(原題:THE PREDATOR)かなり雑な作りだ。レベルとしてはローランド・エメリッヒやマイケル・ベイの諸作と同程度の大味な内容。しかも、あまり予算が掛けられていないので、観た印象は実にショボい。劇場公開する必要は無く、ビデオリリースで十分とも思える出来だ。
元特殊部隊員の傭兵クインがメキシコのジャングルで“仕事”に勤しんでいると、宇宙船の墜落現場に遭遇してしまう。中から現れたのは、過去何回か地球にやってきて狼藉をはたらいたプレデターだった。密かに宇宙船を追尾していた政府組織によってプレデターは連れ去られてしまうが、クインはその前に“遺留品”を拾ってメリーランド州の自宅に送りつける。
家で父の帰りを待っていた天才的な頭脳を持つ息子のローリーは、いきなり送られてきた“遺留品”を開梱。装置を起動させると、シグナルが宇宙に発信されてしまう。すると、件のプレデターを追っているパワーアップした究極のプレデターまでもが地球に来襲する結果になる。政府に拘束されたクインは、そこで知り合った“はぐれ者軍団”と脱走を図り、女性生物学者のケイシーと協力してプレデターを追う。
冒頭の、宇宙船が不時着するシーンの安っぽさを見せつけられた時点で、早々に鑑賞意欲が減退した。以下、全編に渡ってカネの掛かった部分は見当たらず、雰囲気はまるでテレビドラマだ。
意匠の安普請ぶりと同様、筋書きもチープである。グレードアップ版のプレデターが地球に来た目的(らしきもの)は提示されるが、それをどのようにして達成するのか不明。そもそも、最初に現れたプレデターは人類に対して何をしようとしていたのか分からない。
ローリーは誰にも習ったことが無いのに、宇宙船に出入りする方法を知っているばかりか、バリアの張り方も会得している(笑)。ケイシーは学者のはずだが、銃火器の使い方に長けており、プレデターと同じ速度で移動出来て、格闘のスキルもある(爆)。プレデターはわざわざ翻訳機を使い、人間の言葉を発して凄味を低減させてくれる(呆)。
キャラクター設定も乱雑で、誰一人として共感出来る登場人物がいない。だいたい、子供の目の前で人殺しのシーンを平気で見せる父親などノーサンキューである。シェーン・ブラックの演出はいい加減で、シークエンスをスッ飛ばしてストーリーを追えなくなる箇所が散見される。かと思えば、残虐シーンだけは意味も無く大盛りサービスだ。
主演のボイド・ホルブルックをはじめ、トレバンテ・ローズ、オリヴィア・マンといったキャストも魅力無し。続編が出来そうな幕切れだが、製作されてもたぶん観ない。