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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「ザ・テキサス・レンジャーズ」

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 (原題:THE HIGHWAYMEN)2019年3月よりNetflixから配信。本国での批評家の評価は平凡なものに留まっているらしいが、それも頷けるような内容だ。アーサー・ペン監督の代表作「俺たちに明日はない」(1967年)で知られる強盗犯ボニー&クライドの事件を当局側から描くという設定は興味深いが、ストーリー自体はさほど面白くはない。ただし主要キャストの存在感は印象的だ。

 1934年、アメリカ中西部で銀行強盗や殺人などをはたらいていたボニー・パーカーとクライド・バロウ及びその一味を、警察は約2年間追っていたがその足取りさえ掴めないでいた。業を煮やしたテキサス州知事は、数年前に解散したテキサス・レンジャーの元捜査官フランクに捜査を依頼。フランクは元相棒のメイニーに声を掛け、2人で追跡を開始する。彼らは長年の経験に裏付けられた直感を頼りに、ボニー&クライドの行動パターンを突き止める。フランクたちの活動を快く思っていないFBIからの勧告も無視し、2人は管轄外のオクラホマ州にまで捜査の手を広げる。

 一種のバディ・ムービーといった御膳立てだが、フランクとメイニーの掛け合いは大して盛り上がらない。どっちが車を運転するの何のといったネタも、やり取りのリズム感が希薄なので笑えない。かつてのテキサス・レンジャーズとしての矜持や、FBIなどに対する反骨精神が十分に描かれていたかというと、それも無い。

 アクション場面は冒頭の脱獄のパートぐらいで、有名なラストの銃撃シーンまで活劇的な興趣は見当たらない。ボニー&クライドが当時の民衆に支持されていたようなモチーフが導入されているが、その背景に関しては言及されていない。要するに、映画としての重点ポイントが見当たらないのだ。それは、元々この史実には当局側には大したドラマが存在していないことを意味しているのだろう。

 ジョン・リー・ハンコックの演出にも、いつものキレは無い。とはいえ、主演のケヴィン・コスナーとウディ・ハレルソンの存在は捨てがたい魅力がある。2人とも良い感じにトシを取り、そこにいるだけで絵になる。ジョン・キャロル・リンチやキャシー・ベイツといった他の面子も悪くない。そしてジョン・シュワルツマンのカメラが捉えたアメリカ中西部の美しい風景や、トーマス・ニューマンによる流麗な音楽も記憶に残る。

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