(原題:Capricorn One )77年作品。現時点で観れば映像面でいろいろと古臭いところもあるのだが、それでも本作の秀抜なアイデアとテンポの良い演出、そして各キャラクターの濃さなど、評価出来る部分が多いサスペンス・アクション編だ。また、本国アメリカより約半年も早く日本で封切られている点も興味深い(今では考えられない話だろう)。
今まさにNASAによる世界初の有人火星探査船カプリコン1号が打ち上げられようとしていたとき、カウントダウンの数分前に3人の乗組員密かに船内から連れ出され、沙漠の真ん中にある無人基地へ連行される。実はこのロケットには不備があり、そのままでは目的を達成出来ないことが判明していたのだ。ところが実施直前に中止になると今後は予算が配分されなくなる恐れがあるので、火星探査を“やらせ”で誤魔化すことにしたのだという。
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3人は仕方なく、基地内で行われたニセの火星探査映像の撮影に参加することになる。しかし、本物のカプリコン1号は大気圏再突入の際に燃えつきてしまう。それを知った3人は自分たちが“生きていてはいけない人間”であることを察知し、基地から脱出する。一方、新聞記者のコールフィールドは、NASAに勤める友人から、この計画に不審な点があると告げられる。彼は独自に取材を始めたのだが、正体不明の“妨害”に遭い、あやうく命を落としそうになる。
序盤こそSF映画のエクステリアを有しているが、すぐにスリラーものの様相を呈し、後半には活劇編になる。さらに、宇宙ロケットでのやり取りからからカーアクション、終盤には複葉機のスカイ・チェイスまで出てくる。このように多彩なモチーフが網羅されており、一粒で二度どころか三度も四度も美味しい思いが出来るという、まさに娯楽作品の“お徳用”みたいなシャシンだ(笑)。
製作当初はNASAは協力的だったが、内容を知ってから映画会社に“三下り半”を突き付けたという逸話があるが、それもうなずけるストーリーだ。折しもアポロ計画は70年代前半に終了し、80年代のスペースシャトル計画にはまだ間があるという空白の時期に作られただけに、当局側への皮肉が効いている。
脚本も担当した監督のピーター・ハイアムズは、この頃は脂が乗りきっており、畳み掛けるようなドラマ運びと思い切ったアクション演出で観る者を最後まで引っ張ってくれる。エリオット・グールドにジェームズ・ブローリン、サム・ウォーターストン、O・J・シンプソン(!)と、キャストも万全。特にカレン・ブラックとテリー・サバラスは儲け役だ。ビル・バトラーのカメラにジェリー・ゴールドスミスの効果的な音楽、幕切れも鮮やかで鑑賞後の満足度は高い。
今まさにNASAによる世界初の有人火星探査船カプリコン1号が打ち上げられようとしていたとき、カウントダウンの数分前に3人の乗組員密かに船内から連れ出され、沙漠の真ん中にある無人基地へ連行される。実はこのロケットには不備があり、そのままでは目的を達成出来ないことが判明していたのだ。ところが実施直前に中止になると今後は予算が配分されなくなる恐れがあるので、火星探査を“やらせ”で誤魔化すことにしたのだという。

3人は仕方なく、基地内で行われたニセの火星探査映像の撮影に参加することになる。しかし、本物のカプリコン1号は大気圏再突入の際に燃えつきてしまう。それを知った3人は自分たちが“生きていてはいけない人間”であることを察知し、基地から脱出する。一方、新聞記者のコールフィールドは、NASAに勤める友人から、この計画に不審な点があると告げられる。彼は独自に取材を始めたのだが、正体不明の“妨害”に遭い、あやうく命を落としそうになる。
序盤こそSF映画のエクステリアを有しているが、すぐにスリラーものの様相を呈し、後半には活劇編になる。さらに、宇宙ロケットでのやり取りからからカーアクション、終盤には複葉機のスカイ・チェイスまで出てくる。このように多彩なモチーフが網羅されており、一粒で二度どころか三度も四度も美味しい思いが出来るという、まさに娯楽作品の“お徳用”みたいなシャシンだ(笑)。
製作当初はNASAは協力的だったが、内容を知ってから映画会社に“三下り半”を突き付けたという逸話があるが、それもうなずけるストーリーだ。折しもアポロ計画は70年代前半に終了し、80年代のスペースシャトル計画にはまだ間があるという空白の時期に作られただけに、当局側への皮肉が効いている。
脚本も担当した監督のピーター・ハイアムズは、この頃は脂が乗りきっており、畳み掛けるようなドラマ運びと思い切ったアクション演出で観る者を最後まで引っ張ってくれる。エリオット・グールドにジェームズ・ブローリン、サム・ウォーターストン、O・J・シンプソン(!)と、キャストも万全。特にカレン・ブラックとテリー・サバラスは儲け役だ。ビル・バトラーのカメラにジェリー・ゴールドスミスの効果的な音楽、幕切れも鮮やかで鑑賞後の満足度は高い。