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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「エジソンズ・ゲーム」

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 (原題:THE CURRENT WAR )ケレン味たっぷりのカメラワークと、奇を衒ったシークエンスの組み立て方に拒否反応を示す観客も少なくないと思う。プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインの不祥事により、製作過程がギクシャクしたのも関係しているだろう。とはいえ史実を元にした題材は悪くないしキャストも好演。個人的には楽しめた。

 1882年、白熱電球の開発に漕ぎ着けた天才発明家エジソンは、電力網を世界中に広げる野心を持ち始めていた。ところが、裕福な実業家であるウェスティングハウスは、トーマス・エジソンが考案する直流による送電方式より、安価で遠方まで電気を送れる交流の方が優れていると提唱。1886年にはジョージ・ウェスティングハウスは交流送電のデモンストレーションを成功させ、実業界に大きくアピールする。

 エジソンはこれに対抗し、交流方式の危険性を大々的にPR。さらにいくつかの州において、送電電圧を800ボルトに制限する法案を成立させようと画策する。19世紀末にアメリカ初の送電システムを巡って繰り広げられた、いわゆる“電流戦争”を描く。

 監督アルフォンソ・ゴメス=レホンは、まるでミュージック・ビデオのようにイレギュラーなカメラアングルと目まぐるしい小刻みなシークエンスの連続により、キッチュな持ち味を全面展開する。しかし、決して安っぽくならないのは“題材の重さ”に他ならないと思う。どんなに変化球を駆使して描こうが、取り上げられたネタは確実に現在の我々の生活に直結する出来事だ。

 しかも、この刺激的ともいえる手法が、堅苦しくなりがちな伝記ものを良い按配に“通俗的に”仕上げてくれたことは、評価はできると思う。現代のビジネスシーンでも良く見られる、先鋭的な意見と堅実経営に即した穏健な意見との対立を平易に描いているあたりは普遍性の高さが感じられるし、双方のキャラクターも十分に屹立している。また、エジソンとウェスティングハウスだけではなく、それぞれの家族、さらにはニコラ・ステラやJ・P・モルガンといった当時の傑物たちも丁寧に取り上げられている。

 主演のベネディクト・カンバーバッチをはじめマイケル・シャノン、トム・ホランド、タペンス・ミドルトン、キャサリン・ウォーターストーンといった顔ぶれは申し分なく(カンバーバッチとホランドが並ぶと、ほとんど「アベンジャーズ」だ ^^;)、チョン・ジョンフンの撮影、そして当時の風俗を再現した美術スタッフも良い仕事をしている。

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