(原題:MIXTAPE )2021年12月よりNetflixにて配信。殊更持ち上げたくなるような秀作でも佳作でもないが、観た後の感触は良好だ。音楽をネタにした学園ものという題材も個人的に嬉しい。さらには使われている楽曲の数々が実にアピール度が高く、それだけでもチェックして良かったと思わせる。
西暦2000年をもうすぐ迎える12月、ワシントン州の地方都市に住む中学生のビバリー・ムーディは、今は亡き両親が選曲して録音したカセットテープを見つける。ところがデッキに装着して再生しようとした途端、テープが絡まって動作不可になる。彼女はラベルに書かれた“曲のキャッチフレーズ”を頼りに、友人のエレンやニッキー、そして世間嫌いのレコード店オーナーのアンティらと共に、ミックステープの復刻を目指す。
ビバリーの両親は10代で一緒になったが、彼女が生まれてすぐに事故でこの世を去っている。だからビバリーは親から何も受け継いでいない。今は母方の祖母ゲイルとの二人暮らしだが、ゲイルも娘に対して屈託があり、ビバリーに母親のことを詳しく話さない。だからミックステープの作成は、ビバリーにとって両親の人となりを知る唯一の手段なのだ。
ビバリーの学校生活も、決して明るいものではない。人付き合いの苦手な彼女は、イジメの絶好のターゲットになっている。このイジメっ子の親玉が車椅子の身障者であるというのも、かなりキツい。エレンやニッキーと仲良くなるのも、時間と手間ばかりが掛かってしまう。そんな逆境だらけの日常を何とか上向かせるツールというのが、くだんのカセットテープであるというアイデアは悪くない。曲を集めるたびに一歩ずつビバリーの世界が広がっていく様子は、観ていて気持ちが良い。
選曲のセンスは良好で、ロキシー・ミュージックの「夜に抱かれて」や、キンクスの「ベター・シングス」などは久々に聴いたが、いずれも優れたナンバーであることを再確認した。驚いたのがザ・ブルーハーツの「リンダリンダ」も入っていること(もちろん、日本語オリジナルだ)。そういえば最近「リンダ・リンダズ」というLA出身の10代ガールズバンドが注目されているが、あのグループの名前の由来もこのナンバーだ。
ヴァレリー・ワイスの演出はテンポが良いとは言えず、余計なシーンも目立つのだが、登場人物の内面は上手く掬い上げている。特に終盤は、それぞれのキャラクターが自らの人生に折り合いを付ける様子を過不足なく描写して、好感触だ。ジェマ・ブルック・アレンにオードリー・シェ、オルガ・ペッツァ、ニック・スーン、ジュリー・ボーウェンといった出演陣は馴染みはないが、皆良い演技をしている。
西暦2000年をもうすぐ迎える12月、ワシントン州の地方都市に住む中学生のビバリー・ムーディは、今は亡き両親が選曲して録音したカセットテープを見つける。ところがデッキに装着して再生しようとした途端、テープが絡まって動作不可になる。彼女はラベルに書かれた“曲のキャッチフレーズ”を頼りに、友人のエレンやニッキー、そして世間嫌いのレコード店オーナーのアンティらと共に、ミックステープの復刻を目指す。
ビバリーの両親は10代で一緒になったが、彼女が生まれてすぐに事故でこの世を去っている。だからビバリーは親から何も受け継いでいない。今は母方の祖母ゲイルとの二人暮らしだが、ゲイルも娘に対して屈託があり、ビバリーに母親のことを詳しく話さない。だからミックステープの作成は、ビバリーにとって両親の人となりを知る唯一の手段なのだ。
ビバリーの学校生活も、決して明るいものではない。人付き合いの苦手な彼女は、イジメの絶好のターゲットになっている。このイジメっ子の親玉が車椅子の身障者であるというのも、かなりキツい。エレンやニッキーと仲良くなるのも、時間と手間ばかりが掛かってしまう。そんな逆境だらけの日常を何とか上向かせるツールというのが、くだんのカセットテープであるというアイデアは悪くない。曲を集めるたびに一歩ずつビバリーの世界が広がっていく様子は、観ていて気持ちが良い。
選曲のセンスは良好で、ロキシー・ミュージックの「夜に抱かれて」や、キンクスの「ベター・シングス」などは久々に聴いたが、いずれも優れたナンバーであることを再確認した。驚いたのがザ・ブルーハーツの「リンダリンダ」も入っていること(もちろん、日本語オリジナルだ)。そういえば最近「リンダ・リンダズ」というLA出身の10代ガールズバンドが注目されているが、あのグループの名前の由来もこのナンバーだ。
ヴァレリー・ワイスの演出はテンポが良いとは言えず、余計なシーンも目立つのだが、登場人物の内面は上手く掬い上げている。特に終盤は、それぞれのキャラクターが自らの人生に折り合いを付ける様子を過不足なく描写して、好感触だ。ジェマ・ブルック・アレンにオードリー・シェ、オルガ・ペッツァ、ニック・スーン、ジュリー・ボーウェンといった出演陣は馴染みはないが、皆良い演技をしている。