って、これはポルノの体を成していない。少しもエロティックではないし変態チックでもない、もちろんSMの淫靡さなど望むべくもない。例えるならば、本格的娯楽小説という触れ込みにも関わらず実際読んでみたらライトノベルだったという案配だ。そもそも、どうして主人公が実録映像作品の被写体になったのか不明。体格が良すぎるアイドルを題材に選ぶだけでは、何の興趣も生み出さないと思う。
しかも、このPOV的仕掛けが映画として効果を発揮する箇所は見受けられない。設定そのものを見直すか、あるいは全編主観ショットで乗り切ってしまった方が良かった。また、白石晃士監督がなぜ斯様な形式のシャシンを作ろうとしたのかも分からない。実際、本作の演出テンポは良いとは言えない。ホラーやサスペンス作品を得意とする同監督ならば、今回もそういうノリで仕上げればいくらかサマになっていたはずだ。昔から“ホラーとエロは相性が良い”という格言もある(←あるのか? ^^;)。
キャストも弱体気味で、ミサ役の川瀬知佐子やカノンに扮した鳥之海凪紗、ライバル役の乙葉あい、いずれも魅力が感じられない。往年のロマンポルノに出ていた女優たちは、おしなべて演技が上手くて愛嬌があったことを思うと隔世の感がある。クラブの常連として高嶋政宏が本人役で出ているが、石井克人監督の「スマグラー おまえの未来を運べ」(2011年)におけるド変態ぶりには遠く及ばず。印象に残ったのは“H”の支配人に扮したryuchellぐらいだ。
元プロレスラーで地下アイドルのミサはドキュメンタリーの密着取材を受けているが、ある日SMクラブ“H”のオーナーにスカウトされる。どうやらミサには女王様の素質があるらしい。戸惑うミサだったが、ドキュメンタリーのディレクターの許可もあり、思い切って依頼を受けることにする。クラブでは当初は人気女王様のカノンによる“研修”に付き合う必要があるのだが、ミサはそこで思わず面白さに目覚めてしまう。するとそれに比例するかのように、アイドル業も軌道に乗ってくるのであった。
はっきり言って、これはポルノの体を成していない。少しもエロティックではないし変態チックでもない、もちろんSMの淫靡さなど望むべくもない。例えるならば、本格的娯楽小説という触れ込みにも関わらず実際読んでみたらライトノベルだったという案配だ。そもそも、どうして主人公が実録映像作品の被写体になったのか不明。体格が良すぎるアイドルを題材に選ぶだけでは、何の興趣も生み出さないと思う。
しかも、このPOV的仕掛けが映画として効果を発揮する箇所は見受けられない。設定そのものを見直すか、あるいは全編主観ショットで乗り切ってしまった方が良かった。また、白石晃士監督がなぜ斯様な形式のシャシンを作ろうとしたのかも分からない。実際、本作の演出テンポは良いとは言えない。ホラーやサスペンス作品を得意とする同監督ならば、今回もそういうノリで仕上げればいくらかサマになっていたはずだ。昔から“ホラーとエロは相性が良い”という格言もある(←あるのか? ^^;)。
キャストも弱体気味で、ミサ役の川瀬知佐子やカノンに扮した鳥之海凪紗、ライバル役の乙葉あい、いずれも魅力が感じられない。往年のロマンポルノに出ていた女優たちは、おしなべて演技が上手くて愛嬌があったことを思うと隔世の感がある。クラブの常連として高嶋政宏が本人役で出ているが、石井克人監督の「スマグラー おまえの未来を運べ」(2011年)におけるド変態ぶりには遠く及ばず。印象に残ったのは“H”の支配人に扮したryuchellぐらいだ。