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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「アーミー・オブ・ザ・デッド」

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 (原題:ARMY OF THE DEAD)2021年5月よりNetflixで配信。これは面白くない。ゾンビものだから、誰がどう撮っても一応はサマになるホラー編に仕上がりそうに思えるが、本作は余計な要素を入れ込んだ挙げ句にドラマは冗長になり、結果として2時間半というこの手のシャシンには不似合いな尺に行き着いてしまった。

 ネバダ州レイチェルにあるエリア51から危険生命体が移送される途中、事故が発生して輸送車の中からゾンビが脱走。護衛兵を血祭りに上げて近くのラスベガスに乱入する。その結果ラスベガスはゾンビの大群に覆われたが、政府は町を隔離して核攻撃で一斉駆除しようとする。一方、元傭兵のスコットは、謎の日本人タナカの依頼により、ラスベガスのカジノの地下にある巨大金庫に残された2億ドルの現金を、核ミサイルの発射前に強奪するという計画に参加することになる。このミッションのために集められたのはヤバい過去を持つ札付きの連中で、スコットは彼らと共にゾンビだらけの危険エリアに突入する。

 まず、ゾンビは意志も知性も持たずに人間を襲うというのが“定説”であるはずだが、本作は何の伏線も無くゾンビが指導者を戴く“王国”を組織し、勝手に儀式みたいなことをやっているという点で脱力した。これではまるで安手のRPGではないか。しかもこの“王国”の描写にかなりの無駄な上映時間を割いている。

 思わせぶりに出てくるゾンビ・タイガーは結局ただの虎だし、干からびたゾンビが雨が降ると“復活”するというモチーフも、置き去りにされたまま終わる。スコットの娘ケイトもチームに参加するのだが、どう見ても戦闘能力に乏しく、結果として皆の足を引っ張るという有様。スコットたちが放つ銃弾はほぼ百発百中で、手榴弾は大型爆弾並みの破壊力。

 戦いの段取りはお粗末で、特に終盤のヘリコプターで脱出するくだりはグズグズしている間に勝手にピンチに陥るという、間抜けな展開が炸裂。エピローグの扱いも雑に過ぎる。ザック・スナイダーの演出は、他の監督作よりも気合いが入っておらず、凡庸な仕事ぶり。デイヴ・バウティスタにエラ・パーネル、オマリ・ハードウィック、アナ・デ・ラ・レゲラといったキャストもパッとしない。タナカに扮した真田広之は存在感はあったが、ロクに見せ場が無かったのは残念だ。

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