(原題:ETERNALS)賛否両論真っ二つになるような出来映えで、実際に本国では評価は完全に分かれているようだ。私はどうかといえば、かなり面白く観たというのが正直なところだ。何より、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)などのアメコミ物には不似合いと思われる作家を起用し、その持ち味を上手く反映しているあたりがポイントが高い。
宇宙の絶対的存在であるセレスティアルズによって約7千年前に地球へ派遣され、邪悪なディヴィアンツから人類を守ってきた不老不死の宇宙種族エターナルズは、数百年前にディヴィアンツを滅ぼし、解散して10人のメンバーはそのまま密かに地球上で暮らしていた。しかし、サノスによる“指パッチン”騒動によってディヴィアンツが復活。彼らは再結集して戦いの場に身を投じる。
本作の監督は「ノマドランド」(2020年)のクロエ・ジャオである。一見、ヒーロー物の大作とは相容れない人材かと思われるが、事実、過去のMCU作品には見られなかったモチーフが随所に挿入されている。今までのように単独あるいは複数のヒーローが強大な敵(悪役)に立ち向かうという図式は存在せず、この映画には明確な敵は設定されていない。当初はディヴィアンツが対戦相手と思われるが、途中からそうでもないことが示され、結局彼らが立ち向かうのは“地球の危機”そのものなのだ。
また、バトルシーンよりも登場人物の内面描写に時間が割り当てられ、MCUでは初めてと思われるラブシーンまで挿入されている。自然光を活かした映像と、キャラクターの表情を上手く捉えたカメラワークも印象的だ。これに対して“アメコミらしくない!”という批判が出てくるのはまあ当然のことだが、個人的にはこの手の映画に従来とは違うテイストを加味することは評価すべきだと思う。それどころか、これからはヒーロー物などとは縁のない作風を持ったアート指向やクセの強い監督や脚本家を持ってくることにより、作品世界を広げることも期待できる。
筋書きはけっこう良く出来ており、強大なパワーを持つ彼らがサノスと戦わなかった理由は、ディヴィアンツ絡みの案件にしか関与できないという規定によるものという設定をはじめ、アベンジャーズが担当する事案と重複しないような段取りが成されているのは認めていい。そしてスーパーマンやバットマンなどの他陣営(DCコミック)のネタが取り入られているのも愉快だ。
とはいえ、活劇シーンは及第点に達しており、各メンバーの得意技もしっかりとフィーチャーされている。クライマックスは盛り上がり、弛緩する箇所もあまりない。ジェンマ・チャンやリチャード・マッデン、アンジェリーナ・ジョリー、サルマ・ハエック、マ・ドンソク、キット・ハリントンらキャストも健闘している。音楽担当はラミン・ジャワディだが、それよりフォリナーやピンク・フロイドなどの昔のロックナンバーが効果的だ。このあたりは監督の趣味だろうか。
宇宙の絶対的存在であるセレスティアルズによって約7千年前に地球へ派遣され、邪悪なディヴィアンツから人類を守ってきた不老不死の宇宙種族エターナルズは、数百年前にディヴィアンツを滅ぼし、解散して10人のメンバーはそのまま密かに地球上で暮らしていた。しかし、サノスによる“指パッチン”騒動によってディヴィアンツが復活。彼らは再結集して戦いの場に身を投じる。
本作の監督は「ノマドランド」(2020年)のクロエ・ジャオである。一見、ヒーロー物の大作とは相容れない人材かと思われるが、事実、過去のMCU作品には見られなかったモチーフが随所に挿入されている。今までのように単独あるいは複数のヒーローが強大な敵(悪役)に立ち向かうという図式は存在せず、この映画には明確な敵は設定されていない。当初はディヴィアンツが対戦相手と思われるが、途中からそうでもないことが示され、結局彼らが立ち向かうのは“地球の危機”そのものなのだ。
また、バトルシーンよりも登場人物の内面描写に時間が割り当てられ、MCUでは初めてと思われるラブシーンまで挿入されている。自然光を活かした映像と、キャラクターの表情を上手く捉えたカメラワークも印象的だ。これに対して“アメコミらしくない!”という批判が出てくるのはまあ当然のことだが、個人的にはこの手の映画に従来とは違うテイストを加味することは評価すべきだと思う。それどころか、これからはヒーロー物などとは縁のない作風を持ったアート指向やクセの強い監督や脚本家を持ってくることにより、作品世界を広げることも期待できる。
筋書きはけっこう良く出来ており、強大なパワーを持つ彼らがサノスと戦わなかった理由は、ディヴィアンツ絡みの案件にしか関与できないという規定によるものという設定をはじめ、アベンジャーズが担当する事案と重複しないような段取りが成されているのは認めていい。そしてスーパーマンやバットマンなどの他陣営(DCコミック)のネタが取り入られているのも愉快だ。
とはいえ、活劇シーンは及第点に達しており、各メンバーの得意技もしっかりとフィーチャーされている。クライマックスは盛り上がり、弛緩する箇所もあまりない。ジェンマ・チャンやリチャード・マッデン、アンジェリーナ・ジョリー、サルマ・ハエック、マ・ドンソク、キット・ハリントンらキャストも健闘している。音楽担当はラミン・ジャワディだが、それよりフォリナーやピンク・フロイドなどの昔のロックナンバーが効果的だ。このあたりは監督の趣味だろうか。