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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「コンティニュー」

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 (原題:BOSS LEVEL)気軽に楽しめるB級活劇だ。基本的な設定はよくある“タイムループもの”で、決着の付け方が釈然としない部分があるが、全編に散りばめられた小ネタやモチーフは面白い。また作劇のテンポは悪くなく、ストーリーが渋滞を引き起こすこともない。キャストも有名どころを起用しているし、空いた時間に観るにはもってこいのシャシンだろう。

 元米陸軍デルタフォース隊員のロイは、ジョージア州アトランタにあるアパートの一室で目覚めると、突如謎の殺し屋に襲われる。何とかそれをやり過ごすと、別の殺し屋が次から次へと現れて、あえなく命を落とす。だが、殺されるたびに彼はその日の起床時に“戻って”しまう。ロイはそれを無限に繰り返していた。この異常事態は、大手軍事企業に勤める物理学者の元妻のジェマが関係しているのではないかという手掛かりを掴んだ彼は、何とかその研究所に乗り込もうとする。だが、ジェマが関わっている計画の責任者である軍属科学者ヴェンター大佐が、そこに立ちはだかる。



 策を練りながら目的地に到達するというアウトラインは、まさにRPGだ。ロイは、死ぬたびにそのシチュエーションを理解すると共に打開策をあみ出し、一歩一歩目標に近付く。その、殺されるパターンが多岐に渡っていて面白く、殺し屋たちの造型は徹底してマンガチックで笑える。特に、中国剣術の使い手に対抗するために知り合いのエキスパートから何度も“丸一日かけて”対処法を伝授してもらうというくだりはウケた。

 また、疎遠になっていた息子のジョーと会い、親子の絆を取り戻すパートも挿入されるなど、展開が一本調子にならないように工夫されている。ただし、そもそもこの時間ループの仕掛けがどういう段取りで動いているのかよく分からないのは不満だ。ラストの主人公たちの行動も腑に落ちない。しかし、スピーディーに繰り出される立ち回り場面を観ていると、欠点はあまり気にならなくなるのも確かである。

 ジョー・カーナハンの演出テンポは快調で、退屈さを覚えることはない。主演のフランク・グリロはあまり見ない顔だが、50歳過ぎてから仕事が順調に入るようになったという苦労人らしい。ここでは、マッチョな体型を活かしたパワー系のアクションを見せる。メル・ギブソンにナオミ・ワッツ、ミシェール・ヨーといった名の知れた面子を脇に配しているのも、作品が安っぽくならなくて良い。ただし残虐場面も少なくないので、誰かと一緒に鑑賞する際には注意が必要かもしれない(笑)。

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