(原題:JAMON JAMON )92年スペイン作品。何だかよく分からない映画である。各キャラクターが勝手気ままに動き回り、当初設定されていたはずの人間関係が無効になったまま、それぞれ必然性があるとは思えないポジションに到達して終わる。一応コメディなのだろうが、笑うというより呆気にとられる感じだ。
スペインの小さな田舎町。男性用下着メーカーの工場で働くシルヴィアは、社長の息子ホセ・ルイスと付き合っている。だが、ホセはシルヴィアの母で娼婦のカルメンとも懇ろな関係で、しかもシルヴィアはそのことを知っている。やがてホセはシルヴィアが自分の子を宿していることを知り、彼女との結婚を決める。
しかしホセの母コンチータは、夫のマヌエルが昔カルメンと関係していたことを今も恨んでおり、ホセとシルヴィアの交際を許さない。さらにコンチータは、2人を別れさせるためにラウルという青年を雇ってシルヴィアを誘惑させる。すると優柔不断なホセの態度に嫌気がさしてきたシルヴィアは、ラウルを愛するようになる。6人の男女の複雑なアヴァンチュールを描くビガス・ルナ監督作。
この節操の無い展開は、当時の映画雑誌に“スペイン特有の、聖母マリア信仰に由来する母親像と、伝統的な男性優位主義との両立による”と説明されていたと思うが、そう言われてもピンと来ない。だが、キャストの存在感だけは特筆出来る。
シルヴィア役のペネロペ・クルスは、これがデビュー作だった。この頃は十代で、可愛さとセクシーさが絶妙にマッチした逸材ぶりを見せつける。ラウルに扮するのはハビエル・バルデムで、アクの強い二枚目として闊達なパフォーマンスを見せる。この2人は後年結婚するのだが、何だかそれを予感させるような佇まいだ。アンナ・ガリエナにジョルディ・モリャ、ステファニア・サンドレッリ、ファン・ディエゴといった他の面子も実に濃い。
そして、重要な小道具になるハム工場にぶらさがる豚の足(ハモンはスペイン語でハムの意味)が、いかにも肉食系の登場人物達のメンタリティを象徴する。第49回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を獲得しているが、どういう基準で選ばれたのかちょっと理解出来ない。ニコラ・ピオヴァーニの音楽と、ホセ・ルイス・アルカイネによる撮影は及第点に達している。
スペインの小さな田舎町。男性用下着メーカーの工場で働くシルヴィアは、社長の息子ホセ・ルイスと付き合っている。だが、ホセはシルヴィアの母で娼婦のカルメンとも懇ろな関係で、しかもシルヴィアはそのことを知っている。やがてホセはシルヴィアが自分の子を宿していることを知り、彼女との結婚を決める。
しかしホセの母コンチータは、夫のマヌエルが昔カルメンと関係していたことを今も恨んでおり、ホセとシルヴィアの交際を許さない。さらにコンチータは、2人を別れさせるためにラウルという青年を雇ってシルヴィアを誘惑させる。すると優柔不断なホセの態度に嫌気がさしてきたシルヴィアは、ラウルを愛するようになる。6人の男女の複雑なアヴァンチュールを描くビガス・ルナ監督作。
この節操の無い展開は、当時の映画雑誌に“スペイン特有の、聖母マリア信仰に由来する母親像と、伝統的な男性優位主義との両立による”と説明されていたと思うが、そう言われてもピンと来ない。だが、キャストの存在感だけは特筆出来る。
シルヴィア役のペネロペ・クルスは、これがデビュー作だった。この頃は十代で、可愛さとセクシーさが絶妙にマッチした逸材ぶりを見せつける。ラウルに扮するのはハビエル・バルデムで、アクの強い二枚目として闊達なパフォーマンスを見せる。この2人は後年結婚するのだが、何だかそれを予感させるような佇まいだ。アンナ・ガリエナにジョルディ・モリャ、ステファニア・サンドレッリ、ファン・ディエゴといった他の面子も実に濃い。
そして、重要な小道具になるハム工場にぶらさがる豚の足(ハモンはスペイン語でハムの意味)が、いかにも肉食系の登場人物達のメンタリティを象徴する。第49回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を獲得しているが、どういう基準で選ばれたのかちょっと理解出来ない。ニコラ・ピオヴァーニの音楽と、ホセ・ルイス・アルカイネによる撮影は及第点に達している。